どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

スケート

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そう言って誤魔化す。
言えるわけない。
手に触れながら、これは僕しか触れられない手なんだって思ってた事なんて。
そんなの絶対言えるわけがないから。
手袋をつけ直して理久の手を引く。
こくり、とうなずいて、理久は僕に手を引かれた。
まるで幼子みたい。
僕より少し身長が低いから理久はこちらを見上げる形になるけれど。
美室は僕の反対側の手をにぎる。
でも、強い力で握るから。
思わず僕は美空の方をみてしまう。
無理やり視線を奪われたような気持ちだった。
美空は僕と目を合わせるとふふ、と笑って。
「折角俺もいるんだからもっと俺に構ってくださいよ」
そういった。
どうやら拗ねただけみたいだ。
美空でも拗ねる事があるんだ。
意外だな、なんて思った。
ドアはわずかな機材音のような、人には出せない音を出して開いた。
まるでここだけ機械文明みたいだ。
どうせ全部魔法が使われているのに。
この国は魔法なしで生きる事が出来ないのだから。
慶力をゆっくりと放出して、房が開く。
中からふわぁ、と。
白い息を吐き出すように、冷気を放出した。
足元を白い霧が覆う。
どうやら下は相当冷えているみたいだ。
目の前一面に広がる白銀の世界。
美しく整えたフロアの氷。
定を踏み入れれば、そこはもうアイスの上。
氷の上に降り立つ事になる。
「良いですか?気をつけて下さいね、凪先輩。氷の上は意外と滑ってバランスが取りづらいです」
そう美空が言う。
そして、靴のカバーを外し始めた。
カチャリ、カチャリ、と音がした。
僕も習ってカバーを外す。
そして外し終わったら、近くにあった塀に掴まる。
美しく磨かれた氷上に、刃を外してそっと降り立つ。
バランスを取って地上の上に立つのと同じ事をすれば良いだけなのに。
片方だけ足を出すと滑って転びそうになる。
上手く歩けない。
滑ってしまうから足を引っ込めて、再び出しての繰り返し。
前進して後退して一切進む事がない。
正直僕は困っていた。
それに見かねた美空は先に氷上に立って。
バランスを取って見せる。
そのまま軽く滑って見せる。
僕は感嘆の声を上げる。
僕は上手く立つ事すらできていないのに。
そして僕に向かって手を伸ばす。
「さぁ、こちらにどうぞ。俺の手をにぎってください。大丈夫です。絶対に離しませんから!」
そう僕をまっすぐに見つめて言う。
美空にそう言われると伸ばしてみようと思うのは。
美空の人柄の所為だろうか。
それとも。
さっきの美空との事が関係しているのだろうか。
だからそっと手を伸ばす。
でも上手くつかめないから。
仕方ないな、なんて言いたげな顔を美空がする。
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