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四章 雪闇ブラッド
雪の覚悟
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いつもならそんなことないから。
誰かと踊るなんてかなり久しぶりだな。
いつもは踊ることなんてないし。
なんなら食事するだけだから。
だから至って珍しいことで。
「ええよ。雪。踊ろうか。久しぶりに。二人で。どうせ何か話したいことがあるんやろ?」
そう雪に返す。
すると、雪はこくり、と頷いて僕の手を握り返す。
初めはゆったりとしたリズム。
だんだんと曲調も激しくなり、リズムを取りづらくなる。
それでも僕は全然合わせられる。
雪は今まで伸ばしていた髪をバッサリ切っていた。
女の振りはもうやめると言うことだろう。
明日から白の中が荒れそうだな。
だって、雪の女装姿は割と好評だったから。
みな雪の女装姿に本物の女だと騙されて。
雪に好意を抱いたりしていたわけだから。
もうやめて、本当の姿で凪に出会うのが雪の望みなのだろうか?
だって、雪も凪に出会っているから。
そんなことを考えながら、踊りのステップをひたすら綴る。
一応社会に出ているから、ある程度踊りは熟知していた。
舞えと言われれば舞える程度には。
雪の顔を見る。
なんだかいつもより顔色が優れない気がした。
どうしたのだろうか。
人酔いなんてするはずもないし。
雪の瞳の焦点が時々ずれている。
ゆらゆらと。
いつかみたことがあったような。
そんな既視感があるような瞳。
なんの時に見たっけ。
何があった時に見たんだっけ。
それが思い出せなくて。
ただ良くない時に見たことだけが思い出せて。
「なぁ、処刑道具の事だけどさ。もしも。もしも俺が死んだらお前が引き継ぐの?お前の中に入ることになるの?」
そう雪が問いかける。
その時雪の口元から唾液がぽたりと垂れる。
その症状から。
極限状態の飢餓。
つまりこいつは今血を口にしていない。
いや、ありえない。
そんなわけない。
頭の中に浮かんだ仮説を一生懸命否定する。
だって、そんなのありえないじゃないか。
吸血鬼が飢餓状態で自我を保っていられるわけないじゃないか。
誰かと踊るなんてかなり久しぶりだな。
いつもは踊ることなんてないし。
なんなら食事するだけだから。
だから至って珍しいことで。
「ええよ。雪。踊ろうか。久しぶりに。二人で。どうせ何か話したいことがあるんやろ?」
そう雪に返す。
すると、雪はこくり、と頷いて僕の手を握り返す。
初めはゆったりとしたリズム。
だんだんと曲調も激しくなり、リズムを取りづらくなる。
それでも僕は全然合わせられる。
雪は今まで伸ばしていた髪をバッサリ切っていた。
女の振りはもうやめると言うことだろう。
明日から白の中が荒れそうだな。
だって、雪の女装姿は割と好評だったから。
みな雪の女装姿に本物の女だと騙されて。
雪に好意を抱いたりしていたわけだから。
もうやめて、本当の姿で凪に出会うのが雪の望みなのだろうか?
だって、雪も凪に出会っているから。
そんなことを考えながら、踊りのステップをひたすら綴る。
一応社会に出ているから、ある程度踊りは熟知していた。
舞えと言われれば舞える程度には。
雪の顔を見る。
なんだかいつもより顔色が優れない気がした。
どうしたのだろうか。
人酔いなんてするはずもないし。
雪の瞳の焦点が時々ずれている。
ゆらゆらと。
いつかみたことがあったような。
そんな既視感があるような瞳。
なんの時に見たっけ。
何があった時に見たんだっけ。
それが思い出せなくて。
ただ良くない時に見たことだけが思い出せて。
「なぁ、処刑道具の事だけどさ。もしも。もしも俺が死んだらお前が引き継ぐの?お前の中に入ることになるの?」
そう雪が問いかける。
その時雪の口元から唾液がぽたりと垂れる。
その症状から。
極限状態の飢餓。
つまりこいつは今血を口にしていない。
いや、ありえない。
そんなわけない。
頭の中に浮かんだ仮説を一生懸命否定する。
だって、そんなのありえないじゃないか。
吸血鬼が飢餓状態で自我を保っていられるわけないじゃないか。
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