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私のまわりの男子は何でも着こなすみたいだ

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「着れましたよ~。てか、この衣装結構動きづらいですねぇ。」
「本当、でもまぁ僕結構似合ってるでしょ。ヤバくない?今なら校内中の女子全員虜になりそ。」
「え、え~っと、へ、変なところはない、ですよね....」
三人とも結構似合っていた。
颯太は緑を主とした着物で、草花が描かれていて、結構似合っている。
蓮は黒い着物だ。
「...黒い着物って、葬式とかできるやつじゃないの?」
「普通に着るみたいだよ?」
「ふぅん、そうなんだ。」
黒い着物で、所々に赤があり、グラデーションのようになっている。
..少し炎に似ているような気もした。
そして、月が描かれている。
禅は黄色の着物。
と言っても、クリーム色の着物だ。
動物が描かれていて、何だか癒される。
それぞれ帯を巻いていて、颯太は柄が控えめの水色。
蓮はまるで天の川を写し取ったかの様な柄の藍色の帯。
禅は所々稲妻が走る橙色の帯。
「みんなの帯結構珍しいね。どうやって準備したの?」
「結構前にデザインして作ってもらってたんです。」
「たまたま会った時に禅が作ろうなんて言ったからね。」
「ちなみにデザインしたのは僕の兄である美空です。帯だけでなく着物もです。」
「え、颯太のお兄さんって、デザイナーとかやってたりする?」
「いえいえ、ただの高校生ですよ。僕の双子の兄ですし、先輩のある意味同級生でもあります。」
「へぇ.....って、もしかして、天才音楽家とか言われて、コンクール総なめとか、美術関連で凄い才能を発揮しているとかいう神海 美空しんかい みそらの事?」
「?そうですけど?」
まじか.....
神海 美空。
天性のセンスは誰も及ばない。
彼が作曲した曲は素晴らしくて、どれも大ヒットしている。
作詞作曲した歌はどれもミリオンヒットしている。
歌のコンクールなどはどれも最優秀賞を受賞し、さまざまな業界からスカウトを受けている。
なぜなら、彼はどの楽器も自在に操ることが可能で、絵も得意であり、芸術に特化し過ぎているのだ。
特に歌声なんかは、使と言わせるほどである。
なんて評価を得ていて、かなりの人格者だとまで言われているのに、颯太の身内ってだけでここまで信用がなくなるなんて....
(月の中でだけ評価が変化した)
なぜだろう。
颯太の身内ってことは颯太そっくりのやつが出てくる気配しかしねぇ.....
「先輩の衣装とっても綺麗ですね!!」
お、颯太が私の衣装を褒めてくれた。
ちなみに私はピンクの着物で桜が描かれている。
「.....月にはこっちの方が似合いそうだったのに。」
そう言って蓮が持ってきたのは白い布地に袖がほんのり赤くなっているデザインのものだった。
所々に雪が描かれている。
なぜか既視感を感じて、思わず無言になってしまった。
互いに黙り合う空間。
「え、え~っと、茶会にしましょ、そろそろ。」
禅がそう言って、お茶の準備を始めた時、
「生徒会だ!!とりあえず活動記録とっとと回収してください!!」
そう言って出てきたのは、颯太と顔が似ている男子。
颯太と違って猫目っぽい瞳で、髪は癖っ毛みたいだ。
「副会長のくせにでしゃばりすぎですよ、美空。」
ってことはこの子が颯太の双子の兄で、天才音楽家の美空君!?


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