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四章 雪闇ブラッド
第三十七話
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どうして、吸血鬼として生まれたんだろう。
しかもよりによって血影家に。
自分の運命をいつも呪ってしまう。
そんな自分に少しため息を吐きながら外を見る。
その視線の先には美空と凪。
僕だって心配で来たのに。
飛び出せなかった。
僕よりも美空の方が嬉しいんじゃないかと。
雪と一緒にいるお陰でズタズタに切り裂かれ捨てられた自尊心がそう言ったから。
その声に従ってしまった。
二人を眺めながら過去に思いを馳せる。
雪と双子で生まれた僕は雪のスペア。
生まれた瞬間に刻まれた運命。
雪が何かの手違いで、儀式の最中に死んでしまったら。
僕が処刑道具を受け入れる器に。
そう決まっていた。
だから僕も一応それなりに扱われた。
それでもみんなが雪の方を望んでいるのは変わらずに。
それに少し心を痛めながら僕は生きていた。
雪は先祖返りを起こしていた。
初代である吸血鬼と同じ。
それ以上のポテンシャルを持っていた。
それがすごく羨ましかった。
僕が絶対に持てないもの。
生まれながらに持った天武の才。
だから両親も、親族も、兄弟も。
皆、雪に期待していた。
雪はそれに対していつも能天気に笑う。
期待に対して能天気に笑って、ちゃんと期待に応えて。
さらに想像の斜め上を行った結果を残す。
それを羨ましげに眺めて。
僕はいつもため息を吐いて強がっていた。
顔も背も似ている僕らは唯一、髪色だけが違った。
僕の黒は吸血鬼から忌み嫌われる色だった。
黒は鮮血を悪くする。
酸化して黒くなった血がまずいから。
だから嫌われる。
雪の色。
白は吸血鬼が尤も高貴とし、美しいとする色だった。
純白で純潔で美しい。
誰にも汚されていない血液。
ずっと、雪が羨ましかった。
入れ替わりたかった。
雪の一歩後ろ。
影のように歩かされる事。
それが一番苦しかった。
血影という苗字。
それってまるで僕みたいやなぁ、なんて思った。
「だって、僕は永遠に雪の影から。一族の血の影になるしかないやないの」
そう呟いた声も、心の奥に押しつぶした。
雪の儀式はあっけなく終わった。
熱い液体を一息に飲み込んで。
涼しい顔でごちそうさま、なんて言って。
ペロリと舌舐めずりしてみせた。
本当は処刑道具を飲む時すごく苦しいはずなのに。
それすら感じさせないのだ。
しかもよりによって血影家に。
自分の運命をいつも呪ってしまう。
そんな自分に少しため息を吐きながら外を見る。
その視線の先には美空と凪。
僕だって心配で来たのに。
飛び出せなかった。
僕よりも美空の方が嬉しいんじゃないかと。
雪と一緒にいるお陰でズタズタに切り裂かれ捨てられた自尊心がそう言ったから。
その声に従ってしまった。
二人を眺めながら過去に思いを馳せる。
雪と双子で生まれた僕は雪のスペア。
生まれた瞬間に刻まれた運命。
雪が何かの手違いで、儀式の最中に死んでしまったら。
僕が処刑道具を受け入れる器に。
そう決まっていた。
だから僕も一応それなりに扱われた。
それでもみんなが雪の方を望んでいるのは変わらずに。
それに少し心を痛めながら僕は生きていた。
雪は先祖返りを起こしていた。
初代である吸血鬼と同じ。
それ以上のポテンシャルを持っていた。
それがすごく羨ましかった。
僕が絶対に持てないもの。
生まれながらに持った天武の才。
だから両親も、親族も、兄弟も。
皆、雪に期待していた。
雪はそれに対していつも能天気に笑う。
期待に対して能天気に笑って、ちゃんと期待に応えて。
さらに想像の斜め上を行った結果を残す。
それを羨ましげに眺めて。
僕はいつもため息を吐いて強がっていた。
顔も背も似ている僕らは唯一、髪色だけが違った。
僕の黒は吸血鬼から忌み嫌われる色だった。
黒は鮮血を悪くする。
酸化して黒くなった血がまずいから。
だから嫌われる。
雪の色。
白は吸血鬼が尤も高貴とし、美しいとする色だった。
純白で純潔で美しい。
誰にも汚されていない血液。
ずっと、雪が羨ましかった。
入れ替わりたかった。
雪の一歩後ろ。
影のように歩かされる事。
それが一番苦しかった。
血影という苗字。
それってまるで僕みたいやなぁ、なんて思った。
「だって、僕は永遠に雪の影から。一族の血の影になるしかないやないの」
そう呟いた声も、心の奥に押しつぶした。
雪の儀式はあっけなく終わった。
熱い液体を一息に飲み込んで。
涼しい顔でごちそうさま、なんて言って。
ペロリと舌舐めずりしてみせた。
本当は処刑道具を飲む時すごく苦しいはずなのに。
それすら感じさせないのだ。
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