どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

文字の大きさ
212 / 425
四章 雪闇ブラッド

第十七話

しおりを挟む
外に出ると、冷気が肌に触れ、思わず震えてしまった。
肌の表面に厚く防寒魔法を張る。
ふと、理久をみると、理久は短パンのままで、寒くないのかと聞けば、
「ん~、何も感じないかな。防寒魔法オートで発動しちゃうし」
と言った。
理久は悪魔だからか僕より魔法の扱いが上手い。
もしかしたら、悪魔の住むところではこういう気候もあるのかもしれない。
そっか、と言って歩き始めた。
理久はご機嫌な様子で僕についてくる。
サク、サク、と雪を踏み締める音が響く。
時々溶けかけた雪を踏んで、パシャ、という音がする。
僕は、ふわふわの雪よりも、硬く握って、水につけて、表面に薄い膜を張っている方が好きだ。
表面を触るとツルツルしていて。
キラキラとしている。
まるで宝石みたいで。
その頃の僕は魔物の素材がお金になることなんて知らなかったから。
宝石なんて手に入らないと思っていた。
それに、人と関わるのも怖かったし。
冬は凍死しないようにと、吹雪の時は外に出ず、身を縮こませていたけれど。
雪が止んだときは外に出て遊んだ。
止んで仕舞えば怖くないと思ったから。
かまくら、雪だるま、雪山。
時には魔法も使って作り上げて。
普通の子供のように遊んだ。
最初はひとりぼっちで。
一人でも楽しくて。
ずっとずっと遊んでいられた。
颯太達と出会ってからは、颯太と美空も一緒に。
三人で雪に塗れて遊ぶのは楽しくて。
颯太や美空以外の人が来た時は隠れた。
他人が怖いから。
美空達以外の人が怖くて。
それに、颯太と美空が悪く言われるのが嫌だから。
颯太達は僕を受け入れてくれる。
けど、他の人はそうじゃない。
彼らにとって僕は化け物だ。
忌み嫌うべき怪物。
だから僕と関わっているところを見せてはいけない。
そんな僕を二人は困ったような、嬉しいよな。
複雑な表情で見つめて。
頭を撫でてくれる。
自分より一つ年下の男の子に慰められるのはどうかと思うけど。
それで救われる僕がいた。
颯太達はいつも、侵入者と一つ、二つ会話を交わして帰らせた。
大抵の侵入者はすぐ帰るけど、時々長く留まろうとする人もいて。
いつもかまくらの中でドキドキしていた。
いつ出ていくのかな。
もう出ても良いのかな。
外をちらちらと見ながら。
そう距離を測っていた。
けど、時々。
このまま二人がその侵入者と一緒に外に出てしまう気がして。
すごく寂しい気持ちになる時もあった。
そういう時でもいつだって帰ってきてくれるから。
僕は二人にとことん信用していたんだろうと思う。
冬は、そういう季節だった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—

水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。 幼い日、高校、そして大学。 高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。 運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

君に不幸あれ。

ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」 学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。 生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。 静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。 静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。 しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。 「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」 玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。 それから十年後。 静は玲に復讐するために近づくが…

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む

木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。 その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。 燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。 眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。 それが妹の名だと知っても、離れられなかった。 「殿下が幸せなら、それでいい」 そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。 赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎月影 / 木風 雪乃

白い部屋で愛を囁いて

氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。 シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。 ※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

処理中です...