どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

全てを魅了する真紅をあなたに

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今後、こんな能力の持ち主は二度と現れないだろう。
現れるとしたら理久の能力を二つに分けた場合。
つまり子供にしかあり得ない。
けれど子供なんて産まれやしない。
子供を産むための生殖行為には接触が不可欠なのだから。
接触せずに産むにしても最後自身の一部を混ぜなければいけないのに。
混ぜたら死んでしまうのに。
理久の細胞一つ一つにも呪いが刻まれているのに。
だからと言って一人の人間の人生を潰して良いのか。
それは違うような気がする。
それでも。
どうすれば良いのかわからない。
「ねぇ、凪。この城で暮らそうよ!ご両親には会いに行こう!僕が出入り口くらい作ってあげるからさ!」
理久の楽し気な声が響く。
楽し気に体は揺れて、瞳が輝く。
理久なら作れるだろう。
だって史上最強で最悪の魔王なのだから。
魔力なんて腐る程あるのだから。
そんなお願い事なんて叶えられる。
なんならきっと神に等しい存在だと言えるのだから。
凪の瞳と交差する。
僕の瞳をまっすぐ見つめる目に耐えきれなくなって目を逸らす。
「...、本当に僕の事。両親の元に帰してくれる?ちゃんと約束してくれる?」
凪の声が静かに響く。
それに対して理久はわぁって言いながら、
「絶対に帰してあげるよ!契約したって良い!!」
理久の赤い瞳が一層輝く。
まるで血のような赤に。
僕らの瞳と同じ赤のくせに、真紅の輝きを放った。
まるで見たもの全てを引き摺り込むような美しい赤。
この時、理久が本当に契約を結ばなくて良かったと思った。
もしも結んでいたら、凪が永遠に理久の物になるのが確定してしまうのだから。
誰にも覆せなくなるのだから。
約束だよ、と凪は言う。
契約はしなくて良いから。
それに理久はうん!と頷いて、
「じゃあ、部屋の準備してくるね!」
そう言って理久は部屋から出ていった。
最後までたのしげに。
退屈そうに世界を眺める少年は消えた。
そこにあるのは大事な守るものを見つけた少年の姿だった。

凪と二人きりで部屋に残った。
何か話そうとは思うけど、なかなか会話の糸口が見つからない。
それでも、凪は無言でこちらを見つめてくる。
無言が続く空間に耐えきれなくて、部屋から出て行こうか悩んでいれば、
「あの、名前なんて言うの?」
凪が口を開いた。
嫌に響く声。
どう会話すれば良いのかわからないのに。
名前?
僕の名前ならさっき言ったはずだけど。
理久の名前の事?
どれのこと?
わからないや。
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