どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

吸血鬼なりのストーリー

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本来の姿で凪の前に立ったって何も思い出してくれない。
思い出すはずがない。
そう、これが俺の後悔。
あの時、ちゃんと自分の姿で会ってればよかったのに。
いや、そんな勇気はないか。
俺はなぜか凪のことになると臆病になってしまった。
これが恋をした影響なんだろうな。
だって君の中にある俺の記憶は女としての姿だろうし。
血影 雪ではなく、如月 咲という別の名前の女との記憶として。
俺が作り出した仮想の女が。
俺のいるべき記憶の場所にいるだろうから。
咲という俺の顔そっくりの女がこちらを見て笑った気がした。
それに自嘲気味に笑い返す。
俺の影なんて一切残さず残っているだろうから。
あの頃の事を少し思いだす。
親から女装しろと言われて、自分の髪色と全く同じウィッグを買うか、魔法で伸ばすか迷ったけど伸ばすことにした。
まずそんなことではなくて、女装しろと言われたことに違和感を感じろと思う。
似合うと思ったのだろうか。
少し試してみたいとか思ったのだろうか。
馬鹿なのだろうか。
女装以前に自分が男だということを少し思い出して欲しかった。
似合う似合わないではなくて、それで良いのか考え直して欲しかった。
ほら、例えば俺がその人間に惚れてしまったらどうするだとか。
いや、そんなの全く想像していなかったか。
想像の余地にもなかったか。
俺が惚れるなんてありえないと思ってたし。
散々悩んで弾き出した結論に自分なりに満足して早速魔法をかけた。
綺麗に伸びた白髪に満足して。
自毛の方が都合が良いから。
アレンジだってしやすいし。
ウィッグじゃあいずれ外れてしまう事だってある気がして。
そんなリスクを抱えながら生活するのはストレスでしかないだろう。
そう考えると自分でこの髪を整えていた方が良いかもしれない。
瞳の色はそのまま。
変える必要なんてない。
血のような綺麗な紅は俺のお気に入りだから。
少しでも変えてしまうのは勿体無い気がして。
とても綺麗で宝石のような瞳は。
自分でいうのは少し変だけど永遠に眺めていられる気がした。
服は城下町へ出て購入した。
「雪様が女性用の服を選ぶなんて珍しいですね。パートナーの方...婚約者の方への贈り物ですか?」
店員が笑みを浮かべながら聞く。
「うーん、まぁ、そういうとこ」
濁して返す。
そう答えた方が都合が良いだろう。
一応婚約者はいた。
親が勝手に決めたやつだけど。
スノー・フラワー。
それが彼女の名前。
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