れぷたいるず!~転生先の異世界は爬虫類がヒト化した世界でした~

桜蛇あねり

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第二章 カフェ『れぷたいるず!』

18.『れぷたいるず!』始動!……ともいかず…

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カフェのコンセプトも決まり、名前も決まり、食料もたくさんあって、従業員のモチベーションも高い。

バトルカフェ『れぷたいるず!』ついに始動……!!!




……とはならず。



「うーん、この”アクアミント”はどう使おうか……。”マリンレモン”と相性よさそうだし、この二つをこう、組み合わせて…」

俺はカフェで一人、提供するメニューの開発にいそしんでいた。

カフェオープンの計画が立ったからと言って、すぐにオープンするわけにもいかない。

カフェのメニューを考案するだけでなく、食料の十分な用意や、キャストの確保、事前告知などもしっかり行ったうえでオープンに望まなければならない。

また、『バトルカフェ』というコンセプトにすると決めた手前、料金システムやルールに禁止事項等も固めなければならない。

勝敗をどのように決めるのか、とか、バトル終了時のケガの治療や回復はどうするのか、とか。


考えることは山積みだ。


「あー、ちょっと疲れたな……」

ぼそっとつぶやいて、俺は一度メニュー開発のために動かしていた手を止めた。

誰もいない店内をぼーっと見渡す。


現在、ミィとティフィンは外へ出てそれぞれ自分の仕事をこなしている。


ミィは、山や海へ食料調達に。

ティフィンは、街へ備品調達に。


オープンに向けての基盤を作るべく、頑張ってもらっている。

俺も頑張んなきゃな……。

でも、頭が回らなくなってきた……。



「ちょっと息抜きに散歩でも行くかぁ…」


俺は椅子から立ち上がり、軽くのびをした。

頭を使った時の疲労回復は、静かな場所の散歩に限る。

そう思い、カフェの裏にある森へと散歩へ出かけた。





正午を過ぎたくらいの時間。

雲一つない快晴の中、俺は青々と生い茂る木々の間を進んでいた。

日光が頭上を覆う葉っぱに遮られ、柔らかく俺へと降り注ぐ。

とても気持ちいい。

「現世にいた時は、こんな大自然を堪能することなんてなかったからなぁ。あぁ、癒されるぜ…」

立ち止まって上を向き、目を閉じ、耳をすませ、俺は自然の中でしか得られないパワーを、その全身で感じ取った。

たぶん、はたから見たら”ちょっと痛い人”に見えるかもしれない。

でも、そんなことどうだっていい。

だって、今、ここには、

「俺しか、いないのだからッ!!」

バッと両手を広げ、俺は大自然を感じるポーズをとる。

たぶん、はたから見たら”中二病な痛い人”に見えるかもしれない。

俺はそのまま、右手で顔を覆い、上を向いていた顔を正面へキリッと戻した。

あぁ、大自然を感じてる俺、最高…!

そう思いながら、目を開けると、


「……?」


前方数メートル先にいた少女と目が合った。


「あ……」

「………」

「………」

「………」


数秒間、俺とその子だけ、時間が止まってしまったかのような錯覚に襲われた。

少女は、じぃっと俺を見たまま動かない。

とても綺麗で大きな黒色の瞳だった。

色白の肌に、真っ白なロングヘア。

頬にあるのは、小さなとげのような鱗。


とても神秘的な成り立ちをしていた。


そんな神秘的な少女に目を奪われかけたが、その前に、今俺はとてつもなく恥ずかしい所を見られたのではないか、という羞恥が先にやってきた。


「あぁっと……えぇっと……」

俺はしどろもどろに言葉を発しながら、そっと右手をおろした。


「すいません、今見たことは忘れてください」


赤面しながら頭を下げる俺。

その様子を見ていた少女は、こてん、と首を傾ける。

「今見たこと?」

「はっ!も、もしかして見られていなかったのか!」

少女の言葉に俺はほっと安堵の息をもらしたが、


「えっと、森の中で目をつむって上を向いて、なんかおかしなことを叫びながら両手を広げ、右手でポーズを決めながらボクのことを見ていた、という君の言動のこと?」


淡々と彼女は言い放った。


「どあああああああ!!!!見られてた上に詳細に言われたぁぁぁぁぁ!!!!」


あまりの恥ずかしさに顔を両手で覆い、俺はその場でゴロゴロと右に左に転がった。

転がる際に、頭を落ちていた石にぶつけ、軽く流血したが、そんなこと羞恥心に比べたら何も感じない。


「えっと、そんなに恥ずかしがらなくてもいいと思うよ?」


いつの間にか近くにいた少女は、地面に転がっている俺を不思議そうに見つめている。

「いやいや、恥ずかしいだろ……。いい年した大人がさ…。大自然を感じている自分に酔う姿なんてさ……」

「うーん、ボクはどちらかというと、今こうやってゴロゴロしてる方が恥ずかしいと思うんだけど……」

「う……」

正論を言われ、俺はさらに顔を赤くしながら、ゆっくり立ち上がった。

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