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― 参 ― ふたりのこども
今日からよろしくお願いいたします
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「そうですなぁ…。アル坊ちゃまのお爺様は子供の頃にこの爺の生徒だったのです。それは知っていましたか?」
考えがまとまったのか、コンラード先生が話し始めました。
「うん!おじぃさまがね、おじいちゃんはいいせんせいだからぼくのせんせいにしようってきめたの!」
「うんうん、ありがたいですなぁ。そんな風に言って頂けたらこの爺も教えた甲斐があったというものです。なのでカイン様は爺の生徒だった時に『カイン坊ちゃま』とお呼びしていたのでクセで呼んでしまうのですが、アル坊ちゃまのお父様のデュークフリード様とはアル坊ちゃまと会った日に初めてお会いしましたのでな、デュークフリード様の事は『坊ちゃま』とは呼べませんなぁ」
ちょっと難しかったのでしょうか。まだ3歳なのに眉間に皴なんか寄せて考え込んでいます。…と何かわかったのかあきらめたのか、いつもの能天気…いえ、朗らかな顔になりました。
「わかった!おじぃさまはまだぼっちゃまだけどとぉさまはちゃんとおとななんだね!」
ちょっと違う気がします…。
「だっておじぃちゃまはよくかぁさまやねぇねたちにもよくおこられておばぁさまにもごめんなさいしてるもん!」
なるほど、父は主人と違って子供だったようです。
「とぉさまはおこられたことないし~かぁさまのことよしよしってするからおとななんだ!」
思わぬ息子からの暴露に私も主人も顔が赤くなったことを感じます。
「ほぅほぅ…アル坊ちゃまのお父様とお母様は仲良しで大変結構ですなぁ」
「うん!とぉさまはかぁさまがだいすきだしかぁさまもとぉさまがだいすきなんだ!」
「それはいいごかぞくですなぁ」
「でもぼくのこともちゃんといちばんすきなんだよ!あとねぇ、いもーとのこともすきでぇ、ぼくもいもーとだ~いすきだし、ちゃんととぉさまとかぁさまもすきだよ!」
またです。また私のお腹を指差して『妹』と言っています…。
もし女の子じゃなかったどうしようかと少し不安になってしまいます。
「アル坊ちゃまの妹御はいつ頃生まれる予定ですかな?」
先生はまだ性別のわからない子供を『妹』と言うことに関して、何の指摘も訂正もせずにこちらに問いかけてきました。
「予定ではあとひと月ちょっとだろうとのことです。二人目なので大きく予定が狂うことはないだろうと…」
「なるほど、なるほど…ではアル坊ちゃま、明日から立派なおにいちゃまになる為に爺と色んなことを学びましょうね」
「はいっ!!」
アルが興奮して話している間に先制のお荷物は部屋へと運び終えたようです。
「アル、先生の荷物をお部屋に運び終わったみたいだから先生を案内して差し上げてくれる?」
「うん!おじいちゃんこっち!」
アルが先生の手を引いて階段を上っていきます。コンラード先生はいつも杖を突いておられるようなのですがアルもそれに気が付いたのでしょう、階段まできて2段ほど上った時に振り返り、先生を待って歩調を合わせるようにしながらゆっくりと上り始めました。
親バカなのは自覚してますが、控えめに言ってうちの子はまるで天使のように優しい子なのです。
「おじいちゃんだいじょ~ぶ?こけないようにきよつけてね」
気を付けてという言葉がどうしても『きよつけて』となってしまうところも可愛い!ぃぇぃぇ、ダメですね。
貴族たる者、人のお手本となるべき言動を身につけなければなりません。まぁもう少し大きくなる頃には活舌も良くなり言い間違いもなくなるでしょう…さみしいですが……。
私達家族の部屋は2階の一番奥に夫婦の寝室、その手前にアルの寝室となっていてお腹の子が無事に産まれたら更にその隣が2人目の子の部屋になる予定です。そしてその手前に使用人の控室、図書室、客間が数部屋ございます。
なので先生のお部屋はアルの部屋から余り離れておらず、且つアルが多少部屋で暴れても気にならない程度には離れている図書室手前の部屋を使って頂くことに致しました。
アルは「いもーとのおへやをかしてあげる」と言っていましたが、アルの寝言はたまにスゴイものがあり、夜中に見回ってくれている者が何か異変が起きたかと部屋に飛び込んでしまう程なのです。
そう言えば私の妊娠が判ったぐらいからですね…やっぱり何か不思議なことがアルに起こっているんでしょうか?
とにかく、そのような事情もあることと、先生が当家の所蔵本に興味を持たれたこともあって図書室の隣にしていただくことに致しました。
考えがまとまったのか、コンラード先生が話し始めました。
「うん!おじぃさまがね、おじいちゃんはいいせんせいだからぼくのせんせいにしようってきめたの!」
「うんうん、ありがたいですなぁ。そんな風に言って頂けたらこの爺も教えた甲斐があったというものです。なのでカイン様は爺の生徒だった時に『カイン坊ちゃま』とお呼びしていたのでクセで呼んでしまうのですが、アル坊ちゃまのお父様のデュークフリード様とはアル坊ちゃまと会った日に初めてお会いしましたのでな、デュークフリード様の事は『坊ちゃま』とは呼べませんなぁ」
ちょっと難しかったのでしょうか。まだ3歳なのに眉間に皴なんか寄せて考え込んでいます。…と何かわかったのかあきらめたのか、いつもの能天気…いえ、朗らかな顔になりました。
「わかった!おじぃさまはまだぼっちゃまだけどとぉさまはちゃんとおとななんだね!」
ちょっと違う気がします…。
「だっておじぃちゃまはよくかぁさまやねぇねたちにもよくおこられておばぁさまにもごめんなさいしてるもん!」
なるほど、父は主人と違って子供だったようです。
「とぉさまはおこられたことないし~かぁさまのことよしよしってするからおとななんだ!」
思わぬ息子からの暴露に私も主人も顔が赤くなったことを感じます。
「ほぅほぅ…アル坊ちゃまのお父様とお母様は仲良しで大変結構ですなぁ」
「うん!とぉさまはかぁさまがだいすきだしかぁさまもとぉさまがだいすきなんだ!」
「それはいいごかぞくですなぁ」
「でもぼくのこともちゃんといちばんすきなんだよ!あとねぇ、いもーとのこともすきでぇ、ぼくもいもーとだ~いすきだし、ちゃんととぉさまとかぁさまもすきだよ!」
またです。また私のお腹を指差して『妹』と言っています…。
もし女の子じゃなかったどうしようかと少し不安になってしまいます。
「アル坊ちゃまの妹御はいつ頃生まれる予定ですかな?」
先生はまだ性別のわからない子供を『妹』と言うことに関して、何の指摘も訂正もせずにこちらに問いかけてきました。
「予定ではあとひと月ちょっとだろうとのことです。二人目なので大きく予定が狂うことはないだろうと…」
「なるほど、なるほど…ではアル坊ちゃま、明日から立派なおにいちゃまになる為に爺と色んなことを学びましょうね」
「はいっ!!」
アルが興奮して話している間に先制のお荷物は部屋へと運び終えたようです。
「アル、先生の荷物をお部屋に運び終わったみたいだから先生を案内して差し上げてくれる?」
「うん!おじいちゃんこっち!」
アルが先生の手を引いて階段を上っていきます。コンラード先生はいつも杖を突いておられるようなのですがアルもそれに気が付いたのでしょう、階段まできて2段ほど上った時に振り返り、先生を待って歩調を合わせるようにしながらゆっくりと上り始めました。
親バカなのは自覚してますが、控えめに言ってうちの子はまるで天使のように優しい子なのです。
「おじいちゃんだいじょ~ぶ?こけないようにきよつけてね」
気を付けてという言葉がどうしても『きよつけて』となってしまうところも可愛い!ぃぇぃぇ、ダメですね。
貴族たる者、人のお手本となるべき言動を身につけなければなりません。まぁもう少し大きくなる頃には活舌も良くなり言い間違いもなくなるでしょう…さみしいですが……。
私達家族の部屋は2階の一番奥に夫婦の寝室、その手前にアルの寝室となっていてお腹の子が無事に産まれたら更にその隣が2人目の子の部屋になる予定です。そしてその手前に使用人の控室、図書室、客間が数部屋ございます。
なので先生のお部屋はアルの部屋から余り離れておらず、且つアルが多少部屋で暴れても気にならない程度には離れている図書室手前の部屋を使って頂くことに致しました。
アルは「いもーとのおへやをかしてあげる」と言っていましたが、アルの寝言はたまにスゴイものがあり、夜中に見回ってくれている者が何か異変が起きたかと部屋に飛び込んでしまう程なのです。
そう言えば私の妊娠が判ったぐらいからですね…やっぱり何か不思議なことがアルに起こっているんでしょうか?
とにかく、そのような事情もあることと、先生が当家の所蔵本に興味を持たれたこともあって図書室の隣にしていただくことに致しました。
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