どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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二章 美空ミカエル

汚い心を君へ

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運命なんて言葉で表してしまえそうな。
それでも同性じゃあ種を残せない。
それに、僕の呪いがあるから結婚なんて出来ない。
どちらも生物としての本能と矛盾している。
壊れている。
それでも良いと僕は思えた。
壊れてたって良いじゃないかと。
それでも好きなんだから良いじゃないかと。
けれど、それを美空に押しつけることは出来なかった。
だから伝えなかった。
伝える事を諦めた。
伝えて困らせることなんてしたく無かった。
それに、美空が僕と同じ気持ちな訳がないから。
僕が美空に思いを伝えて、美空が僕を拒絶して。
もう二度とここに来ないでくれなんて言われたら。
それだけで死んでしまいそうな程胸が痛くなった。
苦しくて仕方なくなった。
しかも厄介なことに、治療魔法を使ったってこの痛みは和らいでくれなかった。
怖かったんだ。
美空が離れてしまうのが。
二度とここには来ないと言って、僕を捨てるのが。
だからこのままで良いなんて思っていた。
きっと美空は綺麗な女の人と結婚して、子供を産んで、年老いていくんだろうなとどこかで思っていた。
美空と一緒にいる時は常にそう思っていた。
そうなる事を望んですらいた。
だって幸せになって欲しいから。
それが世間一般で言う幸せの形だって理解していたから。
けれど。
美空の解呪、本当はしたくなかった。
それは僕の醜い心から来ているのだ。
「ねぇ、ミカエル。僕のさ、隠し事、聞いてくれる?聞いた後、いなくなったりしないでくれる?」
「何でも言ってください。凪先輩。全部受け止めますから。いなくなりませんよ」
「僕ね、本当は美空の呪い解呪したくなかったの。だってさ、解呪したら、他の人と幸せになっちゃうじゃん。僕以外のところに行っちゃうじゃん」
寿命が長いなら、その分出会いも多くなる。
そんなのは何となく分かっていた。
幼いうちから生涯を誓うような人物に会うことなんてなかなかない。
好きだと思ったって、時間が経てば別の人に向かっていくだろう。
人生というのはこういうものだ。
僕以外の人を沢山知ってしまう。
そうしたら、きっと、僕という選択肢なんて消えてしまう。
僕のことなんて一時の気の迷いだと思ってしまうことだろう。
...、僕は、本当は美空が誰かの物になるのが嫌なんだ。
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