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二章 美空ミカエル
そして僕は君に出会う
しおりを挟む奏多にはまだメイサイ王国に滞在してもらっている。
もちろん、凪を守る為に。
メイサイ王国の政治は昔ながらの権力でごり押しているところもあるから。
武力だって正直ハリボテだ。
魔王軍が本気で攻め入れば一週間で制圧できる。
だって、僕が触れれば一発アウトなのだから。
触れてしまえば相手の時を奪える。
その時点でもう詰んでるでしょう?
そう考えると、ほんとそんな国に凪を預けて良いのか心配になる。
でも、良いか。
もうすぐ僕も一緒にいれるのだから。
「僕が直接行ったら魔力量でバレるじゃん。一般の魔族よりも遥かに多いし。だから凪に呼ばれる必要があるの」
ほら、早くお風呂入ってきてよ。
血の匂いがめちゃくちゃ濃いんだけど。
そう言って奏多を風呂場に追い出す。
使い魔の魔力は制限される。
全力を出すには主人の許可をもらう必要があるのだ。
でもそれは普通なら。
普通の召喚をしたら。
石の塔内部に置いた召喚の書は人間側も魔族側も禁忌とする一品だ。
その理由は相手の生殺与奪の権を握れるから。
死ねと命令すれば殺す事もできる。
なんだって。
使用者は使い魔を好きなようにできる。
凪になら、僕は何されたって構わないから。
そう思えるからそんなものを送った。
人間側で禁忌とされた理由はこの召喚は人間にも適用できるから。
悪魔側。
魔族側の魔術として禁止された。
分類なんて馬鹿みたいなのに。
どうせ、そんなことを言ったって使いたくて仕方がなかったくせに。
その後、研究機関は解体。
本も一冊残らず廃棄されたはずだった。
僕が渡したもの以外は。
魔族には昔から知識を収集する習性がある。
その知識を纏め上げて作ったのがあの本。
世界にたった一つしか存在しないのだ。
強欲な人間どもは欲しがるだろうけど。
残念ながら僕らにしか使えないから。
諦めていただきたい。
僕が凪の為にだけ作ったのだから。
それにしても本当に楽しみだ。
「待っててね。もうすぐ会えるよ。運命の人」
仕組まれた運命だって良いじゃない。
朱色の月が闇夜に浮かんでいた。
まるで僕の瞳みたい。
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