どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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二章 美空ミカエル

呪いへの理解

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身勝手な心はそっと俺の中に救っていた。
どんどん育っていった。
そう言えば、凪先輩はもう呪いの解呪が出来る。
だから俺の事をすぐに救う事が出来る。
今日解呪に取り組まなかったのは、きっと、呪いを解呪した時に体力が消耗するとか、そういう事情だろう。
それくらい簡単に理解した。
俺の呪い。
きっと、複雑だろうな。
まるで死神みたいな能力だもの。
他人の死ぬ時がわかる。
そして、俺の寿命の短縮。
解呪するとどうなるんだろう?
颯太みたいに、俺とそっくりなのかな?
そっくりなのが出てくるのかな。
もしも、俺と同じように凪先輩の事を愛していたら、嫌だな。
少しだけ痛んだ胸を抑えた。
だって、そしたら、俺のライバルってことじゃん。
俺自身と戦わなくちゃいけなくなるんだ。
颯太の時のアテネの最後は何となくなら知っている。
呪いの寿命の終了。
でも、俺の呪いに寿命なんてあるのかな。
無いような気がするのは俺だけ?
チクリ、チクリと。痛みは強くなる。
苦しくて仕方なくなる。
それが嫌で。
もしも。
もしも俺の醜い心のまま出てきたら俺は、平常心を保っていられるだろうか。
醜い俺自身、その全てをさらけ出したりしないだろうか。
身勝手な俺全部。
凪先輩にだけは知られたくない俺が全面的に出て来てしまったら。
それでも、認められるなら、受け入れてもらえるならまだいいけれど。
きっと、そう言う訳にもいかないから。
だって、受け入れられる訳が無い。
こんな俺、凪先輩に相応しくないよ。
それが誰よりも一番わかってしまっているんだ。
だから怖くて仕方がない。
そんな俺が露出してしまうことが、今、一番怖い。
一生拒絶されてしまったら、それは死ぬよりも辛いことだろうから。
そんな事を考えた。
絶対に、凪先輩には知られたくない。
俺の本心は。
隠していたい。
狡いのはわかるけど、両思いと分かるまでは隠しておくから。
絶対に拒絶されないとわかってから話すから。
だって俺、もう凪先輩無しじゃ生きていけないよ?
そんな言葉を正気の状態で吐けるくらいには狂っているんだよ?
重すぎて、異常な愛情だとは理解しているけれど。
自分でも、こんな愛情を向けられたら迷惑になることは理解しているけれど。
もう変えられないよ。
変わらないよ。
残念ながら、壊れちゃっているんだよ。
修復不可能な程に。
きっと、あの日が原因だ。
あんな王子様みたく現れるから。
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