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二話 魔王の意外な姿
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「さて、美咲とか言ったな。私を楽しませると言ったが……どうするつもりだ?」
魔王ヴァルゼスが鋭い赤い瞳で私を見下ろしてくる。
……とはいえ、ここはキャバクラじゃない。お酒もないし、シャンパンコールもできないし。
でも、接客って場所を選ばないのよね。お店じゃなくたって、楽しんでもらうことはできるはず。
何より、この場をうまく乗り切らないと私の命が危ない。
「まずはお話から……ですね!」
「……む? 話とは、いったいどういうことだ?」
「ええ。お客様を楽しませる基本は、まず会話ですから!」
私が笑顔で言うと、ヴァルゼスは少し意外そうに眉を動かした。
「……話をするだけで、余を楽しませると?」
「もちろんです! だって、魔王様ってすごくカリスマがありますし、強くて偉いお方なんですよね? そんな方のお話がつまらないわけがありません! 私の仕事は、お客さん……いえ、ゲストと楽しくお喋りすることですから!」
私は、胸を張って言い放つ。
すると、周囲の兵士たちがどよめいた。
「ま、魔王様を持ち上げるとは……」
「こやつ、なかなかやるな……」
いや、こんなの基本中の基本なんですけど……?
ヴァルゼスは顎に手を当て、少し考える素振りを見せる。
「……では、試してみるとしよう。貴様、人間の国のことをどれくらい知っている?」
「えっ!?」
……やばい。そもそもここがどんな世界なのか、何も知らない。
「え、えっと……私が知ってるのは……」
どうしよう。適当なことを言ったら嘘がバレるし、下手に知らなさすぎても怪しまれる。
ここは――
「私、人間の国ではちょっと特殊なお仕事をしてたので、一般のことにはあまり詳しくないんです……でも! だからこそ、魔王様にいろいろ教えてもらえたら嬉しいなって!」
そう言って、にっこり笑う。
「……ほう」
ヴァルゼスはしばらく私を見つめ、それから微笑みを返してくれた。
キャバ嬢の基本は、ゲストを持ち上げながら自分がバカなフリをすること。
何も知らないから教えてくださいとおねだりすれば、相手は気持ちよく教えてくれる。
そこから会話を広げていけばいい。
「貴様、なかなか口がうまいな」
「いえいえ、ほんとに何も知らなくてお恥ずかしい。この世界のこと……それに、魔王様のことも知りたいなって思ってます!」
「よかろう。では、貴様にこの世界のことを教えてやろう」
——こうして、私は魔王様から直々にこの世界のレクチャーを受けることになった。
* * *
「……というわけだ。人間と魔族の戦は長きにわたり続いている」
ヴァルゼスの話を聞いて、私はなんとなくこの世界の状況を理解した。
この世界には人間と魔族がいて、長いこと戦争状態になっている。
魔族は人間の国を脅かす存在として恐れられている。
そしてヴァルゼスは魔族の王、つまりこの戦争の頂点にいる存在。
「それで、魔王様はどうして人間の国を攻めてるんですか?」
思い切って聞いてみると、ヴァルゼスは少しだけ目を細めた。
「……人間どもが我ら魔族を排除しようとするからだ。生き残るためには、戦わねばならぬ!」
「なるほど……」
それってつまり、魔族は魔族で生きるために戦ってるってこと?
でも、それなら対話でなんとかならないのかな。こうやって私と会話してくれているし、危険な存在じゃないって分かってもらえばいいのに。
「人間とは和平を結べないんですか?」
私みたいな小娘の浅はかな考えを聞いて、ヴァルゼスは鼻で笑う。
「貴様、甘いことを言うな。人間どもが魔族を受け入れるはずがなかろう」
「でも、魔王様が戦いたくないって言ったら、戦いは終わるんじゃ……?」
「馬鹿を言うな。戦は、私一人の意思で止められるものではない」
そう言われて、私は少し考えた。
ヴァルゼスは、戦わないと生き残れないと思ってる。でも、戦わなくても生きられる方法があるなら。
「……じゃあ、もし戦わなくても魔族が生きられる方法があったら?」
「……ほう?」
ヴァルゼスが興味深そうに眉をひそめ、私を見た。
「ゲストの悩みを聞くのが仕事です。魔王様が本当にしたいことがあるなら、私にもお手伝いできるかもしれません」
「……貴様、面白いことを言うな」
ヴァルゼスは小さく笑う。
「いいだろう。ならば、試してみるとしよう。貴様が私を口説き落とせるものならな」
えっ、そういう意味じゃなかったんだけど……!?
こうして私は、魔王様を口説き落として戦争を終わらせるという、前代未聞のミッションを背負うことになってしまったのだった。
魔王ヴァルゼスが鋭い赤い瞳で私を見下ろしてくる。
……とはいえ、ここはキャバクラじゃない。お酒もないし、シャンパンコールもできないし。
でも、接客って場所を選ばないのよね。お店じゃなくたって、楽しんでもらうことはできるはず。
何より、この場をうまく乗り切らないと私の命が危ない。
「まずはお話から……ですね!」
「……む? 話とは、いったいどういうことだ?」
「ええ。お客様を楽しませる基本は、まず会話ですから!」
私が笑顔で言うと、ヴァルゼスは少し意外そうに眉を動かした。
「……話をするだけで、余を楽しませると?」
「もちろんです! だって、魔王様ってすごくカリスマがありますし、強くて偉いお方なんですよね? そんな方のお話がつまらないわけがありません! 私の仕事は、お客さん……いえ、ゲストと楽しくお喋りすることですから!」
私は、胸を張って言い放つ。
すると、周囲の兵士たちがどよめいた。
「ま、魔王様を持ち上げるとは……」
「こやつ、なかなかやるな……」
いや、こんなの基本中の基本なんですけど……?
ヴァルゼスは顎に手を当て、少し考える素振りを見せる。
「……では、試してみるとしよう。貴様、人間の国のことをどれくらい知っている?」
「えっ!?」
……やばい。そもそもここがどんな世界なのか、何も知らない。
「え、えっと……私が知ってるのは……」
どうしよう。適当なことを言ったら嘘がバレるし、下手に知らなさすぎても怪しまれる。
ここは――
「私、人間の国ではちょっと特殊なお仕事をしてたので、一般のことにはあまり詳しくないんです……でも! だからこそ、魔王様にいろいろ教えてもらえたら嬉しいなって!」
そう言って、にっこり笑う。
「……ほう」
ヴァルゼスはしばらく私を見つめ、それから微笑みを返してくれた。
キャバ嬢の基本は、ゲストを持ち上げながら自分がバカなフリをすること。
何も知らないから教えてくださいとおねだりすれば、相手は気持ちよく教えてくれる。
そこから会話を広げていけばいい。
「貴様、なかなか口がうまいな」
「いえいえ、ほんとに何も知らなくてお恥ずかしい。この世界のこと……それに、魔王様のことも知りたいなって思ってます!」
「よかろう。では、貴様にこの世界のことを教えてやろう」
——こうして、私は魔王様から直々にこの世界のレクチャーを受けることになった。
* * *
「……というわけだ。人間と魔族の戦は長きにわたり続いている」
ヴァルゼスの話を聞いて、私はなんとなくこの世界の状況を理解した。
この世界には人間と魔族がいて、長いこと戦争状態になっている。
魔族は人間の国を脅かす存在として恐れられている。
そしてヴァルゼスは魔族の王、つまりこの戦争の頂点にいる存在。
「それで、魔王様はどうして人間の国を攻めてるんですか?」
思い切って聞いてみると、ヴァルゼスは少しだけ目を細めた。
「……人間どもが我ら魔族を排除しようとするからだ。生き残るためには、戦わねばならぬ!」
「なるほど……」
それってつまり、魔族は魔族で生きるために戦ってるってこと?
でも、それなら対話でなんとかならないのかな。こうやって私と会話してくれているし、危険な存在じゃないって分かってもらえばいいのに。
「人間とは和平を結べないんですか?」
私みたいな小娘の浅はかな考えを聞いて、ヴァルゼスは鼻で笑う。
「貴様、甘いことを言うな。人間どもが魔族を受け入れるはずがなかろう」
「でも、魔王様が戦いたくないって言ったら、戦いは終わるんじゃ……?」
「馬鹿を言うな。戦は、私一人の意思で止められるものではない」
そう言われて、私は少し考えた。
ヴァルゼスは、戦わないと生き残れないと思ってる。でも、戦わなくても生きられる方法があるなら。
「……じゃあ、もし戦わなくても魔族が生きられる方法があったら?」
「……ほう?」
ヴァルゼスが興味深そうに眉をひそめ、私を見た。
「ゲストの悩みを聞くのが仕事です。魔王様が本当にしたいことがあるなら、私にもお手伝いできるかもしれません」
「……貴様、面白いことを言うな」
ヴァルゼスは小さく笑う。
「いいだろう。ならば、試してみるとしよう。貴様が私を口説き落とせるものならな」
えっ、そういう意味じゃなかったんだけど……!?
こうして私は、魔王様を口説き落として戦争を終わらせるという、前代未聞のミッションを背負うことになってしまったのだった。
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