どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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二章 美空ミカエル

自己否定

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流石『歌姫』。
流石『天使』。
こう言うところまで再現されているなんて。
呪いは本人の特徴が現れるってのはわりかし嘘じゃなさそうだ。
にこり、と笑うと、
「俺ね、優等生な自分なんて大嫌い。それを押し付ける周囲も嫌い。凪先輩と一緒に居られればそれで良い」
そう言って笑う。
そんな言葉、今まで美空の口から出たことなんてなかった。
「うるさい、俺、こんな自分勝手じゃないです。凪先輩、聞かないで」
美空は叫ぶ。
取り繕うように。
否定していた。
でも、僕は嘘だって気づいていた。
あの部屋の物置。
放置されたクラスの思い出らしきもの。
手紙。
まるでゴミのように積み上げられたそれらは、美空の世界に対する無関心を物語っていた。
先輩以外の人間に対して何も感じないとでも言いたげなあの部屋は。
それに呪いは嘲笑う。
全てが分かりきっているように。
「そうやって口先ばかりで否定して。本当は分かってるくせに」
そして、歌った。
美空の歌声に似ているけれど、どこか違う。
ノイズ混じりの声で歌い出す。
メロディも何もかもが襲いかかってくるような感じで。
苦しくて。
「美空の歌は良く祝福の歌って言われてるけどさ、こんな事も出来るんだぜ?」
手を振り上げる。
蔦が先輩に絡みつく。
そっと先輩の傍に行って、頬を撫でて言った。
「嘘つき。これがお前の本心だ。天使だなんて言われても何も嬉しくない。本当は凪先輩と居られればそれで良い。その為なら皆殺しにしたって構わない」
「違う、俺はそんな醜い心なんて持ってない!」
「自分勝手な癖に。よくそんな事言えるよな。なら、俺は今からミカエルって名乗らせてもらうよ。お前とは違うって事でさ。その方が区別しやすくて良いだろう?」
そう言って笑った。
まるで悪魔みたいだ。
いや、堕天使という言葉が似合うと思う。
ルシファーって名乗れば良いのに。
ミカエルは美空に向かって言う。
「俺ね、お前の願いを叶えてあげたいんだ。けど、お前は俺の事嫌いでしょ?だからお前も要らない。お前がいなくても、俺だけで幸せになる」
そう言って蔦を美空へ襲わせる。
危ない、そう言って助けようとしたけれど。
美空はそれを一瞬で斬り捨てた。
刃を構築したみたいだ。
魔力で作られた刃だとは思えないほどの切れ味で。
魔力操作が得意な事を思い出した。
(こんなの、人間じゃない。魔族に近いじゃないか)
そのまま美空はミカエルを睨みつけながら、言葉を吐いた。
「...、凪先輩を解放しろ。そうじゃなきゃお前を殺す」
その目はしっかりと殺意を抱いていて。
嘘じゃないと分かった。
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