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四章 雪闇ブラッド
命を天秤にかけて
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そう思うのに、目の前の雪は平気でしそうで怖いイメージがあった。
雪は僕にしか聞こえない声量でそう問いかけた。
周りには音楽で聞こえていないだろう。
突然の質問だったのと、質問の内容が内容だったので動きを止めた。
それに雪は無理やり引っ張って動きを継続させる。
「動き止めるなよ。怪しまれちゃうじゃん」
あは、なんて笑いながら。
歪で完璧なステップをひたすら綴る。
僕はそこから一気に動きを工夫して、なんの問題もなかったかのようにダンスを続ける。
不自然さをなくしたリズムでそのまま動き続けた。
「僕は雪の双子として生まれた。つまり片割れや。片割れは処刑道具を引き継げる。やから問題ない。…、引き継ぐという点においてはな。ただ、死ぬ気なん?お前が?」
そう僕が聞くと、うん、と頷く。
「俺、賭けをするんだ。生まれて初めてだよ。自分から賭けたいって思ったのも。こんな危険な事しようって思ったのも。でもしなきゃいけないから」
そう雪が淡々とリズムを続けながらいう。
くるり、とターンを間に挟みながら。
僕はそれに対してそうか、としか言えない。
雪の瞳の瞳孔は完全に開き切っている。
まるで飢えた獣のようだった。
「俺さ、もう長い間血を飲んでないんだよね。今日で六日目だ。明日も飲まなかったら死んじゃうね、俺」
そう、雪は日常会話でもするように言った。
明日の天気は晴れですね、と同じように。
なんて事ないように、明日までの命だと言ったのだ。
吸血鬼は七日間吸血しないと死んでしまう。
だから雪は。
こんな飢えた獣みたいな顔をしているのか。
なんとなくわかっていたけど。
きっとそうだとは思っていたけど。
片割れが死にかかってるなんて。
そんな事実が少し信じられなくて。
なのに足は勝手にテンポ毎にステップを重ねていく。
決まり切った作法に則って、動きを淡々と紡いでいく。
それが嫌で。
止めたいのに。
「続けないとダメだよ」
そう雪が言ってやめさせないのだ。
きっと周囲の目から見れば、僕らはただ踊っているだけで。
踊りながら談笑しているだけで。
こんな深刻な話をしていると思わないだろう。
そもそも普通、こんなところでこんな深刻な話をしない。
舞踏会で踊りながら、明日になったら死ぬ話なんて。
「あぁ、お父さんとお母さんには言ってないよ?言ったら止められるなんてわかってる。吸血鬼の死体は無いから、どうして死んだのかわからないでしょ?だから誤魔化せるでしょ」
雪は僕にしか聞こえない声量でそう問いかけた。
周りには音楽で聞こえていないだろう。
突然の質問だったのと、質問の内容が内容だったので動きを止めた。
それに雪は無理やり引っ張って動きを継続させる。
「動き止めるなよ。怪しまれちゃうじゃん」
あは、なんて笑いながら。
歪で完璧なステップをひたすら綴る。
僕はそこから一気に動きを工夫して、なんの問題もなかったかのようにダンスを続ける。
不自然さをなくしたリズムでそのまま動き続けた。
「僕は雪の双子として生まれた。つまり片割れや。片割れは処刑道具を引き継げる。やから問題ない。…、引き継ぐという点においてはな。ただ、死ぬ気なん?お前が?」
そう僕が聞くと、うん、と頷く。
「俺、賭けをするんだ。生まれて初めてだよ。自分から賭けたいって思ったのも。こんな危険な事しようって思ったのも。でもしなきゃいけないから」
そう雪が淡々とリズムを続けながらいう。
くるり、とターンを間に挟みながら。
僕はそれに対してそうか、としか言えない。
雪の瞳の瞳孔は完全に開き切っている。
まるで飢えた獣のようだった。
「俺さ、もう長い間血を飲んでないんだよね。今日で六日目だ。明日も飲まなかったら死んじゃうね、俺」
そう、雪は日常会話でもするように言った。
明日の天気は晴れですね、と同じように。
なんて事ないように、明日までの命だと言ったのだ。
吸血鬼は七日間吸血しないと死んでしまう。
だから雪は。
こんな飢えた獣みたいな顔をしているのか。
なんとなくわかっていたけど。
きっとそうだとは思っていたけど。
片割れが死にかかってるなんて。
そんな事実が少し信じられなくて。
なのに足は勝手にテンポ毎にステップを重ねていく。
決まり切った作法に則って、動きを淡々と紡いでいく。
それが嫌で。
止めたいのに。
「続けないとダメだよ」
そう雪が言ってやめさせないのだ。
きっと周囲の目から見れば、僕らはただ踊っているだけで。
踊りながら談笑しているだけで。
こんな深刻な話をしていると思わないだろう。
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