どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

第十七話

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外に出ると、冷気が肌に触れ、思わず震えてしまった。
肌の表面に厚く防寒魔法を張る。
ふと、理久をみると、理久は短パンのままで、寒くないのかと聞けば、
「ん~、何も感じないかな。防寒魔法オートで発動しちゃうし」
と言った。
理久は悪魔だからか僕より魔法の扱いが上手い。
もしかしたら、悪魔の住むところではこういう気候もあるのかもしれない。
そっか、と言って歩き始めた。
理久はご機嫌な様子で僕についてくる。
サク、サク、と雪を踏み締める音が響く。
時々溶けかけた雪を踏んで、パシャ、という音がする。
僕は、ふわふわの雪よりも、硬く握って、水につけて、表面に薄い膜を張っている方が好きだ。
表面を触るとツルツルしていて。
キラキラとしている。
まるで宝石みたいで。
その頃の僕は魔物の素材がお金になることなんて知らなかったから。
宝石なんて手に入らないと思っていた。
それに、人と関わるのも怖かったし。
冬は凍死しないようにと、吹雪の時は外に出ず、身を縮こませていたけれど。
雪が止んだときは外に出て遊んだ。
止んで仕舞えば怖くないと思ったから。
かまくら、雪だるま、雪山。
時には魔法も使って作り上げて。
普通の子供のように遊んだ。
最初はひとりぼっちで。
一人でも楽しくて。
ずっとずっと遊んでいられた。
颯太達と出会ってからは、颯太と美空も一緒に。
三人で雪に塗れて遊ぶのは楽しくて。
颯太や美空以外の人が来た時は隠れた。
他人が怖いから。
美空達以外の人が怖くて。
それに、颯太と美空が悪く言われるのが嫌だから。
颯太達は僕を受け入れてくれる。
けど、他の人はそうじゃない。
彼らにとって僕は化け物だ。
忌み嫌うべき怪物。
だから僕と関わっているところを見せてはいけない。
そんな僕を二人は困ったような、嬉しいよな。
複雑な表情で見つめて。
頭を撫でてくれる。
自分より一つ年下の男の子に慰められるのはどうかと思うけど。
それで救われる僕がいた。
颯太達はいつも、侵入者と一つ、二つ会話を交わして帰らせた。
大抵の侵入者はすぐ帰るけど、時々長く留まろうとする人もいて。
いつもかまくらの中でドキドキしていた。
いつ出ていくのかな。
もう出ても良いのかな。
外をちらちらと見ながら。
そう距離を測っていた。
けど、時々。
このまま二人がその侵入者と一緒に外に出てしまう気がして。
すごく寂しい気持ちになる時もあった。
そういう時でもいつだって帰ってきてくれるから。
僕は二人にとことん信用していたんだろうと思う。
冬は、そういう季節だった。
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