どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

文字の大きさ
194 / 425
三章 雫ポイズン

副作用の淡い夢

しおりを挟む
僕は目を閉じたままその音を聞く。
頭が一瞬痛くなって、治まってを繰り返す。
痛くなる時は、凄く痛いんだ。
泣きたくなるくらいに痛いんだ。
泣けたらどんなに楽になれるんだろうと思うくらい。
音はまだ止まない。
目を開けようにも、もう機能していない目は開かない。
だって今、僕の頭は花開いてしまったのだから。
流れ出す赤は僕を宿して海へと落ちる。
それは恐怖とともに。
落ちて海と混じりあう。
漂っていれば、海底にごみを発見したから花へ変える。
その度に体は痛むけれど、この程度の痛みではきっと釣り合わない。
今、僕が犯している罪と釣り合わない。
わかっているのに続けてしまうの。
花がどんどん咲いていく。
こうなるのは今日初めてじゃない。
以前にもこんな感触があった。
今は思い出せないけれど。
けどこの感覚を形容するのなら。
ぬるま湯に浸かっているような、そんな感覚で暮らす、みたいな。
その事のなにが悪いというのだろう?
大人たちの貶すその行為にそう思う。
目についたからと言って馬鹿にしやがって。
花からそんな言葉が聞こえた。
汚らわしい言葉。
「私のお陰でこの仕事は成功したのに、なんであんたの…」
「あの人が俺を認めて欲しい。他人の評価なんていらない」
そんな言葉が聞こえた。
海の底はたくさん悪意がたまっているみたいだった。
どうしようもない思いの掃き溜めとなっていた。
その掃き溜めを美しいと思う僕と、醜いと思う僕の二人がいた。
そんな僕を愛おしいなんて言葉ではくくれなくて。
むしろ汚らわしいという言葉の方が似合う気がした。
どうしてそう思ったのかは分からない。
分からなくて当然だと思うけど。
推測するならば、きっと。
「白にも黒にも染まらず、かといって灰になりきれない自分への感想なんだろうな」
初めから最後まで良い人になりきれない。
かと言って悪い人にもなれない。
じゃあ普通は?
分からないからなれない。
そんな僕はきっとこの世界の染みなのだろう。
頭からインクが染み出すみたいにそんな思考で塗られていく。
別に良いんじゃないか。
そんな思考に埋もれたって。
ただ自分を正当化したいだけのエゴなのだ。
そんな人間のエゴが醜くて、恐ろしいほど美しい。
今日、この手で殺めた蛇を思い出す。
中身をぶちまけたあの感覚が、快感として残っている。
その感覚は、僕の罪だとでも言いたげにべったりと張り付いていた。
でもそれすらが愛おしいと感じていた。
 
紅月の照らす主不在の魔王城。
気まぐれは姫の元へ。
脳筋は戦場へ。
大量の仕事を残して去っていきましたとさ。
「…って阿保か!!あいつら揃って自分勝手なんやから…」
「そう言う闇奈もめっちゃ悪口言ってるけどねー」
バレたらお仕置きされちゃうぞ?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—

水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。 幼い日、高校、そして大学。 高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。 運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」 学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。 生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。 静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。 しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。 「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」 玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。 それから十年後。 静は玲に復讐するために近づくが…

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む

木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。 その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。 燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。 眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。 それが妹の名だと知っても、離れられなかった。 「殿下が幸せなら、それでいい」 そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。 赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎月影 / 木風 雪乃

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

処理中です...