18 / 18
仮面バンド
しおりを挟む
後を着いていくということで、ストーカーのプロの颯太に指導して貰いながら進んだ。
いやぁ、私ってこんなふうにストーカーされてたんだなぁと勉強になる反面、そんなことまでしてるのと聡太に軽く引いたり...
そうこうしながら、たどり着いたのは立派なライブハウスだった。
しかもこの辺りで有名な。
ステージを上がるのにも知名度だったり、そういうのが必要になるらしいくらいかなりの大御所と言っても差し支えないほどの場所。
颯太も少し驚いていたけど、
「あいつは音楽に関してはずば抜けてますからね...」
と言って納得していた。
颯太が最初に堂々と中に入って行って、しばらくしたら戻ってきた。
「予約がいっぱいと言っていたので美空を脅す...いや頼んでチケットを貰いました!」
一瞬物騒な言葉が聞こえた気がしたけど、気のせいだって思うことにしよう!
こうして手に入れられたチケットを片手に、私たちはライブハウスの中へと入って行ったのだった...
「えぇ!あいつらにチケット渡しちゃったの!?何やってんのさ美空ー!!」
むぅ、とほっぺを膨らませながら美空をぽかぽか叩く雫。
せめてドラムを叩いて欲しいなぁなんて思いながら今日の声の調子をチェックする。
よし、いい感じ。
「別に、良いじゃないか。凪先輩は確実にバレない」
そう言って美空は僕の事をみる。
そりゃあバレないだろうね。
仮面をつけて、アリスのような格好をしているのだから。
今の僕の姿を見たら誰もが女の子だと思うだろう。
雫はマッドハッターの格好に。
美空は三月うさぎの格好に。
「別にあいつらが来ても良いよ。僕は今日も最高のパフォーマンスをするだけだ」
ステージ上の僕は神月 凪ではないのだから。
ただのアリスなのだから。
何も恐れることはない。
それに今日のステージは相当広いからきっと彼らの姿なんて見えないから。
だから傷つくこともない。
自分にそう言い聞かせて、扉を開けた。
本当は、気づいてくれる事を何処かで期待しながら。
会場が急に暗くなる。
颯太と蓮は何事とか騒ごうとしたけれど、禅がしっ、といった。
周りのお客さんは全くと言っても良いほど動揺していない。
きっと演出の一つなのだろう。
そう思って私の期待値が少し上がった。
暫く経つとカーテンコールのブザーが鳴る。
誰かステージ上に立ったようだった。
「皆さんようこそ。なんでもない日のティーパーティーへ」
客席から歓声が上がる。
皆が待ち望んでいたとでも言いたげに。
いやぁ、私ってこんなふうにストーカーされてたんだなぁと勉強になる反面、そんなことまでしてるのと聡太に軽く引いたり...
そうこうしながら、たどり着いたのは立派なライブハウスだった。
しかもこの辺りで有名な。
ステージを上がるのにも知名度だったり、そういうのが必要になるらしいくらいかなりの大御所と言っても差し支えないほどの場所。
颯太も少し驚いていたけど、
「あいつは音楽に関してはずば抜けてますからね...」
と言って納得していた。
颯太が最初に堂々と中に入って行って、しばらくしたら戻ってきた。
「予約がいっぱいと言っていたので美空を脅す...いや頼んでチケットを貰いました!」
一瞬物騒な言葉が聞こえた気がしたけど、気のせいだって思うことにしよう!
こうして手に入れられたチケットを片手に、私たちはライブハウスの中へと入って行ったのだった...
「えぇ!あいつらにチケット渡しちゃったの!?何やってんのさ美空ー!!」
むぅ、とほっぺを膨らませながら美空をぽかぽか叩く雫。
せめてドラムを叩いて欲しいなぁなんて思いながら今日の声の調子をチェックする。
よし、いい感じ。
「別に、良いじゃないか。凪先輩は確実にバレない」
そう言って美空は僕の事をみる。
そりゃあバレないだろうね。
仮面をつけて、アリスのような格好をしているのだから。
今の僕の姿を見たら誰もが女の子だと思うだろう。
雫はマッドハッターの格好に。
美空は三月うさぎの格好に。
「別にあいつらが来ても良いよ。僕は今日も最高のパフォーマンスをするだけだ」
ステージ上の僕は神月 凪ではないのだから。
ただのアリスなのだから。
何も恐れることはない。
それに今日のステージは相当広いからきっと彼らの姿なんて見えないから。
だから傷つくこともない。
自分にそう言い聞かせて、扉を開けた。
本当は、気づいてくれる事を何処かで期待しながら。
会場が急に暗くなる。
颯太と蓮は何事とか騒ごうとしたけれど、禅がしっ、といった。
周りのお客さんは全くと言っても良いほど動揺していない。
きっと演出の一つなのだろう。
そう思って私の期待値が少し上がった。
暫く経つとカーテンコールのブザーが鳴る。
誰かステージ上に立ったようだった。
「皆さんようこそ。なんでもない日のティーパーティーへ」
客席から歓声が上がる。
皆が待ち望んでいたとでも言いたげに。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
密会~合コン相手はドS社長~
日下奈緒
恋愛
デザイナーとして働く冬佳は、社長である綾斗にこっぴどくしばかれる毎日。そんな中、合コンに行った冬佳の前の席に座ったのは、誰でもない綾斗。誰かどうにかして。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。
届かぬ温もり
HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった·····
◆◇◆◇◆◇◆
読んでくださり感謝いたします。
すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
二度目の初恋は、穏やかな伯爵と
柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。
冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
もしかしたら少し改行してもらえると読みやすくなると思います。
頑張って下さい!
アドバイスありがとうございます。
もう少し改行を増やしてみます!