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三章 雫ポイズン
理久の葛藤
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目が覚めると、理久が思い悩んだ顔をしていた。
そんな顔をしてどうしたんだろう。
あの後、月に首を折られた瞬間から記憶が全くないのだ。
不思議なほど頭はさっぱりしているけれど。
その感覚が異常なことはこの現状を見て理解した。
地面には雫が寝息を立てていて、小さくなった蛇が傍でオロオロしていた。
ローズ、だっけ。
雫の事、相当好きなんだな。
親がいたらこんな感じなのかな、なんて思った。
血まみれの床の上で。
僕の体にも血が付着している。
べったりと。
これはとれないなぁと思って、服を買いに行かなきゃなと思った。
血が付着した服についてこんな感想しか抱けないのはきっと、ずっと付き合ってきたから。
雫と蛇にはあまり血が付着していない。
きっと、僕の血と、蛇責めの血がこの床で混ざりあっているのだろう。
なんとなくそう察した。
雫の傍に行って、魔力を流し込む。
今は足りていない状態だろうから。
魔力が足りない状態は魔力欠乏症と言う。
この状態が長く続くと、生命力を犠牲にして魔力を生成しようとする。
そうなると、死に至る場合があるから。
だから他人が魔力を注いでやる必要があるのだ。
雫は穏やかな顔をして眠っているから、良かったと思った。
「ねぇ、理久。雫、起きるかな。早く起きてくれたらいいな」
「…、起きるよ、絶対。だって凪が魔力を注ぎ込んだんだもの」
そう言いながらもどこか上の空だから。
こっちを一切見ないで考え事ばかり。
その態度になぜかムッとなって。
おでこを指で弾く。
これくらいしたっていいでしょ、なんて思いながら。
「わっ!!急にどうしたのさ!!痛いし!もしかしてあの時の仕返し!?あれは凪が悪いからね?」
「…、なんか思い詰めたような顔をしてたから。どうしたのかなって」
「…、何でもないよ」
理久がそっぽを向いて顔を隠した。
絶対なんかある奴だ。
理久は言おうとしないけど。
だけど、深掘りしてはいけない気がする。
深堀したら、逆に理久を傷つけるような気がして怖かった。
傷つけたくないと思ったから。
だからそれ以上聞くのをやめた。
二人でただ雫が起きるのを待った。
その間珍しく無言で。
僕から何か話始めようかな、なんて思ってもなかなか口に出せないでいた。
「雫が起きたら、どうするの?一緒に住むの?」
理久はおずおずと言った感じで聞いてきた。
今まで無言だった空間に、理久の声だけが空気を伝って流れた。
「一緒に住む事になると思うよ。だって雫を人魚の国に返すわけにはいかないし」
「やだ」
そんな顔をしてどうしたんだろう。
あの後、月に首を折られた瞬間から記憶が全くないのだ。
不思議なほど頭はさっぱりしているけれど。
その感覚が異常なことはこの現状を見て理解した。
地面には雫が寝息を立てていて、小さくなった蛇が傍でオロオロしていた。
ローズ、だっけ。
雫の事、相当好きなんだな。
親がいたらこんな感じなのかな、なんて思った。
血まみれの床の上で。
僕の体にも血が付着している。
べったりと。
これはとれないなぁと思って、服を買いに行かなきゃなと思った。
血が付着した服についてこんな感想しか抱けないのはきっと、ずっと付き合ってきたから。
雫と蛇にはあまり血が付着していない。
きっと、僕の血と、蛇責めの血がこの床で混ざりあっているのだろう。
なんとなくそう察した。
雫の傍に行って、魔力を流し込む。
今は足りていない状態だろうから。
魔力が足りない状態は魔力欠乏症と言う。
この状態が長く続くと、生命力を犠牲にして魔力を生成しようとする。
そうなると、死に至る場合があるから。
だから他人が魔力を注いでやる必要があるのだ。
雫は穏やかな顔をして眠っているから、良かったと思った。
「ねぇ、理久。雫、起きるかな。早く起きてくれたらいいな」
「…、起きるよ、絶対。だって凪が魔力を注ぎ込んだんだもの」
そう言いながらもどこか上の空だから。
こっちを一切見ないで考え事ばかり。
その態度になぜかムッとなって。
おでこを指で弾く。
これくらいしたっていいでしょ、なんて思いながら。
「わっ!!急にどうしたのさ!!痛いし!もしかしてあの時の仕返し!?あれは凪が悪いからね?」
「…、なんか思い詰めたような顔をしてたから。どうしたのかなって」
「…、何でもないよ」
理久がそっぽを向いて顔を隠した。
絶対なんかある奴だ。
理久は言おうとしないけど。
だけど、深掘りしてはいけない気がする。
深堀したら、逆に理久を傷つけるような気がして怖かった。
傷つけたくないと思ったから。
だからそれ以上聞くのをやめた。
二人でただ雫が起きるのを待った。
その間珍しく無言で。
僕から何か話始めようかな、なんて思ってもなかなか口に出せないでいた。
「雫が起きたら、どうするの?一緒に住むの?」
理久はおずおずと言った感じで聞いてきた。
今まで無言だった空間に、理久の声だけが空気を伝って流れた。
「一緒に住む事になると思うよ。だって雫を人魚の国に返すわけにはいかないし」
「やだ」
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