教室の中は今日だって嘘でできた箱庭だ

月夜

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ほんの一握りの嘘でできてます

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手紙の内容はありふれた告白。

言うならばラブレターだ。

ただ、普通のラブレターと異なる点と言えば、



あなたのことがずっと前から好きだったの。

付き合って欲しい。

筆跡でばれないように、パソコンで文章を作成し、コピー機でコピーする。

それを手紙に張り付けて、完成だ。

差出人は………



クラスで人気を勝ち取る方法はたくさんあるの。

例えば、運動とか、能力が優れてたりとか。

可愛いとか。

手っ取り早くあげるには他人を蹴落とした方が早いの。

だからこそ、噂って本当に利用しがいがあるの。

「香恋さん!」

振り向けばほぅら、また男子が一人。

手紙を持って嬉しそうにこちらに近づいてくる。

また、告白しに来たのね。

何て言って断ろうかしら。

私にみんなが夢中なの。

元々私は可愛いからなのかもしれないわ。

「ラブレターくれるなんて嬉しすぎて死んじゃいそうです!」

は?




クラス、いや、学年で一番の人気者、
花宮香恋はなみや かれん

彼女の人気の秘密は容姿………と言うわけではない。

彼女は女王様なのだ。

本人がそう思い込んでいるだけだけれども。

その理由は、他者を蹴落とすから。

それも、躊躇なく。

徹底的に潰すのだ。

噂を流したり、様々な手を利用して。

当然渚も被害にあってはいる。

だからこそ、同じような手で貶めてやるのだ。




なぜ私がこんなやつと付き合わなければいけないの?

目の前に立っている男。

顔のランクは中の下の下。

E~Aで言えばEランクね。

運動や勉強もこれっぽっちも優れていない。

学園の女王である私が付き合うべき相手ではない。

「そんな手紙、嘘よ。」

そういいきってその場から去る。

今日は気分が悪いわ。

早退しようかしら………

保健室の扉を開けて、早退の手続きをする。

教室まで荷物を取りに行くと………

「香恋があんなのがタイプだったなんて知らなかったぁ!」

「普通ないでしょ~」

私のまわりにいつもいる女子がそんなことを言っていた。



私はさっき知ったばかりだし、だとしたらあいつが?

「てゆうかさー、私香恋のこと正直いって嫌いだったんだよ~」

「私も~!だってさぁ……」

なんでそんなことを言ってるの?

あなた達はいつも私をおだてていたじゃない!

あんなに私のことを誉めていたじゃない!

「いつも私たちを見下しているような態度が気に入らなかったの。」

クスクスクスクスクスクスクスクスクスクス

「香恋と一緒にいるの恥ずかしい~」

「そうだっ!」

耳元で何かを言う。

「いいねーそれ!」

二人は笑っていった。

「私たちの幸せのために香恋には踏み台になってもらおう♪」

目の前が真っ暗になった。
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