どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

奪われてしまったんだ

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香り高い温気を放っそれはきっと理久が用意したものだろう。
きっと楽しそうに選んだんだろうなぁ。
凪にせがまれたから一所懸命茶葉やティーセットと睨みっこして。
まるで目の前で行われた事のように想像出来る。
魔界にて最高級茶葉を選んで。
それでも、凪はどの茶葉を気にいるかな、なんて。
いつもは全然しない試飲だとか、色んなお菓子と一緒に飲んでみたり。
いつもなら砂糖とミルクを入れなきゃ飲まない紅茶を、一生懸命何にも入れずに何杯も飲んで。
その上でこれなら気にいるかと厳選して。
ティーセットも最高級のものを選んで。
一生懸命吟味したんだろうな。
だって、理久は凪に関しては本気を出すから。
それはきっと。
凪の体が不老不死だからだろうな。
理久の体は触れただけで他人を殺してしまうから。
だから凪だけなんだろう。
一口、口に含む。
その瞬間、あまりの美味しさに感嘆の声が出た。
この紅茶を淹れたのは凪だ。
けれどとても美味しかった。
まるでプロが淹れた紅茶のように。
いつも飲んでいるはずなのに。
なぜか違く感じた。
全然別物に感じるのだ。
今まで飲んでいたのが味のついたお湯と言われても納得するくらいには。
それくらい美味しかったのだ。
食器が違うから?
確かにいつも淹れている食器のブランドと全然違う。
別物だ。
けれど、食器が違うとかそういうレベルでは無いような気がするのだ。
それとも家族といるわけではないから?
いつも家族とやるお茶会は重苦しくて、退屈だったから。
この国で一、二を争う腕をもつものに淹れさせたって無味に感じられるように。
家族意外と飲んでいるから美味しいのかな。
どれも違うような気がした。
どれもしっくりこないから。
全然違う理由の方があっているような気がした。
それとも。
思い当たった理由が変に腑に落ちて。
昨日からの心の不調の理由もついてしまった。
紅茶から口を離す。
ダージリンの味が口の中に残る。
わかってしまった。
自覚してしまったのだ。
目の前に座る男の顔を見る。
どうしたの?とでも問いかけるよろな視線をこちらに投げかける。
顔には微笑みを浮かべながら。
楽しそうにお茶を飲んで。
ニコニコとこちらを見ている。
凪と一緒に飲んでいるからだろうか。
生まれて初めて本気で好きと思えた相手と飲んでいるからだろうか。
そう思うと今までの心の不和が途端に納得出来て。
それと同時にどうしようもないミスをしてしまったと思うのだ。
ミイラ取りがミイラになった。
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