どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

第二十話

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その結果完璧な学園に仕上がり、その前までの乱暴者は全てプリズン送りにされましたとさ。
「そしてその前会長は一体どこに行ったの?」
「そういえば...、どこに行ったんでしょう?」
そんなことどうでも良いですよ。
その発言に背筋がゾクっとした。
大抵はどこに行ったのか気になるのに。
だって闇落ちだとか、少し罪悪感だとか、恨んでいた相手ならどうなったのか気になるはずなのに。
だってそいつが何するかとか、少し気になるじゃないか。
多少は気にかけるのに。
「正直言って俺は権力が欲しかっただけなので...。なのでどうなろうと興味無いんです」
美空は他人に元々興味を示さない。
それは彼が王族だからというのが根本にあるが、それでもここまでになっていたのは知らなかった。
僕が行くまでには多少はそう言うの気にしたりしていたのに。
そう言うのも完全に無くなってて。
最近中々会う機会がなかったけれど。
だから、こういう変化にすぐ気づけなくて。
「何かあったの?」
「何もありませんよ。あの城の中は変わらず汚れているだけです」
表情が読み取れないような、そんな表情で。
そんな事を告げる。
やっぱり何かあったんだ。
それ、教えてくれないんだ。
僕に教えてくれないんだ。
心の中に黒いモヤが生まれる。
どうして教えてくれないのなんて身勝手な事思っちゃって。
そんなの知りたがらないからでしょって自分を納めて。
美空は語ろうとしないけれど。
聞いても良いのかな。
けれど、普段なら全部隠さず話してくれるのに、隠すってことはきっと。
誰にも聞いてほしくないのかもしれない。
僕にも。
だとしたら、僕は聞かない方が良いのかも。
...、なんて思ったけど。
「美空がそういうなら今は深く聞かないよ。だけど、僕も協力できそうな時は言ってよ。何もしないなんて嫌だから」
それだけは言わせてほしい。
知りたいって感情はちゃんと隠すから。
話して良い時に話してよ。
頼ってよ。
どうせ辛い目に遭ってるのなんて想像つくんだから。
美空の澄み切った碧の瞳を見て言う。
「はい。いつか必ず話します。...、とりあえず、今は喧嘩のあった場所へ向かいましょうか」
美空が僕の頭を撫でながらそういう。
その温もりに安心しながら。
それもそうだね、と頷いて、早速向かう事にした。
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