196 / 425
四章 雪闇ブラッド
第一話
しおりを挟む
朝、目が覚めたら赤い飲み物を喉に流し込む。
その後うがいをして着替え。
鏡に映るつまんなそうな赤い瞳にあの子と同じに切った前髪。
ちょんちょんと二つ耳みたいにはねたアホ毛。
そんな自分を見つめながら、溜息を吐く。
眼鏡を取り、顔にかける。
毎日のルーティン。
飽きるほど飲んだ赤い飲み物は、命綱のようなものだから。
一日でも欠かしたら僕らの命は終わる。
こんな飲み物一つで繋がれるなんて、なんて自嘲気味に笑って見せる。
まだ寝ている雪を起こしに行く。
雪は朝に弱い。
それも仕方がない。
僕はまだしも、雪は濃いのだから。
だから朝が弱いのも当然。
それでも起きなければいけないから起こすのだ。
「えぇ…、もう起きんの…?まだ寝てても良くない…?まだ眠いんだけどー」
「遅刻したいならまだ寝ててもええよ。僕はもう行くけどな」
そう言うとガバリと飛び起きて、
「はいは~い!!今!今起きましたっ!!」
と言った。
さすがに初めての所を置いて行かれるのは不安なのか。
白い髪が太陽に反射してキラキラしている。
片目は長い髪で隠されている。
まぁ、髪の下にも眼帯をつけて、見えないようにしているけど。そんな雪には濃度を濃くした物を渡す。
雪は濃いのじゃないとだめだ。
だって、僕の体と雪の体は違うから。
嬉しそうに喉を鳴らしながら飲む雪に、
「お前、凪に会ったらどないする気?どうせ下らん事しかしないんやろうけど一応聞いとくわ」
「ん~…、喰う。あれ的な意味で」
なんてにやりと笑い、八重歯を覗かせる雪に、
「却下」
そんなの許可出さないに決まっているのに。
こいつはいつも懲りないんだからとため息一つわざとついてみる。
そんな僕をニヤニヤしながら見つめる雪。
「特別に闇奈も混ぜてやってもいいよー?ま、初めては俺がもらうけど。あぁ、闇奈は童帝だから刺激の高い話は無理か。ゴメンね☆」
高等スキル煽り発動、とでも言いたげに言葉を紡ぐ雪。
その口をどうやって塞げるか、言い合いで一度も勝った事ないからな、なんて思った。
「…、お前も同じやん。え、ブーメランかなんか?」
「俺のは純愛だよ。闇奈と一緒にしないで欲しいなぁ。チャンスなんていくらでもあったし?」
「僕もそしたら同じになるんとちゃう?僕も似たようなもんやったし」
そんな低レベルな言い争いをしていれば、そろそろ時間が近くなってしまったから。
あぁもう、と言いながら雪の支度を手伝ってやる。
時計の針が残酷に時を刻む。
あぁもう、初日から遅刻は絶対したくない!!
そんなことを思いながら雪を整えてやる。
雪を連れて外へ出る。
ドアを開けて、飛び込んできた光に目を細めながら。
朝日いっぱいの外へ。
日に弱い蝙蝠二匹飛び出した。
その後うがいをして着替え。
鏡に映るつまんなそうな赤い瞳にあの子と同じに切った前髪。
ちょんちょんと二つ耳みたいにはねたアホ毛。
そんな自分を見つめながら、溜息を吐く。
眼鏡を取り、顔にかける。
毎日のルーティン。
飽きるほど飲んだ赤い飲み物は、命綱のようなものだから。
一日でも欠かしたら僕らの命は終わる。
こんな飲み物一つで繋がれるなんて、なんて自嘲気味に笑って見せる。
まだ寝ている雪を起こしに行く。
雪は朝に弱い。
それも仕方がない。
僕はまだしも、雪は濃いのだから。
だから朝が弱いのも当然。
それでも起きなければいけないから起こすのだ。
「えぇ…、もう起きんの…?まだ寝てても良くない…?まだ眠いんだけどー」
「遅刻したいならまだ寝ててもええよ。僕はもう行くけどな」
そう言うとガバリと飛び起きて、
「はいは~い!!今!今起きましたっ!!」
と言った。
さすがに初めての所を置いて行かれるのは不安なのか。
白い髪が太陽に反射してキラキラしている。
片目は長い髪で隠されている。
まぁ、髪の下にも眼帯をつけて、見えないようにしているけど。そんな雪には濃度を濃くした物を渡す。
雪は濃いのじゃないとだめだ。
だって、僕の体と雪の体は違うから。
嬉しそうに喉を鳴らしながら飲む雪に、
「お前、凪に会ったらどないする気?どうせ下らん事しかしないんやろうけど一応聞いとくわ」
「ん~…、喰う。あれ的な意味で」
なんてにやりと笑い、八重歯を覗かせる雪に、
「却下」
そんなの許可出さないに決まっているのに。
こいつはいつも懲りないんだからとため息一つわざとついてみる。
そんな僕をニヤニヤしながら見つめる雪。
「特別に闇奈も混ぜてやってもいいよー?ま、初めては俺がもらうけど。あぁ、闇奈は童帝だから刺激の高い話は無理か。ゴメンね☆」
高等スキル煽り発動、とでも言いたげに言葉を紡ぐ雪。
その口をどうやって塞げるか、言い合いで一度も勝った事ないからな、なんて思った。
「…、お前も同じやん。え、ブーメランかなんか?」
「俺のは純愛だよ。闇奈と一緒にしないで欲しいなぁ。チャンスなんていくらでもあったし?」
「僕もそしたら同じになるんとちゃう?僕も似たようなもんやったし」
そんな低レベルな言い争いをしていれば、そろそろ時間が近くなってしまったから。
あぁもう、と言いながら雪の支度を手伝ってやる。
時計の針が残酷に時を刻む。
あぁもう、初日から遅刻は絶対したくない!!
そんなことを思いながら雪を整えてやる。
雪を連れて外へ出る。
ドアを開けて、飛び込んできた光に目を細めながら。
朝日いっぱいの外へ。
日に弱い蝙蝠二匹飛び出した。
0
あなたにおすすめの小説
《一時完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ
MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
続編執筆中
【完結済】どんな姿でも、あなたを愛している。
キノア9g
BL
かつて世界を救った英雄は、なぜその輝きを失ったのか。そして、ただ一人、彼を探し続けた王子の、ひたむきな愛が、その閉ざされた心に光を灯す。
声は届かず、触れることもできない。意識だけが深い闇に囚われ、絶望に沈む英雄の前に現れたのは、かつて彼が命を救った幼い王子だった。成長した王子は、すべてを捨て、十五年もの歳月をかけて英雄を探し続けていたのだ。
「あなたを死なせないことしか、できなかった……非力な私を……許してください……」
ひたすらに寄り添い続ける王子の深い愛情が、英雄の心を少しずつ、しかし確かに温めていく。それは、常識では測れない、静かで確かな繋がりだった。
失われた時間、そして失われた光。これは、英雄が再びこの世界で、愛する人と共に未来を紡ぐ物語。
全8話
王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む
木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。
その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。
燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。
眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。
それが妹の名だと知っても、離れられなかった。
「殿下が幸せなら、それでいい」
そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。
赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎月影 / 木風 雪乃
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる