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三章 雫ポイズン
救いを求めて
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そういうと理久はぼくに抱き着いてきた。
理久の体は震えていた。
怖いとでも言いたげに。
君は強い。
何も恐れることなんてないじゃないか。
一体何に怯えているんだ。
「そんなのやだよ、絶対」
ぼろぼろと涙を流しながら必死に縋った。
涙が服に染み込む。
服に新しい模様を作った。
潤んだ赤い瞳から、止めどなく流れる涙。
「僕これからもっと強くなるから。もう誰にも負けないくらい強くなるから。だからお願い。捨てないで」
理久のこんな姿、初めて見た。
いつもの理久の姿と全く違った。
必死になって僕に縋るその姿は、弱々しかった。
まるで非力な少年だった。
いつも圧倒的な力を持つ理久はそこにはいなかった。
これが本当の理久なのかもしれない。
いつも強がってばかりで、明るくふるまって。
少しお調子者な理久。
でもその全部が理久の殻だったら?
「雫も一緒に暮らしたとしても理久の事捨てないよ。大丈夫だから落ち着いて」
そう言っても落ち着かない。
背中を撫でてみる。
抱きしめてみる。
理久のほのかな体温が僕に伝わる。
その体の震えも。
「じゃあ雫は隣の部屋に住んで貰う事にしよう?確か空き室だから。それで良いよね?」
「分かった…」
そもそも、理久がここまで自分の意見を主張した事が初めてかもなと思った。
いつも僕の意見を優先してくれていたから。
涙を拭う。
何故か泣いている理久を見て、可愛いと思ってしまった。
その感情は不純な気がしたからすぐに打ち消した。
「ん…、二人共…?揃ってどうしたのさ…。てかここってどこなの…?僕ローズの腹の中にいたはずなんだけど…」
雫が目を覚ました。
目を擦りながら、まさに寝起きというような風貌で。
「おはよう、雫。気分はどう?大丈夫?」
「少し体がダルイくらい…。ローズは?」
足元にいるよ、と言うと、ローズをすくいあげた。
ローズは雫の腕に巻き付き、嬉しそうに雫の頬を舐めた。
良かった、とでも言いたげに。
そんなローズに雫も微笑んで、頭を撫でた。
嬉しそうにローズは目を細める。
「なんで僕を助けたの?」
雫が僕に聞く。
まるで咎めるように。
助けたってなんの得もないのにどうして、と言っているようだった。
「助けなくても良かったのに。僕は、ローズが世界全てを食べてくれても良かった。むしろそうならないかと願っていたんだ。そんな僕を助けたってなんの意味もない。むしろ不都合なんじゃないの?どうするの?僕がもう一度世界を壊そうとしたらさぁ」
雫が下を向く。
ぽたぽたと雫を落としながら。
理久の体は震えていた。
怖いとでも言いたげに。
君は強い。
何も恐れることなんてないじゃないか。
一体何に怯えているんだ。
「そんなのやだよ、絶対」
ぼろぼろと涙を流しながら必死に縋った。
涙が服に染み込む。
服に新しい模様を作った。
潤んだ赤い瞳から、止めどなく流れる涙。
「僕これからもっと強くなるから。もう誰にも負けないくらい強くなるから。だからお願い。捨てないで」
理久のこんな姿、初めて見た。
いつもの理久の姿と全く違った。
必死になって僕に縋るその姿は、弱々しかった。
まるで非力な少年だった。
いつも圧倒的な力を持つ理久はそこにはいなかった。
これが本当の理久なのかもしれない。
いつも強がってばかりで、明るくふるまって。
少しお調子者な理久。
でもその全部が理久の殻だったら?
「雫も一緒に暮らしたとしても理久の事捨てないよ。大丈夫だから落ち着いて」
そう言っても落ち着かない。
背中を撫でてみる。
抱きしめてみる。
理久のほのかな体温が僕に伝わる。
その体の震えも。
「じゃあ雫は隣の部屋に住んで貰う事にしよう?確か空き室だから。それで良いよね?」
「分かった…」
そもそも、理久がここまで自分の意見を主張した事が初めてかもなと思った。
いつも僕の意見を優先してくれていたから。
涙を拭う。
何故か泣いている理久を見て、可愛いと思ってしまった。
その感情は不純な気がしたからすぐに打ち消した。
「ん…、二人共…?揃ってどうしたのさ…。てかここってどこなの…?僕ローズの腹の中にいたはずなんだけど…」
雫が目を覚ました。
目を擦りながら、まさに寝起きというような風貌で。
「おはよう、雫。気分はどう?大丈夫?」
「少し体がダルイくらい…。ローズは?」
足元にいるよ、と言うと、ローズをすくいあげた。
ローズは雫の腕に巻き付き、嬉しそうに雫の頬を舐めた。
良かった、とでも言いたげに。
そんなローズに雫も微笑んで、頭を撫でた。
嬉しそうにローズは目を細める。
「なんで僕を助けたの?」
雫が僕に聞く。
まるで咎めるように。
助けたってなんの得もないのにどうして、と言っているようだった。
「助けなくても良かったのに。僕は、ローズが世界全てを食べてくれても良かった。むしろそうならないかと願っていたんだ。そんな僕を助けたってなんの意味もない。むしろ不都合なんじゃないの?どうするの?僕がもう一度世界を壊そうとしたらさぁ」
雫が下を向く。
ぽたぽたと雫を落としながら。
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