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第三章
第71話 ストラックアウト・1 ~尽くしたい系巨乳VS腐れ縁貧乳元カノ~
誰もが呆気に取られている中、突如としてそこに現れた者が一人。野球のユニフォームを着た着ぐるみのキャラクターが連続バック宙返りでこちらに向かってきたかと思うと、大きく跳び上がって空中で連続回転しながら着ぐるみを脱ぎ捨てる。そしてその中から出てきたのは、野球の審判のユニフォームを着た銀髪の美男子。その背からは大きな漆黒の翼を生やし、羽を舞い散らせながらグラウンドに着地した。
「ようこそ愛天使領域へ。私は愛の天使、キューピッドのルシファー」
「ボクはアシスタントのリリムちゃんでーす!」
続けて、どこからともなくポンと現れたのがチアガール衣装の小悪魔美少女。
「これより皆さんにはゲームをして頂きます」
「はぁ? 何だよそれ」
「まあまあ、勝てば素敵な報酬が得られるんだから、黙って聞いててよ」
意味不明の事態に苛立ちの声を上げる弾を、リリムが宥めた。
「本日のゲームは、ストラックアウトです」
ルシファーがそう言った途端、野球少年なら誰もが知ってるストラックアウトのパネルがポンと現れた。だがそのパネルの枚数は、僅か四枚だ。左上に1、右上に2、左下に3、右下に4の数字が書かれている。
「おい、パネル少ないぞ」
「ええ、普通は九枚のパネルを使用するゲームですが、今回使用するパネルは四枚となります。このパネルを先に四枚全て落とした側のペアが勝利、そのペアはカップル成立となります」
「カップル成立!?」
四人全員が目を丸くして、そこに反応した。
「それでは今回の参加者をご紹介致しましょう。赤コーナー男子、一年A組野球部、岩田翔馬! 同じく女子、一年A組野球部マネージャー、天崎希耶Bカップ! 青コーナー男子、三年C組元野球部、牧野弾! 同じく女子、二年A組野球部マネージャー、柚木杏Fカップ! こちらのペアで、ゲームを行って頂きます!」
「ちょ、何で胸のサイズ言う!? ていうかこいつとカップル成立って!?」
「ではルールを説明致しましょう」
希耶の文句を無視して、ルシファーは進行。漆黒の翼を羽ばたかせて飛行しマウンドに着地する。それと同時にリリムはバッターボックス斜め後ろ辺りに移動した。リリムの手には長方形のフリップと黒のフェルトペンがどこからともなくポンと現れる。
「まず、女子の方はこのフリップに1から4までの数字をどれか一つ書きます。その後両腕を伸ばしてフリップを頭上に掲げ、フリップに書かれた番号のパネルを落とす指示をパートナーに伝えます。男子はマウンドからボールを投げ、指定されたパネルを落とせば成功です」
リリムが1と書いたフリップを上げると、ルシファーはプロ並みの綺麗なフォームで投球。勢いのある速球が抜群のコントロールで1のパネルを打ち抜いた。
「ただし、それ以外のパネルは私の魔法によりどんなに強力な球が当たっても落ちないようになっています」
次にリリムが2と書かれたフリップを上げるが、ルシファーは3を狙って投球。狙い通り3に当たるも、パネルはびくともしなかった。
「成功か失敗かを問わず、一球ごとに交代。そしてパネルを一枚落とすと、相手のペアの女子は服を脱がねばなりません」
「は!?」
突然明かされた衝撃のルールに、四人は仰天。
「脱ぐ部位はトップス、ボトムス、ブラジャー、ショーツの四ケ所。最初の一回目では上半身をブラジャー一枚になるまで脱がなければなりません。そして先に四枚全てのパネルを落とし、相手側の女子を全裸にしたペアがこのゲームの勝者となるわけです」
「何でそんなバカみたいなことしなきゃなんないわけ!? ていうか勝ったらこいつと付き合わされて負けたら全裸って、どっちに転んでも最悪なんだけど!?」
「俺と全裸同列なのか!? そんなに俺が嫌なのかよ!?」
「嫌!」
ショックを受けている翔馬に追い打ちをかけるように、希耶は断言した。
「まあ、付き合ってみてやっぱり無理となったらまた別れればいいだけですから」
と、そこでルシファーが希耶を宥めつつ提案。
「さて、それではどちらが先に攻めるか、ジャンケンで決めましょう。ちなみに野球と違って、ボールを投げる方が攻撃側です」
翔馬と弾のジャンケンの結果、弾が勝利して先攻に。弾と杏はそれぞれのポジションに就き、翔馬と希耶はライン外からリリムと共にそれを見ていた。
「プレイボール!」
球審の位置に就いたルシファーが宣言。マウンドの弾はニヤリと口元を緩めた。
(こいつはついてるぜ。勝てば無条件で柚木を俺の女にできる。しかも相手は一年の岩田だ。負ける要素が無え!)
杏の上げたフリップに書かれた数字は2。弾は大きく振りかぶって力一杯投げた。風を切って飛ぶストレートは、見事2のパネルを打ち抜く。
「お見事成功です! それでは天崎さん、脱いで頂きましょう!」
「ええー……ホントに脱ぐの? 冗談でしょ?」
「いえいえ冗談ではありません。ちなみに脱がない場合は私が魔法で強制的に脱がせます」
「ええー……」
顔を引き攣らせる希耶。ふと翔馬の方に顔を向けると、翔馬は希耶の肩に手を置いた。
「ま、こうなっちまったもんはしょうがねえや。後は俺が取り返すから、思い切って脱ごうぜ希耶!」
「死ねスケベ!」
本音を言えば蹴っ飛ばしてやりたい気持ちの希耶だが、怪我させては悪いと思って罵倒するだけに留めた。
「あーもう! 後で絶対恨む!」
体操服を捲り上げて脱ぎ捨てた希耶は、その下にキャミソール等は無くすぐにブラジャーである。小ぶりな胸を包む黄色い水玉のBカップブラ。翔馬にとっては見慣れた下着だ。
「これでいい? ったくもう、何であたしがこんなバカみたいなこと……」
へらへらしている翔馬に軽蔑の視線を送った後そっぽを向くと、マウンドの弾が視界に入った。弾は希耶の胸を見た後、興味が無さそうな、それでいて見下しているような表情をしてまた視線をパネルの方に向けた。
(あーはいはい、牧野先輩は巨乳にしか興味ありませんからねー)
心の中で自嘲する希耶だが、あくまでも胸の小ささを馬鹿にされたことが気に障ったのであり、弾から興味を持たれないことに関してはどうでもよかった。
一回表は弾が難なく成功。一回裏、翔馬&希耶のペアに交代である。
余裕だった弾とは対照的に、翔馬はかなり焦っていた。
(俺が取り返すとは言ったものの、俺ショートだぞ。こんなん不利に決まってんじゃねーか)
翔馬は守備の連係プレーに定評があり、コントロールも十分。投手の経験も無いわけではない。しかし流石に本職の三年生が相手では分が悪いのだ。
希耶がフリップに書いた数字は1。上半身に纏う衣服がブラジャーのみの姿で両腕を上げ腋を見せた格好の希耶は、恥ずかしそうに頬を染め顔を引き攣らせていた。
(あの謎のイケメンは付き合った後別れてもいいと言ってたが、とにかくこれに勝ちさえすればまた希耶と寄りを戻せるんだ。それにここでカッコいい所を見せれば、希耶だって俺を見直してそのまま交際継続になるかもしれない! やるぞ、やってやる!)
「さっさと投げてよ! 恥ずかしいのはあたしなんだから!」
「わかったよ!」
プレイが宣言されても考えを巡らせていたら希耶に急かされたので、慌てて投げたボールは狙いから横に逸れて2のパネルに当たった。
「おっとこれは残念、失敗となります」
「どこ狙ってんのバカ!」
「お前が急かすからだろ!」
口喧嘩を始める二人を見ながら、弾はほくそ笑んだ。
(こいつは圧勝確定だな。一年の分際で俺と戦おうなんざ、おこがましいんだよ)
杏はその顔を見上げるが、何も声をかけることなくすぐにまた俯いた。
二回表、弾のターン。杏は3の数字を挙げる。
(余裕なんだよこんなもの!)
これまたしっかりと狙いの的を捉え、流石エースの貫禄を見せつけた。
「お見事! これまた成功です! さあ天崎さん、脱いで下さい」
「またぁ!?」
流石に二回目となると希耶もそこまで抵抗せず、渋々ながらもハーフパンツを下ろして黄色い水玉に小さなリボンが付いたショーツを露にした。
なお、自分のターン以外はフリップは消滅する仕様。それで隠そうなんて甘い考えは通用しないのである。
「ううー……こんな青空の下で下着姿なんてー……」
あくまでここは領域の中。青空も作られたものでしかないが、希耶からしてみれば野外露出をしているも同然だ。
「つってもお前ビキニは普通に着てんじゃねーか。露出度変わんねーだろ」
「水着と下着は全然違うから! 本っ当デリカシーが無い! ていうかこっち見んな!」
「いやお前の下着も裸ももう何百回と見てるんだが俺!?」
「うっさい! 今はもう付き合ってないんだから見んなって言ってんの!」
いつもの調子で何か言うたび希耶の機嫌を損ねてしまうので、翔馬はとうとう黙り込んだ。
恋人同士だった頃はこういう軽口の叩き合いも楽しいお喋りの範疇だったが、今は本気で嫌がってる節を声色から感じられたのだ。
二回裏、翔馬のターン。希耶の挙げた数字は4。
「ねえ、このポーズじゃなきゃ駄目なの?」
「駄目です」
希耶は恥ずかしさのあまりルシファーに尋ねるが、あっさりと拒否される。
「せめて片手で……」
「両手でお願いします」
それすらも拒まれて、一切包み隠すことのできない状態を維持させられる。
マウンドの翔馬は希耶の平坦な身体を暫し眺めていたが、やがて視線をパネルに移した。
(二点差か……ここで何とかしないとどんどん差を付けられる。待ってろよ希耶、絶対に勝ってやるからな!)
相手はあくまでも不動のパネル。バッターがいるわけではないのだ。球に威力を乗せる必要は無く、正確な位置に投げることが何より重要。それを念頭に置いて、しっかり右下を狙って投球。今度は見事、ボールは4のパネルに当たった。
「お見事! 成功です!」
「やった!」
翔馬より先に声を上げたのは、希耶であった。しかしすぐにはっとして、フンと鼻を鳴らし翔馬から顔を背ける。
「では柚木さん、服を脱いで下さい」
ルシファーに顔を向けられると、杏はビクリと体を震わせる。
「むっ、無理ですっ! こんな所で脱ぐだなんて!」
「では私が魔法で」
有無を言わさずルシファーが魔法をかけると、杏の体は勝手に動き出した。
「えっ? え、ひゃあっ!」
体操服とキャミソールを一緒に掴んで一気に捲り上げ、白い肌を衆目に晒した。大きくて柔らかそうな胸を覆い隠すブラは、清楚かつキュートなピンクの花柄レースだ。
「はい、次からは自分で脱ぎましょう」
魔法による操作から解放されると、杏は両腕で胸を抱え込むようにしながらその場に座り込んだ。本人は少しでも隠そうとしてやったことだが、腕で中央に寄せられた胸は谷間をこれでもかというほど強調させる。
脱衣の一部始終を間近で見ていた弾の視線は、男心にジャストミートする深い谷間へと吸い込まれた。
(でけぇ……裕奈にも劣らない乳だ……いや、体格の差を考えるなら裕奈以上か……?)
弾からの視線を感じた杏は涙目になりながら、左手をブラのカップ部分に当てつつ右手で谷間を隠した。
二回が終わった時点で、希耶は残り二枚で杏は残り三枚。そしてここで再び弾がマウンドに上がる。
未だ優勢の続く弾であるが、パネルの後ろからマウンドを見るルシファーは不敵に笑っていた。
(さて……このゲームはここからが本番。綿環高校の元エースは、この試練をどう乗り越えるかな?)
三回表、弾のターン。マウンドに立つ弾の視線は、パネルには向いていなかった。
(柚木……エロすぎんだろ……)
胸の前に置いたフリップの上から両腕を重ね、がっちりガードで胸を隠す杏。
「はい、腕上げてー」
リリムが二の腕を突っつくと、杏はくすぐったそうに身をよじった。渋りつつも腕を上げるが、中途半端な所でストップ。
「腕はピン!」
またも二の腕を突っつかれた杏は、目をぎゅっとつぶって腕をまっすぐ伸ばす。白い肌とピンクのブラ、そして大きくて柔らかそうなバストに弾の視線は釘付けとなり、フリップの数字なんて目にも入らない。
「プレイ!」
ルシファーの合図が出て、弾ははっとしてフリップを見る。指定の番号は4だ。
(よし、あと二つ落とせば勝てるんだ。俺のコントロールなら余裕……)
そう思いながらパネルに意識を集中させようとするも、ついチラチラと杏の胸に視線が向いてしまう。
(気が散るっ!!!)
集中できずヤケクソ気味に投げたボールは枠外へとすっ飛んで行った。
「残念! 牧野君失敗です!」
「くそっ!」
馬鹿らしいミスをしてしまった弾は苛立ちをグラブにぶつけ、地面に叩き付けた。
(余裕だとばかり思ってたのに、こんな罠があったとは……)
一方、ここで弾が成功していたらブラを脱がざるを得なかった希耶は安心して緊張が解ける。
(はー、よかった。これ以上脱がされるのは流石に勘弁して欲しいよー)
杏がフリップで胸を隠しながらそそくさと移動すると、途中でフリップが消えてしまい慌てて両腕をブラに当てた。
弾の失敗を見て、希望を持ち始めたのは翔馬である。
(こいつは嬉しい誤算だぜ。よーし、ここから逆転してやる!)
「ようこそ愛天使領域へ。私は愛の天使、キューピッドのルシファー」
「ボクはアシスタントのリリムちゃんでーす!」
続けて、どこからともなくポンと現れたのがチアガール衣装の小悪魔美少女。
「これより皆さんにはゲームをして頂きます」
「はぁ? 何だよそれ」
「まあまあ、勝てば素敵な報酬が得られるんだから、黙って聞いててよ」
意味不明の事態に苛立ちの声を上げる弾を、リリムが宥めた。
「本日のゲームは、ストラックアウトです」
ルシファーがそう言った途端、野球少年なら誰もが知ってるストラックアウトのパネルがポンと現れた。だがそのパネルの枚数は、僅か四枚だ。左上に1、右上に2、左下に3、右下に4の数字が書かれている。
「おい、パネル少ないぞ」
「ええ、普通は九枚のパネルを使用するゲームですが、今回使用するパネルは四枚となります。このパネルを先に四枚全て落とした側のペアが勝利、そのペアはカップル成立となります」
「カップル成立!?」
四人全員が目を丸くして、そこに反応した。
「それでは今回の参加者をご紹介致しましょう。赤コーナー男子、一年A組野球部、岩田翔馬! 同じく女子、一年A組野球部マネージャー、天崎希耶Bカップ! 青コーナー男子、三年C組元野球部、牧野弾! 同じく女子、二年A組野球部マネージャー、柚木杏Fカップ! こちらのペアで、ゲームを行って頂きます!」
「ちょ、何で胸のサイズ言う!? ていうかこいつとカップル成立って!?」
「ではルールを説明致しましょう」
希耶の文句を無視して、ルシファーは進行。漆黒の翼を羽ばたかせて飛行しマウンドに着地する。それと同時にリリムはバッターボックス斜め後ろ辺りに移動した。リリムの手には長方形のフリップと黒のフェルトペンがどこからともなくポンと現れる。
「まず、女子の方はこのフリップに1から4までの数字をどれか一つ書きます。その後両腕を伸ばしてフリップを頭上に掲げ、フリップに書かれた番号のパネルを落とす指示をパートナーに伝えます。男子はマウンドからボールを投げ、指定されたパネルを落とせば成功です」
リリムが1と書いたフリップを上げると、ルシファーはプロ並みの綺麗なフォームで投球。勢いのある速球が抜群のコントロールで1のパネルを打ち抜いた。
「ただし、それ以外のパネルは私の魔法によりどんなに強力な球が当たっても落ちないようになっています」
次にリリムが2と書かれたフリップを上げるが、ルシファーは3を狙って投球。狙い通り3に当たるも、パネルはびくともしなかった。
「成功か失敗かを問わず、一球ごとに交代。そしてパネルを一枚落とすと、相手のペアの女子は服を脱がねばなりません」
「は!?」
突然明かされた衝撃のルールに、四人は仰天。
「脱ぐ部位はトップス、ボトムス、ブラジャー、ショーツの四ケ所。最初の一回目では上半身をブラジャー一枚になるまで脱がなければなりません。そして先に四枚全てのパネルを落とし、相手側の女子を全裸にしたペアがこのゲームの勝者となるわけです」
「何でそんなバカみたいなことしなきゃなんないわけ!? ていうか勝ったらこいつと付き合わされて負けたら全裸って、どっちに転んでも最悪なんだけど!?」
「俺と全裸同列なのか!? そんなに俺が嫌なのかよ!?」
「嫌!」
ショックを受けている翔馬に追い打ちをかけるように、希耶は断言した。
「まあ、付き合ってみてやっぱり無理となったらまた別れればいいだけですから」
と、そこでルシファーが希耶を宥めつつ提案。
「さて、それではどちらが先に攻めるか、ジャンケンで決めましょう。ちなみに野球と違って、ボールを投げる方が攻撃側です」
翔馬と弾のジャンケンの結果、弾が勝利して先攻に。弾と杏はそれぞれのポジションに就き、翔馬と希耶はライン外からリリムと共にそれを見ていた。
「プレイボール!」
球審の位置に就いたルシファーが宣言。マウンドの弾はニヤリと口元を緩めた。
(こいつはついてるぜ。勝てば無条件で柚木を俺の女にできる。しかも相手は一年の岩田だ。負ける要素が無え!)
杏の上げたフリップに書かれた数字は2。弾は大きく振りかぶって力一杯投げた。風を切って飛ぶストレートは、見事2のパネルを打ち抜く。
「お見事成功です! それでは天崎さん、脱いで頂きましょう!」
「ええー……ホントに脱ぐの? 冗談でしょ?」
「いえいえ冗談ではありません。ちなみに脱がない場合は私が魔法で強制的に脱がせます」
「ええー……」
顔を引き攣らせる希耶。ふと翔馬の方に顔を向けると、翔馬は希耶の肩に手を置いた。
「ま、こうなっちまったもんはしょうがねえや。後は俺が取り返すから、思い切って脱ごうぜ希耶!」
「死ねスケベ!」
本音を言えば蹴っ飛ばしてやりたい気持ちの希耶だが、怪我させては悪いと思って罵倒するだけに留めた。
「あーもう! 後で絶対恨む!」
体操服を捲り上げて脱ぎ捨てた希耶は、その下にキャミソール等は無くすぐにブラジャーである。小ぶりな胸を包む黄色い水玉のBカップブラ。翔馬にとっては見慣れた下着だ。
「これでいい? ったくもう、何であたしがこんなバカみたいなこと……」
へらへらしている翔馬に軽蔑の視線を送った後そっぽを向くと、マウンドの弾が視界に入った。弾は希耶の胸を見た後、興味が無さそうな、それでいて見下しているような表情をしてまた視線をパネルの方に向けた。
(あーはいはい、牧野先輩は巨乳にしか興味ありませんからねー)
心の中で自嘲する希耶だが、あくまでも胸の小ささを馬鹿にされたことが気に障ったのであり、弾から興味を持たれないことに関してはどうでもよかった。
一回表は弾が難なく成功。一回裏、翔馬&希耶のペアに交代である。
余裕だった弾とは対照的に、翔馬はかなり焦っていた。
(俺が取り返すとは言ったものの、俺ショートだぞ。こんなん不利に決まってんじゃねーか)
翔馬は守備の連係プレーに定評があり、コントロールも十分。投手の経験も無いわけではない。しかし流石に本職の三年生が相手では分が悪いのだ。
希耶がフリップに書いた数字は1。上半身に纏う衣服がブラジャーのみの姿で両腕を上げ腋を見せた格好の希耶は、恥ずかしそうに頬を染め顔を引き攣らせていた。
(あの謎のイケメンは付き合った後別れてもいいと言ってたが、とにかくこれに勝ちさえすればまた希耶と寄りを戻せるんだ。それにここでカッコいい所を見せれば、希耶だって俺を見直してそのまま交際継続になるかもしれない! やるぞ、やってやる!)
「さっさと投げてよ! 恥ずかしいのはあたしなんだから!」
「わかったよ!」
プレイが宣言されても考えを巡らせていたら希耶に急かされたので、慌てて投げたボールは狙いから横に逸れて2のパネルに当たった。
「おっとこれは残念、失敗となります」
「どこ狙ってんのバカ!」
「お前が急かすからだろ!」
口喧嘩を始める二人を見ながら、弾はほくそ笑んだ。
(こいつは圧勝確定だな。一年の分際で俺と戦おうなんざ、おこがましいんだよ)
杏はその顔を見上げるが、何も声をかけることなくすぐにまた俯いた。
二回表、弾のターン。杏は3の数字を挙げる。
(余裕なんだよこんなもの!)
これまたしっかりと狙いの的を捉え、流石エースの貫禄を見せつけた。
「お見事! これまた成功です! さあ天崎さん、脱いで下さい」
「またぁ!?」
流石に二回目となると希耶もそこまで抵抗せず、渋々ながらもハーフパンツを下ろして黄色い水玉に小さなリボンが付いたショーツを露にした。
なお、自分のターン以外はフリップは消滅する仕様。それで隠そうなんて甘い考えは通用しないのである。
「ううー……こんな青空の下で下着姿なんてー……」
あくまでここは領域の中。青空も作られたものでしかないが、希耶からしてみれば野外露出をしているも同然だ。
「つってもお前ビキニは普通に着てんじゃねーか。露出度変わんねーだろ」
「水着と下着は全然違うから! 本っ当デリカシーが無い! ていうかこっち見んな!」
「いやお前の下着も裸ももう何百回と見てるんだが俺!?」
「うっさい! 今はもう付き合ってないんだから見んなって言ってんの!」
いつもの調子で何か言うたび希耶の機嫌を損ねてしまうので、翔馬はとうとう黙り込んだ。
恋人同士だった頃はこういう軽口の叩き合いも楽しいお喋りの範疇だったが、今は本気で嫌がってる節を声色から感じられたのだ。
二回裏、翔馬のターン。希耶の挙げた数字は4。
「ねえ、このポーズじゃなきゃ駄目なの?」
「駄目です」
希耶は恥ずかしさのあまりルシファーに尋ねるが、あっさりと拒否される。
「せめて片手で……」
「両手でお願いします」
それすらも拒まれて、一切包み隠すことのできない状態を維持させられる。
マウンドの翔馬は希耶の平坦な身体を暫し眺めていたが、やがて視線をパネルに移した。
(二点差か……ここで何とかしないとどんどん差を付けられる。待ってろよ希耶、絶対に勝ってやるからな!)
相手はあくまでも不動のパネル。バッターがいるわけではないのだ。球に威力を乗せる必要は無く、正確な位置に投げることが何より重要。それを念頭に置いて、しっかり右下を狙って投球。今度は見事、ボールは4のパネルに当たった。
「お見事! 成功です!」
「やった!」
翔馬より先に声を上げたのは、希耶であった。しかしすぐにはっとして、フンと鼻を鳴らし翔馬から顔を背ける。
「では柚木さん、服を脱いで下さい」
ルシファーに顔を向けられると、杏はビクリと体を震わせる。
「むっ、無理ですっ! こんな所で脱ぐだなんて!」
「では私が魔法で」
有無を言わさずルシファーが魔法をかけると、杏の体は勝手に動き出した。
「えっ? え、ひゃあっ!」
体操服とキャミソールを一緒に掴んで一気に捲り上げ、白い肌を衆目に晒した。大きくて柔らかそうな胸を覆い隠すブラは、清楚かつキュートなピンクの花柄レースだ。
「はい、次からは自分で脱ぎましょう」
魔法による操作から解放されると、杏は両腕で胸を抱え込むようにしながらその場に座り込んだ。本人は少しでも隠そうとしてやったことだが、腕で中央に寄せられた胸は谷間をこれでもかというほど強調させる。
脱衣の一部始終を間近で見ていた弾の視線は、男心にジャストミートする深い谷間へと吸い込まれた。
(でけぇ……裕奈にも劣らない乳だ……いや、体格の差を考えるなら裕奈以上か……?)
弾からの視線を感じた杏は涙目になりながら、左手をブラのカップ部分に当てつつ右手で谷間を隠した。
二回が終わった時点で、希耶は残り二枚で杏は残り三枚。そしてここで再び弾がマウンドに上がる。
未だ優勢の続く弾であるが、パネルの後ろからマウンドを見るルシファーは不敵に笑っていた。
(さて……このゲームはここからが本番。綿環高校の元エースは、この試練をどう乗り越えるかな?)
三回表、弾のターン。マウンドに立つ弾の視線は、パネルには向いていなかった。
(柚木……エロすぎんだろ……)
胸の前に置いたフリップの上から両腕を重ね、がっちりガードで胸を隠す杏。
「はい、腕上げてー」
リリムが二の腕を突っつくと、杏はくすぐったそうに身をよじった。渋りつつも腕を上げるが、中途半端な所でストップ。
「腕はピン!」
またも二の腕を突っつかれた杏は、目をぎゅっとつぶって腕をまっすぐ伸ばす。白い肌とピンクのブラ、そして大きくて柔らかそうなバストに弾の視線は釘付けとなり、フリップの数字なんて目にも入らない。
「プレイ!」
ルシファーの合図が出て、弾ははっとしてフリップを見る。指定の番号は4だ。
(よし、あと二つ落とせば勝てるんだ。俺のコントロールなら余裕……)
そう思いながらパネルに意識を集中させようとするも、ついチラチラと杏の胸に視線が向いてしまう。
(気が散るっ!!!)
集中できずヤケクソ気味に投げたボールは枠外へとすっ飛んで行った。
「残念! 牧野君失敗です!」
「くそっ!」
馬鹿らしいミスをしてしまった弾は苛立ちをグラブにぶつけ、地面に叩き付けた。
(余裕だとばかり思ってたのに、こんな罠があったとは……)
一方、ここで弾が成功していたらブラを脱がざるを得なかった希耶は安心して緊張が解ける。
(はー、よかった。これ以上脱がされるのは流石に勘弁して欲しいよー)
杏がフリップで胸を隠しながらそそくさと移動すると、途中でフリップが消えてしまい慌てて両腕をブラに当てた。
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