どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

暖かな日差しの中で

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それが何だか嬉しいのだ。
俺が座るいすには常にクッションを置いていたり。
俺が過ごしやすいように室温に気を使ったり。
そういう動作一つとってもとても良いやつだと思う。
きっと女だったらほれているんだろうなと思うような動作をするので、その度に複雑な気持ちになるから。
きっと、俺が女じゃないから。
本当の姿を晒したらきっとこんな心地良い空間は消えるだろうから。
なんなんだろう、この気持ち、と少し不思議になる。
こんなこと思ったのなんて初めてだ。
いつもだったら、少しは気にしはするけどそれくらいで。
それ以上なんて思わないのにな。
良いじゃないか。
咲という設定を完璧に演じられているという証拠だ。
それは俺にとっては誇りに近いはずなのにな。
いつの間にか凪の前ではそうではなくなってしまっていた。
わざと雑な動作をしてみる。
ふいに思ったのだ。
雑な動作とか、女の子らしくない動作を繰り返してみたらどうなるのか。
例えば手を洗った後手を拭かなかったり。
かと思ったらおやつを食べ散らかしてみたり。
どこまで許してくれるのか知りたかったのだ。
女子でもドン引いて関わんないだろってくらい。
色々やってみた。
突然虫を捕ってこようとか言ってみたり。
そう言って外へと誘ってみた。
凪はいいけど、なんて言って出かける準備をした。
そうは言っても、理久に外出する旨を伝えるだけだけど。
理久は俺と凪を交互に見比べてから、
「うー…、まぁ、2人ならいっか。凪一人で行く訳じゃないしね。もしもの時はゆ…、咲を置いて逃げるんだよ!」
そう理久が力いっぱいに言う。
いや、俺を置いて行けって俺が言わないのかよ。
俺が言うセリフだろ。
お前がなんで俺の代わりに言うんだ。
それに対して、少し凪は顔を顰めて、
「流石に女の子を置いて逃げたりはしないよ。当たり前でしょ。…、理久も女の子に優しくしなきゃめっ、だよ?」
そう凪が言う。
理久はこくこく、と頷くけれど、実践する気はないだろう。
昔から女の子に対して相当酷い態度しかとらないし。
まぁそれは理久の立場上仕方ない事だと思うけど。
二人で外に出かける。
城の外にプライベートで出かけるのなんて久しぶりだ。
基本公務で出かける事ばかりだったから。
自分から外出する気は全然起きないし。
凪は外に出て、少し深呼吸をした。
外の空気は澄んでいる。
俺も一緒に深呼吸をした。
肺の中に新鮮な空気が満ちる。
何だか清々しい気持ちになれる。
しばらく歩いていると木が幾つか立っていた。
森林地帯に近づいてきたみたいだ。
綺麗な花畑が広がり、蝶が飛ぶ。
「わぁ…、綺麗」
そう凪が言うから連れてきて良かったなんて思う。
適当にピクニックシートを敷いてお昼ご飯にした。
お弁当は作ってきた。
ピクニックに似合うサンドイッチを詰め合わせたバスケットを凪の前に広げる。
一生懸命作ったけれど、初めて作ったからか、形が不揃いになっていた。
うまくできたら良かったのに。
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