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― 参 ― ふたりのこども
さぁ、男性陣の言い訳を聞きましょう
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アルの興奮を宥め、マーガレット先生をお見送りした後、私はアルをアンナに預けてデュークのいる執務室へ向かいましたの。勿論、アルの『剣の練習』のことをちゃんと聞く為ですわ。
コン、コン、コン…、コン、コン、コン…コン コン コンコンコココココココココ…
なかなか返事がないので思わずノックをする手が止まらなくなってしまいます。これをするとお父様は怖いからやめてくれとおっしゃるのよねぇ。別に怖がらせるつもりなんてないしただ『早く開けて』というお願いを込めてるだけですのに…。
ガチャッ
開いた扉からフィリップが顔を出しました。
「……ミリアお嬢様、それは怖いからやめてくれと大旦那様に言われているでしょう」
呆れたような声で言われてしまいましたわ。
「怖がらせるつもりなんてないのよ?ただ『あれ?開かないな~、どうしてかな~、早く開かないかな~』って思ってるだけで…」
「その圧が怖いんですって…」
フィリップったら顔まで呆れたようになってますわ。なんだか解せませんわね。
「ミリア、どうかしたのか?」
デュークが書類から顔を上げて問うてきました。
「アルの…」
そこまで言っただけでフィリップの表情が微かに緊張を帯びたのがわかりました。
フィリップはあまり表情豊かとは言えない上に仕事中は本当に動揺を表に出さない完璧執事として他家でも有名な程ですが、私達姉妹は幼い頃からフィリップが近くにいましたもの、ほんの少しの表情の動きや声音の違いだって伝わりますのよ。
ぁ、余談ですけど最近はどうやら真剣にお付き合いをしている方が出来たようで、誰にも秘密にしているようですけど私達姉妹にはバレバレなのですわ。ふふっ、本当に余談でしたわね。
まぁそんなことよりアルのことです。
「その話か…まぁ詳細まで決めてからちゃんと話そうとは思ってたんだけど、知ってしまったのなら一緒に話を聞くかい?」
「ええ、勿論ですわ」
「じゃあコンラード先生とアロ爺さんが戻るまで経緯だけでも話しておこうか…」
そう言って今回のアルの『剣の練習』が決まった経緯をデュークが話してくれました。
どうやらデュークがフィリップに鍛錬に付き合ってもらっていたところをコンラード先生とのお散歩…違いましたわね、野外授業中に見たことがきっかけだったらしく、いつもフィリップに纏わr…懐いているアルが「とぉさますご~い!かっこい~!」とはしゃいだことで気を良くしてその後に続いた「ぼくもとぉさまみたいにつよくなる!」の言葉に「じゃあアルも剣の訓練でも始めるか?」とつい言ってしまったようです。
これだから親バカは困りますわね。
勿論、その場にはコンラード先生もフィリップも居たのですからどちらかが止めてくれても良かったのですが、コンラード先生は『親の教育方針を軸にする』というスタンスですし、フィリップは過保護なくせに『坊ちゃま第一』なところがあるので、結局はアルを喜ばせる結果にしかなりませんでしたの。
さらにアルが「アロじいちゃんがもってるギザギザのけんもかっこい~よね~」と言ったことでアロ爺まで巻き込まれることになったみたいで、そこは申し訳ないと思っていたら丁度コンラード先生がアロ爺を伴って執務室へ来ましたわ。
「チビ坊ちゃんが鋸の使い方を知りたいと言っとるそうだのぉ」
アロ爺がそう口にしたことで、仕事の邪魔にもなるだろうから取り敢えず謝罪をと思っていたら
「ならチビ坊ちゃんが使いやすい大きさの鋸を仕入れておかんといかんなぁ」
…と、どこか楽しそうに言うではありませんか。
そうそう、そうでした。アロ爺もアルには甘々な『おじいちゃん』でしたわ。
「……はぁ。この中でどなたか一人でも反対する人はいませんでしたの?」
4人の男性の、どこか浮かれている顔を見ながら、思わず盛大な溜息をついてしまいましたわ。
するとばつの悪そうな顔でそれぞれが言い訳…いえ、一応の謝罪を口にしはじめました。
「まぁ、ちょっと早いかなとも思ったんだが危険なものだからこそ早くから触れることで正しく扱えるようになるんじゃないかと思ってね…」
「興味を持った時にただ危ないという理由で取り上げるのではなく、何故危ないのか、何故『今はダメ』なのかを教えるのも大事かと思いまして…」
「アル坊ちゃまのことは私の命に代えても傷一つ付けさせることは御座いませんが、万が一、私が劣勢に陥った時には危険から離れていただくためにも様々な武器の知識を覚えていただき、危険を回避する力をつけていただこうかと…」
「チビ坊ちゃんには危ないは刃物だけではなく、それを扱う人間、刃物が伐り付けている樹も危険な物になることもあると知っておいたほうがよかろうと…」
はいはいはいはい、それぞれが甘やかした結果ですのね。
「アルが怪我をしないように?アルが危険を上手く回避できるように?えぇえぇ皆さんアルのことを考えて下さった事はよ~~くわかりましたわ。わたくしかんげきにうちふるえておりますわ。え~ぇけしてけっっして い か り で ふるえているわけではありませんわよ…」
旦那様が私を宥めようと近付…けずに固まってますわね。おかしなこと。
「旦那様!素晴らしい考えだと、素晴らしい教育方針だと思いますわ、でも!ま だ は や い」
「す…すまない…」
あらあら、私はこんなににこやかに話していますのに4人とも固まってしまいましたわ。
コン、コン、コン…、コン、コン、コン…コン コン コンコンコココココココココ…
なかなか返事がないので思わずノックをする手が止まらなくなってしまいます。これをするとお父様は怖いからやめてくれとおっしゃるのよねぇ。別に怖がらせるつもりなんてないしただ『早く開けて』というお願いを込めてるだけですのに…。
ガチャッ
開いた扉からフィリップが顔を出しました。
「……ミリアお嬢様、それは怖いからやめてくれと大旦那様に言われているでしょう」
呆れたような声で言われてしまいましたわ。
「怖がらせるつもりなんてないのよ?ただ『あれ?開かないな~、どうしてかな~、早く開かないかな~』って思ってるだけで…」
「その圧が怖いんですって…」
フィリップったら顔まで呆れたようになってますわ。なんだか解せませんわね。
「ミリア、どうかしたのか?」
デュークが書類から顔を上げて問うてきました。
「アルの…」
そこまで言っただけでフィリップの表情が微かに緊張を帯びたのがわかりました。
フィリップはあまり表情豊かとは言えない上に仕事中は本当に動揺を表に出さない完璧執事として他家でも有名な程ですが、私達姉妹は幼い頃からフィリップが近くにいましたもの、ほんの少しの表情の動きや声音の違いだって伝わりますのよ。
ぁ、余談ですけど最近はどうやら真剣にお付き合いをしている方が出来たようで、誰にも秘密にしているようですけど私達姉妹にはバレバレなのですわ。ふふっ、本当に余談でしたわね。
まぁそんなことよりアルのことです。
「その話か…まぁ詳細まで決めてからちゃんと話そうとは思ってたんだけど、知ってしまったのなら一緒に話を聞くかい?」
「ええ、勿論ですわ」
「じゃあコンラード先生とアロ爺さんが戻るまで経緯だけでも話しておこうか…」
そう言って今回のアルの『剣の練習』が決まった経緯をデュークが話してくれました。
どうやらデュークがフィリップに鍛錬に付き合ってもらっていたところをコンラード先生とのお散歩…違いましたわね、野外授業中に見たことがきっかけだったらしく、いつもフィリップに纏わr…懐いているアルが「とぉさますご~い!かっこい~!」とはしゃいだことで気を良くしてその後に続いた「ぼくもとぉさまみたいにつよくなる!」の言葉に「じゃあアルも剣の訓練でも始めるか?」とつい言ってしまったようです。
これだから親バカは困りますわね。
勿論、その場にはコンラード先生もフィリップも居たのですからどちらかが止めてくれても良かったのですが、コンラード先生は『親の教育方針を軸にする』というスタンスですし、フィリップは過保護なくせに『坊ちゃま第一』なところがあるので、結局はアルを喜ばせる結果にしかなりませんでしたの。
さらにアルが「アロじいちゃんがもってるギザギザのけんもかっこい~よね~」と言ったことでアロ爺まで巻き込まれることになったみたいで、そこは申し訳ないと思っていたら丁度コンラード先生がアロ爺を伴って執務室へ来ましたわ。
「チビ坊ちゃんが鋸の使い方を知りたいと言っとるそうだのぉ」
アロ爺がそう口にしたことで、仕事の邪魔にもなるだろうから取り敢えず謝罪をと思っていたら
「ならチビ坊ちゃんが使いやすい大きさの鋸を仕入れておかんといかんなぁ」
…と、どこか楽しそうに言うではありませんか。
そうそう、そうでした。アロ爺もアルには甘々な『おじいちゃん』でしたわ。
「……はぁ。この中でどなたか一人でも反対する人はいませんでしたの?」
4人の男性の、どこか浮かれている顔を見ながら、思わず盛大な溜息をついてしまいましたわ。
するとばつの悪そうな顔でそれぞれが言い訳…いえ、一応の謝罪を口にしはじめました。
「まぁ、ちょっと早いかなとも思ったんだが危険なものだからこそ早くから触れることで正しく扱えるようになるんじゃないかと思ってね…」
「興味を持った時にただ危ないという理由で取り上げるのではなく、何故危ないのか、何故『今はダメ』なのかを教えるのも大事かと思いまして…」
「アル坊ちゃまのことは私の命に代えても傷一つ付けさせることは御座いませんが、万が一、私が劣勢に陥った時には危険から離れていただくためにも様々な武器の知識を覚えていただき、危険を回避する力をつけていただこうかと…」
「チビ坊ちゃんには危ないは刃物だけではなく、それを扱う人間、刃物が伐り付けている樹も危険な物になることもあると知っておいたほうがよかろうと…」
はいはいはいはい、それぞれが甘やかした結果ですのね。
「アルが怪我をしないように?アルが危険を上手く回避できるように?えぇえぇ皆さんアルのことを考えて下さった事はよ~~くわかりましたわ。わたくしかんげきにうちふるえておりますわ。え~ぇけしてけっっして い か り で ふるえているわけではありませんわよ…」
旦那様が私を宥めようと近付…けずに固まってますわね。おかしなこと。
「旦那様!素晴らしい考えだと、素晴らしい教育方針だと思いますわ、でも!ま だ は や い」
「す…すまない…」
あらあら、私はこんなににこやかに話していますのに4人とも固まってしまいましたわ。
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