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四章 雪闇ブラッド
不幸しか待っていないような
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凪は生きたいと願ったんだろう。
崖崩れに巻き込まれて。
死にかけで消えかけの命の灯を掲げながら。
両親と違って脆い赤子の体。
消えゆく自我。
滅びゆく命。
死にたくないと必死に叫んでいる中。
そこに救いの手が差し伸べられたから掴んだのだろう。
まるで命綱を掴むように。
その後のことなんて考えずに生きることだけに執着した形。
人ではなくなる。
人ならざるものになる事を理解する事なく。
そんな恐怖なんて全く考えないで。
ただ生きることだけを考えて行動して。
まさに生存本能に従った形。
それは。
本当にそれで良いのかと言いたくなるような。
まるで獣だ。
それが凪の本性なのだろうか。
今は柔らかな笑顔を浮かべる彼の心には誰にも制御できない獣が眠っているのだろうか。
でも、そうなるのは当然だと思った。
生物とは、本能的に死を恐れているのだ。
生存本能と呼ばれるそれは、生物には必須である。
そうじゃないと簡単に滅びてしまうから。
生きようとしなきゃ、種を存続しようとしなければ簡単に淘汰されてしまう。
だから死のうとするときに無意識に抵抗する。
自殺が難しいのはその所為だろう。
そういう意味では不老不死というものに生物が憧れるのはとても分かる。
永遠の命。
響きだけでもとても魅力的なのだから。
もしも実際に手に入れたら。
目の前の凪を見る。
事の重大さに気づいていない凪は。
何の事か分からないと言いたげに。
笑ってみせる。
無垢な笑顔。
無知ゆえの笑顔と過ち。
知らないうちが幸せだ。
知らない方が幸せだ。
無限に再生する体。
そしてそれに付随する怪物性。
それを知った他の人間達はどうするのだろう。
凪の体を利用して、人には決して試せない実験を行うのか。
人を効率良く殺す為の術を不死の身体を利用して探求するのか。
同じ人間には出来ないけど。
死なない怪物にはいくらでも出来るとでも言いながら。
そんなの所詮言い訳でしかなくて。
やっていることは同等のはずなのに。
周囲はきっとよくわからない熱に浮かされて賛同するのだろう。
なんて悍ましい世界なのだろう。
回復に必要な栄養素を最低限摂取させられて。
死にたくたって死ねない命。
それでもずっと苦しみを抱いて生きる為にその道を選んだわけではないのに。
人間という生き物の悍ましさを知ってしまっている僕は。
どうしてもそんな考えを拭い去る事ができない。
もしくは内臓を抉り取られるのだろうか。
骨だけは残してそれ以外全て。
骨は体の基盤になるからと残して。
そして高値で売り捌かれて。
崖崩れに巻き込まれて。
死にかけで消えかけの命の灯を掲げながら。
両親と違って脆い赤子の体。
消えゆく自我。
滅びゆく命。
死にたくないと必死に叫んでいる中。
そこに救いの手が差し伸べられたから掴んだのだろう。
まるで命綱を掴むように。
その後のことなんて考えずに生きることだけに執着した形。
人ではなくなる。
人ならざるものになる事を理解する事なく。
そんな恐怖なんて全く考えないで。
ただ生きることだけを考えて行動して。
まさに生存本能に従った形。
それは。
本当にそれで良いのかと言いたくなるような。
まるで獣だ。
それが凪の本性なのだろうか。
今は柔らかな笑顔を浮かべる彼の心には誰にも制御できない獣が眠っているのだろうか。
でも、そうなるのは当然だと思った。
生物とは、本能的に死を恐れているのだ。
生存本能と呼ばれるそれは、生物には必須である。
そうじゃないと簡単に滅びてしまうから。
生きようとしなきゃ、種を存続しようとしなければ簡単に淘汰されてしまう。
だから死のうとするときに無意識に抵抗する。
自殺が難しいのはその所為だろう。
そういう意味では不老不死というものに生物が憧れるのはとても分かる。
永遠の命。
響きだけでもとても魅力的なのだから。
もしも実際に手に入れたら。
目の前の凪を見る。
事の重大さに気づいていない凪は。
何の事か分からないと言いたげに。
笑ってみせる。
無垢な笑顔。
無知ゆえの笑顔と過ち。
知らないうちが幸せだ。
知らない方が幸せだ。
無限に再生する体。
そしてそれに付随する怪物性。
それを知った他の人間達はどうするのだろう。
凪の体を利用して、人には決して試せない実験を行うのか。
人を効率良く殺す為の術を不死の身体を利用して探求するのか。
同じ人間には出来ないけど。
死なない怪物にはいくらでも出来るとでも言いながら。
そんなの所詮言い訳でしかなくて。
やっていることは同等のはずなのに。
周囲はきっとよくわからない熱に浮かされて賛同するのだろう。
なんて悍ましい世界なのだろう。
回復に必要な栄養素を最低限摂取させられて。
死にたくたって死ねない命。
それでもずっと苦しみを抱いて生きる為にその道を選んだわけではないのに。
人間という生き物の悍ましさを知ってしまっている僕は。
どうしてもそんな考えを拭い去る事ができない。
もしくは内臓を抉り取られるのだろうか。
骨だけは残してそれ以外全て。
骨は体の基盤になるからと残して。
そして高値で売り捌かれて。
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