どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

イベントが重なれば良かったのに

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愛情であったり。
個人による。
十人十色。
この言葉通りに戦う理由なんて人それぞれなんだから。
全部わからないけど。
ただ君が苦しむことになるのはなんとなくわかるよ。
それがわかった上で。
理久と僕は覚えさせようとしてる。
だって、覚えさせたら君はこの国に戻ってくるでしょう?
人間の国は怖いやって言って、ずっとここにいてくれるでしょう?
きっと、恋じゃないよ。
こんなぐちゃぐちゃの心なんてさ。
分かりきってるよ。
だから好きだとか。
そんな言葉吐いたりしないよ。
愛の言葉だって言わないさ。
その癖君を留まらせようとしてるんだ。
理久のためだからって言って。
とにかく、国の為。
そこだけが共通点なのだ。
みんな戦う理由ってのは。
凪の両親。
その存在を思い出す。
彼らは王国の人間。
十分盾になりうる存在。
両親の為に働けと言われるのだろうか。
「そういえば、そろそろ僕二歳になるんだよね」
凪がこの魔王城に来て半年。10月の初め。凪がそう言い始めた。二歳。つまり凪の誕生日は10月。僕と雪と理久と同じ月。偶然にしては運命的だと思った。
「ふぅん。僕も10月生まれなんよ。何日なん?」
「10月20日。闇奈は何日なの?」
未だにこの凪の目に慣れない。
雪の代用品としてずっと扱われてきたから。
闇奈として扱われるのになかなか慣れない。
闇奈としてまっすぐ見つめてくるこの瞳に。
なんだか緊張が少しだけ。
そしてほんのり嬉しいような複雑な気持ちが。
それが居心地悪くて。
だからこういう時には決まって目をそらす。
そうしてないといけない気がして。
そうじゃないと僕を見てくれるって。
思い上がってしまう気がして。
「僕は10月25日。理久は31日や。理久はハロウィン生まれなんよ」
魔王が生まれると言われるハロウィン。
理久にピッタリだ。
理久はそれに対してハロウィンと重なるから目立てないと溢したことがあったけど。
僕の誕生日も何かイベントがあったら良いのに。
ハロウィンとか、クリスマスとか、七夕とか。
そしたら。
家族から祝われないのをイベントの所為に出来たのに。
イベントがあるから仕方ないかって。
一緒に生まれたはずの僕は、影として。
誕生日会に出てくる事はない。
参加はしているけれど。
主役ではないから。
僕は主役として数えられないから。
雪が主役で進む誕生日パーティー。
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