どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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二章 美空ミカエル

美空の傷

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化け物扱いの点は全く似ていないけど。
美空は母親によって閉じ込められている。
容姿が原因で。
美空から直接聞いたわけではないけれど。
母親関連の話をする時の断片的な情報から何とくなく理解してしまった。
外出一つだって、母親に話を通さなければいけない。
美空の他の兄弟達はそんな事一切ないのに。
美空だけ、異様なまでに気に掛けられていた。
それは物心ついた頃から。
美空が母親を苦手にしているのは分かっていた。
そして、どんな状況にあるのかも。
美空は絶対に口にしなかったけれど、察してしまう。
だって僕は美空と関わる時間が多かったから。
美空から言ってくれるのを待っていた。
無理やり聞き出すのが優しさではないことを理解していたから。
けれど、時々、無理やり聞き出した方が良いのかな、なんて思った。
それは、美空の体に痣が出来ていた時。
単なる火傷の痕だった。
母親に付けられた点を除けば。
美空は人気者だ。
それは学校でも、宮殿でも、どこでも。
美空の容姿と能力は人を呼び寄せて夢中にさせるにはうってつけだった。
女子が美空の手に口づけをしたらしい。
手の甲に。
それを知った母親は穢らわしいと手の甲を焼いた。
これで浄化出来た、なんて笑って。
これは月から聞いた出来事だ。
美空は一言も話してくれなかった。
傷の事を聞くと、
「料理しようとしたら油が跳ねちゃったんです」
気にしないでください、なんて笑っていたけど、手の甲が爛れていて、どう考えても事故ではなかった。
自分でやったものでもない。
だから月に聞いたらそんな事を言った。
僕は手のひらの治療をしてやることしか出来なかった。
僕の魔法なら、元の状態まで戻せるから。
治療している最中、美空は静かだった。
お互い無言のまま過ごした。
なんて言って良いのかわからなかったんだ。
助けて欲しいなら、そう言ってくれれば良かった。
言葉が無いと不便だなと思った。
無理矢理助けられる程。
ズケズケと美空の事情に入り込める程僕は強くなかった。
傲慢でも無かった。
美空はそのまま帰った。
僕はその背を見送ることしか出来なかった。
きっと、あの頃の僕らは互いが救いだったんだと思う。
正直、美空がいてくれたおかげでかなり助かってた。
美空がいてくれるお陰で孤独も幾らか和らいだ。
傍にいられれば安心出来た。
美空の為に何か準備して、待ってる時間も好きになった。
それは美空も同じにで、恋をするなんて、本能がおかしいと叫ぶ。
あまりにも出来すぎているじゃないか。
そんなの。
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