どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

文字の大きさ
199 / 425
四章 雪闇ブラッド

第四話

しおりを挟む
そしたら嫌だなぁと思って、そんなことから目をそらすことにした。
自分にとって都合の良い事実に置き換えた。
僕にだけこんなことをいうのだと。
今からでも逃げ出して欲しいなんて願望もあるのだろうか。
そんなことできないのに。
ここに凪がいる限り、僕はここから離れない。
もう傍にいれないのは嫌なのだ。
正直にそう言えたらどれだけ楽だろう。
でも、身に覚えのない事を言われるほど怖い事はないというのを知っているから。
極力怖がらせたくないと思ってしまうから。
口に出せないのだ。
口に出そうにも、恐れてしまうのだ。
凪への優しさと見せかけて、ただ、自分を守るために行動してしまっているのだ。
「心配せぇへんでも、僕らは死なへんよ。特殊な体しとるし…。何より、理久レベルでもないやつらに負ける気せえへんから。だから心配せんといて」
僕と雪が力を合わせれば大抵の敵は即死する。
それは揺るがない事実。
だって、僕らは最強だから。
理久には勝てやしないけど、そこだけははっきりしてる。
それは僕らの生まれが強く関連しているけれど。
あまりその話はしたくない。
だって僕らの一番の地雷だから。
「なぁ、左右にいた奴らとどんな関係なん?答えたくなかったら別に答えなくてもええんやけど…」
はっきりさせたかったから聞いた。
もし、恋人だなんて言われたらどうしよう、なんて思いながら。
恋人なんて言われたらやだな。
そう聞くと、凪は足を止めた。
少し考えてから、口を開く。
「友達であり、契約相手って感じかな」
「えらい複雑な関係やな、それ」
どちらにも分類出来ない複雑な関係。
一体どうしたらそんな関係になるんだろう。
それを少し美しいと思った。
完全なものより、不完全なものの方が美しいと思うように。
別にその関係を羨ましいと思ったわけではない。
むしろそれを羨んだら少しヤバイ。
そしたら多分僕は相当参っている証拠だろう。
普段ならそんな事を思わないんだから。
「ねぇ、僕達ってどんな関係だったの?僕、昔の事全然覚えていないからさ」
「そうやなぁ…。友達、かな。一番近い言葉は」
友達。
そう凪は呟いた。
凪はここに来るまで友達がいなかったと理久から聞いた。
それはきっと腐りきった人間の国が原因なんだと思うけど。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—

水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。 幼い日、高校、そして大学。 高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。 運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」 学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。 生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。 静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。 しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。 「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」 玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。 それから十年後。 静は玲に復讐するために近づくが…

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む

木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。 その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。 燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。 眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。 それが妹の名だと知っても、離れられなかった。 「殿下が幸せなら、それでいい」 そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。 赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎月影 / 木風 雪乃

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

処理中です...