12 / 13
12
手紙を書いて数日後、再びザルカンド王国から手紙が届いた。
貴族であれば誰でも分かるように、お断りをお伝えしたのだけれど……そう思いながらも、中を見ないわけにはいかない。
封を開けると、そこには以前と同じく、無礼極まりない内容が記されていた。
マクーン王子の婚約者となったアイリスとの公務が失敗続きで、次期国王としての地位が危ぶまれているという愚痴。
そして、何でもいいからさっさと戻ってこいノロマなどと、平然と書かれている。
よほど切羽詰まった状況らしい。
その無神経な手紙を目にして、私は思わず吹き出してしまった。
あれほど愛情を注ぎ、信じてついて行った相手が、今やこのような人間だったとは。
かつての私ならば悲しみに暮れただろうが、今となっては哀れさすら感じる。
「エルザ様、どうかされましたか?」
ディーン様が、私の様子に気付き、首をかしげる。
「ふふっ、少々……おかしな手紙を頂いてしまって」
私は、恥ずかしそうに手紙を閉じた。
「何か不愉快なことでもあったのであれば、おっしゃってください。私が解決いたします」
その真摯な眼差しと強い口調に、私は再び救われた思いがした。
そして、この手紙の内容を全て捨て去り、過去の私にさよならを告げる覚悟が、ようやくできたような気がする。
「いいえ、大丈夫です。もう、過去に未練などありません」
私はディーン様に微笑み返し、手紙をその場で破り捨てた。
かつての苦しみが静かに消え去っていくのを感じる。破り捨てたマクーン王子からの手紙は、過去の呪縛の象徴のようだった。
それが一片残らず消えた今、私はようやく自由になれた気がする。
ディーン様は、私の姿をじっと見つめて微笑んでいる。
「エルザ様、これまでのご苦労は、どれだけ深かったことでしょう。ですが、どうか忘れないでください。ここには、あなたを尊敬し、心から頼りにしている者がいることを」
「ありがとうございます、ディーン様」
私は、自然と彼に向かって微笑み返す。
彼の真摯な眼差しに応えたくて、この人の傍で、自分の価値を見つけ続けていきたいと思うようになっていた。
そんな私の心の変化に、ディーン様は気づいているかのようだった。
貴族であれば誰でも分かるように、お断りをお伝えしたのだけれど……そう思いながらも、中を見ないわけにはいかない。
封を開けると、そこには以前と同じく、無礼極まりない内容が記されていた。
マクーン王子の婚約者となったアイリスとの公務が失敗続きで、次期国王としての地位が危ぶまれているという愚痴。
そして、何でもいいからさっさと戻ってこいノロマなどと、平然と書かれている。
よほど切羽詰まった状況らしい。
その無神経な手紙を目にして、私は思わず吹き出してしまった。
あれほど愛情を注ぎ、信じてついて行った相手が、今やこのような人間だったとは。
かつての私ならば悲しみに暮れただろうが、今となっては哀れさすら感じる。
「エルザ様、どうかされましたか?」
ディーン様が、私の様子に気付き、首をかしげる。
「ふふっ、少々……おかしな手紙を頂いてしまって」
私は、恥ずかしそうに手紙を閉じた。
「何か不愉快なことでもあったのであれば、おっしゃってください。私が解決いたします」
その真摯な眼差しと強い口調に、私は再び救われた思いがした。
そして、この手紙の内容を全て捨て去り、過去の私にさよならを告げる覚悟が、ようやくできたような気がする。
「いいえ、大丈夫です。もう、過去に未練などありません」
私はディーン様に微笑み返し、手紙をその場で破り捨てた。
かつての苦しみが静かに消え去っていくのを感じる。破り捨てたマクーン王子からの手紙は、過去の呪縛の象徴のようだった。
それが一片残らず消えた今、私はようやく自由になれた気がする。
ディーン様は、私の姿をじっと見つめて微笑んでいる。
「エルザ様、これまでのご苦労は、どれだけ深かったことでしょう。ですが、どうか忘れないでください。ここには、あなたを尊敬し、心から頼りにしている者がいることを」
「ありがとうございます、ディーン様」
私は、自然と彼に向かって微笑み返す。
彼の真摯な眼差しに応えたくて、この人の傍で、自分の価値を見つけ続けていきたいと思うようになっていた。
そんな私の心の変化に、ディーン様は気づいているかのようだった。
あなたにおすすめの小説
婚約者が私にだけ冷たい理由を、実は私は知っている
潮海璃月
恋愛
一見クールな公爵令息ユリアンは、婚約者のシャルロッテにも大変クールで素っ気ない。しかし最初からそうだったわけではなく、貴族学院に入学してある親しい友人ができて以来、シャルロッテへの態度が豹変した。
【完結済み】妹の婚約者に、恋をした
鈴蘭
恋愛
妹を溺愛する母親と、仕事ばかりしている父親。
刺繍やレース編みが好きなマーガレットは、両親にプレゼントしようとするが、何時も妹に横取りされてしまう。
可愛がって貰えず、愛情に飢えていたマーガレットは、気遣ってくれた妹の婚約者に恋をしてしまった。
無事完結しました。
とある令嬢の勘違いに巻き込まれて、想いを寄せていた子息と婚約を解消することになったのですが、そこにも勘違いが潜んでいたようです
珠宮さくら
恋愛
ジュリア・レオミュールは、想いを寄せている子息と婚約したことを両親に聞いたはずが、その子息と婚約したと触れ回っている令嬢がいて混乱することになった。
令嬢の勘違いだと誰もが思っていたが、その勘違いの始まりが最近ではなかったことに気づいたのは、ジュリアだけだった。
幼なじみで私の友達だと主張してお茶会やパーティーに紛れ込む令嬢に困っていたら、他にも私を利用する気満々な方々がいたようです
珠宮さくら
恋愛
アンリエット・ノアイユは、母親同士が仲良くしていたからという理由で、初めて会った時に友達であり、幼なじみだと言い張るようになったただの顔なじみの侯爵令嬢に困り果てていた。
だが、そんな令嬢だけでなく、アンリエットの周りには厄介な人が他にもいたようで……。
甘やかされて育ってきた妹に、王妃なんて務まる訳がないではありませんか。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるラフェリアは、実家との折り合いが悪く、王城でメイドとして働いていた。
そんな彼女は優秀な働きが認められて、第一王子と婚約することになった。
しかしその婚約は、すぐに破談となる。
ラフェリアの妹であるメレティアが、王子を懐柔したのだ。
メレティアは次期王妃となることを喜び、ラフェリアの不幸を嘲笑っていた。
ただ、ラフェリアはわかっていた。甘やかされて育ってきたわがまま妹に、王妃という責任ある役目は務まらないということを。
その兆候は、すぐに表れた。以前にも増して横暴な振る舞いをするようになったメレティアは、様々な者達から反感を買っていたのだ。
義妹に婚約者を取られて、今日が最後になると覚悟を決めていたのですが、どうやら最後になったのは私ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フェリシティーは、父や義母、義妹に虐げられながら過ごしていた。
それも、今日で最後になると覚悟を決めていたのだが、どうやら最後になったのはフェリシティーではなかったようだ。
※全4話。
「お姉様の味方なんて誰もいないのよ」とよく言われますが、どうやらそうでもなさそうです
越智屋ノマ
恋愛
王太子ダンテに盛大な誕生日の席で婚約破棄を宣言された侯爵令嬢イヴ。
彼の隣には、妹ラーラの姿――。
幼い頃から家族に疎まれながらも、王太子妃となるべく努力してきたイヴにとって、それは想定外の屈辱だった。
だがその瞬間、国王クラディウスが立ち上がる。
「ならば仕方あるまい。婚約破棄を認めよう。そして――」
その一声が、ダンテのすべてをひっくり返す。
※ふんわり設定。ハッピーエンドです。
私の婚約者様には恋人がいるようです?
鳴哉
恋愛
自称潔い性格の子爵令嬢 と
勧められて彼女と婚約した伯爵 の話
短いのでサクッと読んでいただけると思います。
読みやすいように、5話に分けました。
毎日一話、予約投稿します。