○○日記

月夜

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セーブはこまめに

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本を開いてみる。
そこには、いくつもの項目が書かれていた。
名前:???
性別:女
概要:なぜこの部屋に来たのかわからない。
死亡数:1
ほとんど識別が不可能のなか、どうにか読めたのがこの三つだ。
名前……そういえば、思い出せない。
ここに来る前のことも、すべて、なにもかも。
次のページをめくる。
「○○の日記を読み、母親に追われた。母親はドアを破り内部に侵入。ベットに隠れていたが、足音と叩く音が消え、油断し這い出たところでナイフで刺され死亡した。死因は血液の放出。心臓の破壊。」
「なお、この本は自動手記であり、ありのままの真実を客観的に写し出す。」
「この空間で信じられるものはあの日記とこの本のみだ。」
「他者に惑わされることなかれ。」
「この本の機能に乗っ取り、持ち主の○○○○を行う。」
この本に書いてあることが本当なら、私はもう死んでしまったこととなる。
なら、

日記を読むことが怖い。けれども日記を読まなければなにも進まない。
状況は変化しないままだ。
日記を再び開く。
すると、まだ中身を読んでもいないのに、いきなり部屋が変化した。
灰色の部屋、ドアを激しく叩く音!
辺りを冷静になって見てみる。
床に鉈が落ちている。
床のいろと同化して見つけずらかったが。
鉈を手に取り、考える。
前回は隠れていたが、油断して出てしまったから死んでしまった。
なら、正面突破は?
いや、危険すぎる。
なら………

ベッドに近づくなら、隠れて、いきなり飛び出して切ればいいだけだ。
相手もまさかそんなことするとは思わないだろう。
鉈を構える。
落ち着いてくると、足音も案外ちゃんと聞こえる。
立ち止まった瞬間……
私はベットから飛び出して鉈を振りかぶった。

「襲撃成功。母親は死亡。死因は鈍器で頭部を強打とともに多量の出血。」
「プレイヤークリア確認。」
さっきまで赤かった部屋はもとに戻った。
日記をめくる。
「僕は母親を○してしまったんだろう。」
「でもなぜかな、後悔してないんだ。」
「生まれて初めての再会がこうだったからなのかもしれないけど、僕とまったく似てなかった。」
「急遽作られたみたいな、そんな感じだった。」
そこまで読むと、日記から何かが飛び出した。
それは、
小ぶりの綺麗なナイフだった。
そう。
私とこの日記の主が○したあの老婆の……
装飾が施されているけど、確かにそうだ。
見間違えるはずがない。
だって私はこれで一回死んでいるんだから。
取り敢えず、ポケットにしまっておいた。
使う日が、来るかもしれないから。
「プレイヤーは『残虐なNのナイフ』を手に入れた。」
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