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17.大転変『荒野編』
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17.大転変『荒野編』
――始まりは3年前。
大転変が起きる前日、深夜のことだった。
テレビでは連日として、地球に接近しているらしき隕石によって人類が滅ぶとかなんとか散々煽りまくっているせいで、世界中がネガティブな方面に向かって混乱が広がっていた。
それは我が木枯家&その周辺も同じであったようで、もうすぐ地球に隕石が衝突するかもしれないからと、母親から向日葵と家で大人しくしているようにと、きつく言われていた。
だけど、今年で中学一年生になろうとしていた木枯荒野は、そんな言いつけを無視して家を飛び出した。
だって、当時の俺は、テレビで放送されているような人類滅亡カウントダウンやらなにやらなんて、大人が子供によく聞かせていたホラ話の一つなのだろうと信じていなかった。
来月から中学生というランクアップの高揚感やら、まだ正義の味方やらがいるとかろうじて信じていたような小学生エピソード完結まで残り数日という時期だ。
怖い物知らずでやんちゃ盛りなピーターパンだった俺は、大人たちが怖がっている隕石ってやつを人目拝んでやろうとか考えていたんだ。
出て行く直前に、隣の家の紅葉にも声を掛けた。
でも、紅葉は夜は暗くて怖いからと言い訳して賛同してくれなかった。
根性無しだと思った。
元々紅葉は体が丈夫じゃなくて、ままごとや絵を描いているのが好きな性格だ。
でも、中身くらいは危険に挑める男らしいとこが一ミリ未満でもあってくれればいいのになっと、その時は女々しい奴だなんて思ってたりもしていた。
一人で夜の街に赴いた俺は、絶対なにかすごいものを見つけて、紅葉のやつを羨ましがらせてやろうとか考えていた。
そうして辿り着いた場所は、街のはずれにある裏山だった。
街灯といった灯りが一切無い暗闇。枯れた草花と土の匂い。ごつごつとした雪を足場に、木々が生い茂る山の中を、星明かりを頼りに進んでいく。
今日は随分と星が明るく感じた。
街から明かりが消えているからなんだろう。
これは人気の無い山から見上げる夜空は、絶好の星空観測日よりに違いないと期待に胸を膨らませながら、頂上近くの平地に到達する。
そこで見上げた星空は、想像以上に綺麗だったことを覚えている。
まるで宝船が空中分解したみたいに、輝く星々が空一面を埋め尽くしていた。
……でも、俺はすぐおかしなことに気が付いて、感動は後回しになった。
星の海を泳ぐように動く光を見つけた。
飛行機? 人工衛星?
いいや、どれも違う。
それこそが……噂になっていた隕石であった。
他の星々と同じような大きさだったソレは、みるみる月と同等近い大きさへと変わっていく。
明るい紫色をした光を纏わせ、斜めに下降していく隕石を仰ぎ見ていると――異変が起きた。
隕石が、眩い閃光とともに割れたのだ。
一つの大きな隕石だったものが二つの隕石に姿を変える。色も〝紫〟から〝赤〟と〝青〟にそれぞれ変化すると――青色をした隕石が空で爆発を起こした。
その後を追うようにして、赤色をした隕石も続けて爆発した。
隕石は花火みたいな軌跡を残して、数え切れない流れ星となって降り注いだ。
これが地球の至る所に降り注いでいることも知らない子供だった自分は、世界の崩壊より目の前の宇宙ショーに夢中になっていた――そんな時だった。
降りてくる無数の流れ星。
その内の一つが、一条の光の筋となってこちらに向かってきた。
夜の闇が一瞬にして真っ白な光に染まり、強烈な熱波が地上を吹き抜ける。
光が収まったことで目蓋を開くよりも早く、背後から落雷みたいな耳をつんざく轟音とともに、周囲の木々を薙ぎ倒す衝撃波で俺も吹き飛ばされてしまった。
――それが、隕石の墜ちた瞬間だった。
地面から起き上がった俺は、考えるよりも先に走っていた。
薙ぎ倒された木々を踏み越え、落下したと思しき煙を上げている場所までやって来る。
周囲の雪は溶かされ、むき出しの地面が露わになってるその場所には、大人分くらいありそうなクレーターが出来上がっていた。
覗き込むと青白い輝きを放つ、水晶みたいに透き通った鉱石が一部分だけ顔を出しているのが見えた。
直感的にそれが隕石なんだろうと思ったけど、自分の知っている隕石とは少し違っていた。俺がイメージしていた隕石は、真っ黒で銀色キラキラした砂がこびりついているイメージだったからだ。
俺はゴクリと息を飲み、クレーターの中へ降りると、やや緊張しながら隕石を掴んでみた。
キャベツくらいの大きさをしていたけど、重さは綿みたいに軽い。大気圏から火達磨になっていたというのに、触れた隕石は熱くも冷たくもなかったのが不思議だった。
その直後。遠くからサイレンの音が聞こえてきた。
びっくりした俺は、手にした隕石を抱えてクレーターから離れようと走った。
なにか証が欲しいと思った。
今日、この日。自分はすごいことをしたんだぞということを証明するなにかを持って帰りたかった。
自分と入れ替わるように、落下現場にはパトカーや消防車やらを引き連れた大人たちが到着して、裏山は一気に騒がしくなった。
俺は見つからないように注意しながら山を下りて、急いで家に帰った。
家の前には母と妹。そして紅葉がいなくなってた俺を心配していたようだ。
勝手に出ていったことで、俺は母親からこっぴどく叱られたものだが、俺はやり遂げた充実感でいっぱいだった。
自分は大人が恐れて家に籠もってしまうようなものを目撃しただけじゃなく、そいつを手に入れてしまったんだと、この時は誇らしくさえ感じていた。
そのあと、紅葉と向日葵が俺の戦利品である隕石に気が付いたみたいだ。
二人が物珍しそうに『それなぁに?』と隕石に触れようとしてきたが、俺は触らせてあげなかった。
「こいつは男の証だ! 臆病な紅葉と、女の向日葵になんて触らせてやらないんだからな!」
そんなことを言って、俺は二人を置いて家の中へと戻っていった。
テレビでは隕石が大気圏に突入する前に爆発したことによって、人類滅亡の危機は去ったのだと大賑わいだった。
俺はまっすぐ自分の部屋に戻ると、ベッドの下に手にしてた隕石を大切に隠した。
そして、明日の朝になったら、この隕石をみんなに見せびらかしてやろうとか考えながら、俺は眠りについたんだ。
――そして、次の日。
朝起きると、家には母と妹を名乗る二人の見知らぬ男がいた。
ナイトキャップにふりふりパジャマを着た目つきの悪い髭面の男は自分を母と名乗り、馬鹿でかい体格をした大男は「おにいぢゃん☆」と叫びながら押し潰そうとしてきた。
命からがらリビングへやって来ると、テレビではいつものお天気お姉さんが、お兄さんになってて、困惑しながら天気予報をしていた。
窓の外からも、悲鳴がいくつも聞こえてきた。
外の様子を窺うと、近所の人たちが大慌てで外に出ていた。服装はどれもアベコベで、男女の服装が逆転しているという不自然な光景がそこにはあった。
なにが起こっているのか、理解できなかった。
自分は違う世界へ迷い込んでしまったのだろうか?
母と妹はどこへ行ってしまったのだろうか?
家にいるあの男たちは何者だろうか?
まさか、本当に世界は滅亡してしまったのだろうか?
俺は半ばパニックになりながら、幼馴染である紅葉のことを思い出す。
――紅葉は無事なのか?
俺はホラーゲームのように家の中をたむろする怪物たちを回避しながら走り回り、二階の自室の窓から隣の紅葉の家に飛び込んだ。
紅葉の部屋。ベッドの布団が盛り上がっているのを発見して、紅葉がまだ眠っていることにホッとする。
「おい紅葉、起きろ! なんだか、みんなおかしなことになっているんだ!」
布団にくるまっていた紅葉に飛び乗って、ゆっさゆっさと揺り動かす。
「……なになの? 昨日は夜更かししてたんだから、ちゃんと寝かせてよ」
悠長なことを言っている紅葉にイラッとした俺は、紅葉の布団を勢いよく引っ剥がす。すかさず、まだ眠っている紅葉を叩き起こすべく、パジャマの襟に手を伸ばそうとした。しかし、
ムギュゥ!
と、変な感触がした。
普通だったらパジャマの襟を掴んでいるはずの手が、別のところを掴んでしまったらしく、手の平の感触は柔らかだった。
おかしいと感じ、あらためてベッドで眠っている紅葉の姿を再確認する。
紅葉のパジャマは乱暴に起こしたためか、ボタンが外れて着崩れしていた。
それになんだか、全体的に体つきが細くなったみたいで、髪の毛も伸びている気もした。
念のため二・三度掴み直してみると、紅葉は「う、うぅん……」と変な声を出して反応した。それは、普段の紅葉とは思えない、ドキッとしてしまう、とても悩ましい声だった。
そして、紅葉の目蓋がゆっくりと開き、寝ぼけ眼な紅葉が俺を見る。
「……荒野、なにしてるの?」
「え、紅葉……なの、か?」
二人の目が合う。
互いの姿を直視する。
そこで、俺は自分が何を触っているのかを知った。
手にしていたのは、成長した女の子だけが胸に宿るんだと男子の間で噂されていた、柔らかな二つの膨らみであった。
「…………ッ!!!?」
「――――ッ!!!?」
のちに大転変と呼ばれることになる最初の朝。
俺と紅葉の悲鳴が反転世界に轟いた。
――そして、世界は空前の大混乱に突入する。
のちに性別を変えてしまった原因が、隕石に含まれていたウイルスだったことが判明すると、俺は恐くなった。
自分が持ち込んだものがそんな恐ろしい代物だと、ようやく自覚した当時の俺は、拾ってきた隕石を処分しなければいけないと思って、ベッドの下を覗き込む。
だけど、そこにはなにもなかった。
確かに、ここに、ベッドの下に隠したはずなのに。隕石は……跡形もなく消えてしまっていた。
溶けてしまったのか?
盗まれたのか?
あるいは足が生えて逃げたのか?
部屋中を必死になって探したけど、隕石なんて最初っから存在していなかったみたいに、どこからも見つかることはなかった。
それが、3年前の俺が知っている――隕石に関した最後の記憶だった。
――始まりは3年前。
大転変が起きる前日、深夜のことだった。
テレビでは連日として、地球に接近しているらしき隕石によって人類が滅ぶとかなんとか散々煽りまくっているせいで、世界中がネガティブな方面に向かって混乱が広がっていた。
それは我が木枯家&その周辺も同じであったようで、もうすぐ地球に隕石が衝突するかもしれないからと、母親から向日葵と家で大人しくしているようにと、きつく言われていた。
だけど、今年で中学一年生になろうとしていた木枯荒野は、そんな言いつけを無視して家を飛び出した。
だって、当時の俺は、テレビで放送されているような人類滅亡カウントダウンやらなにやらなんて、大人が子供によく聞かせていたホラ話の一つなのだろうと信じていなかった。
来月から中学生というランクアップの高揚感やら、まだ正義の味方やらがいるとかろうじて信じていたような小学生エピソード完結まで残り数日という時期だ。
怖い物知らずでやんちゃ盛りなピーターパンだった俺は、大人たちが怖がっている隕石ってやつを人目拝んでやろうとか考えていたんだ。
出て行く直前に、隣の家の紅葉にも声を掛けた。
でも、紅葉は夜は暗くて怖いからと言い訳して賛同してくれなかった。
根性無しだと思った。
元々紅葉は体が丈夫じゃなくて、ままごとや絵を描いているのが好きな性格だ。
でも、中身くらいは危険に挑める男らしいとこが一ミリ未満でもあってくれればいいのになっと、その時は女々しい奴だなんて思ってたりもしていた。
一人で夜の街に赴いた俺は、絶対なにかすごいものを見つけて、紅葉のやつを羨ましがらせてやろうとか考えていた。
そうして辿り着いた場所は、街のはずれにある裏山だった。
街灯といった灯りが一切無い暗闇。枯れた草花と土の匂い。ごつごつとした雪を足場に、木々が生い茂る山の中を、星明かりを頼りに進んでいく。
今日は随分と星が明るく感じた。
街から明かりが消えているからなんだろう。
これは人気の無い山から見上げる夜空は、絶好の星空観測日よりに違いないと期待に胸を膨らませながら、頂上近くの平地に到達する。
そこで見上げた星空は、想像以上に綺麗だったことを覚えている。
まるで宝船が空中分解したみたいに、輝く星々が空一面を埋め尽くしていた。
……でも、俺はすぐおかしなことに気が付いて、感動は後回しになった。
星の海を泳ぐように動く光を見つけた。
飛行機? 人工衛星?
いいや、どれも違う。
それこそが……噂になっていた隕石であった。
他の星々と同じような大きさだったソレは、みるみる月と同等近い大きさへと変わっていく。
明るい紫色をした光を纏わせ、斜めに下降していく隕石を仰ぎ見ていると――異変が起きた。
隕石が、眩い閃光とともに割れたのだ。
一つの大きな隕石だったものが二つの隕石に姿を変える。色も〝紫〟から〝赤〟と〝青〟にそれぞれ変化すると――青色をした隕石が空で爆発を起こした。
その後を追うようにして、赤色をした隕石も続けて爆発した。
隕石は花火みたいな軌跡を残して、数え切れない流れ星となって降り注いだ。
これが地球の至る所に降り注いでいることも知らない子供だった自分は、世界の崩壊より目の前の宇宙ショーに夢中になっていた――そんな時だった。
降りてくる無数の流れ星。
その内の一つが、一条の光の筋となってこちらに向かってきた。
夜の闇が一瞬にして真っ白な光に染まり、強烈な熱波が地上を吹き抜ける。
光が収まったことで目蓋を開くよりも早く、背後から落雷みたいな耳をつんざく轟音とともに、周囲の木々を薙ぎ倒す衝撃波で俺も吹き飛ばされてしまった。
――それが、隕石の墜ちた瞬間だった。
地面から起き上がった俺は、考えるよりも先に走っていた。
薙ぎ倒された木々を踏み越え、落下したと思しき煙を上げている場所までやって来る。
周囲の雪は溶かされ、むき出しの地面が露わになってるその場所には、大人分くらいありそうなクレーターが出来上がっていた。
覗き込むと青白い輝きを放つ、水晶みたいに透き通った鉱石が一部分だけ顔を出しているのが見えた。
直感的にそれが隕石なんだろうと思ったけど、自分の知っている隕石とは少し違っていた。俺がイメージしていた隕石は、真っ黒で銀色キラキラした砂がこびりついているイメージだったからだ。
俺はゴクリと息を飲み、クレーターの中へ降りると、やや緊張しながら隕石を掴んでみた。
キャベツくらいの大きさをしていたけど、重さは綿みたいに軽い。大気圏から火達磨になっていたというのに、触れた隕石は熱くも冷たくもなかったのが不思議だった。
その直後。遠くからサイレンの音が聞こえてきた。
びっくりした俺は、手にした隕石を抱えてクレーターから離れようと走った。
なにか証が欲しいと思った。
今日、この日。自分はすごいことをしたんだぞということを証明するなにかを持って帰りたかった。
自分と入れ替わるように、落下現場にはパトカーや消防車やらを引き連れた大人たちが到着して、裏山は一気に騒がしくなった。
俺は見つからないように注意しながら山を下りて、急いで家に帰った。
家の前には母と妹。そして紅葉がいなくなってた俺を心配していたようだ。
勝手に出ていったことで、俺は母親からこっぴどく叱られたものだが、俺はやり遂げた充実感でいっぱいだった。
自分は大人が恐れて家に籠もってしまうようなものを目撃しただけじゃなく、そいつを手に入れてしまったんだと、この時は誇らしくさえ感じていた。
そのあと、紅葉と向日葵が俺の戦利品である隕石に気が付いたみたいだ。
二人が物珍しそうに『それなぁに?』と隕石に触れようとしてきたが、俺は触らせてあげなかった。
「こいつは男の証だ! 臆病な紅葉と、女の向日葵になんて触らせてやらないんだからな!」
そんなことを言って、俺は二人を置いて家の中へと戻っていった。
テレビでは隕石が大気圏に突入する前に爆発したことによって、人類滅亡の危機は去ったのだと大賑わいだった。
俺はまっすぐ自分の部屋に戻ると、ベッドの下に手にしてた隕石を大切に隠した。
そして、明日の朝になったら、この隕石をみんなに見せびらかしてやろうとか考えながら、俺は眠りについたんだ。
――そして、次の日。
朝起きると、家には母と妹を名乗る二人の見知らぬ男がいた。
ナイトキャップにふりふりパジャマを着た目つきの悪い髭面の男は自分を母と名乗り、馬鹿でかい体格をした大男は「おにいぢゃん☆」と叫びながら押し潰そうとしてきた。
命からがらリビングへやって来ると、テレビではいつものお天気お姉さんが、お兄さんになってて、困惑しながら天気予報をしていた。
窓の外からも、悲鳴がいくつも聞こえてきた。
外の様子を窺うと、近所の人たちが大慌てで外に出ていた。服装はどれもアベコベで、男女の服装が逆転しているという不自然な光景がそこにはあった。
なにが起こっているのか、理解できなかった。
自分は違う世界へ迷い込んでしまったのだろうか?
母と妹はどこへ行ってしまったのだろうか?
家にいるあの男たちは何者だろうか?
まさか、本当に世界は滅亡してしまったのだろうか?
俺は半ばパニックになりながら、幼馴染である紅葉のことを思い出す。
――紅葉は無事なのか?
俺はホラーゲームのように家の中をたむろする怪物たちを回避しながら走り回り、二階の自室の窓から隣の紅葉の家に飛び込んだ。
紅葉の部屋。ベッドの布団が盛り上がっているのを発見して、紅葉がまだ眠っていることにホッとする。
「おい紅葉、起きろ! なんだか、みんなおかしなことになっているんだ!」
布団にくるまっていた紅葉に飛び乗って、ゆっさゆっさと揺り動かす。
「……なになの? 昨日は夜更かししてたんだから、ちゃんと寝かせてよ」
悠長なことを言っている紅葉にイラッとした俺は、紅葉の布団を勢いよく引っ剥がす。すかさず、まだ眠っている紅葉を叩き起こすべく、パジャマの襟に手を伸ばそうとした。しかし、
ムギュゥ!
と、変な感触がした。
普通だったらパジャマの襟を掴んでいるはずの手が、別のところを掴んでしまったらしく、手の平の感触は柔らかだった。
おかしいと感じ、あらためてベッドで眠っている紅葉の姿を再確認する。
紅葉のパジャマは乱暴に起こしたためか、ボタンが外れて着崩れしていた。
それになんだか、全体的に体つきが細くなったみたいで、髪の毛も伸びている気もした。
念のため二・三度掴み直してみると、紅葉は「う、うぅん……」と変な声を出して反応した。それは、普段の紅葉とは思えない、ドキッとしてしまう、とても悩ましい声だった。
そして、紅葉の目蓋がゆっくりと開き、寝ぼけ眼な紅葉が俺を見る。
「……荒野、なにしてるの?」
「え、紅葉……なの、か?」
二人の目が合う。
互いの姿を直視する。
そこで、俺は自分が何を触っているのかを知った。
手にしていたのは、成長した女の子だけが胸に宿るんだと男子の間で噂されていた、柔らかな二つの膨らみであった。
「…………ッ!!!?」
「――――ッ!!!?」
のちに大転変と呼ばれることになる最初の朝。
俺と紅葉の悲鳴が反転世界に轟いた。
――そして、世界は空前の大混乱に突入する。
のちに性別を変えてしまった原因が、隕石に含まれていたウイルスだったことが判明すると、俺は恐くなった。
自分が持ち込んだものがそんな恐ろしい代物だと、ようやく自覚した当時の俺は、拾ってきた隕石を処分しなければいけないと思って、ベッドの下を覗き込む。
だけど、そこにはなにもなかった。
確かに、ここに、ベッドの下に隠したはずなのに。隕石は……跡形もなく消えてしまっていた。
溶けてしまったのか?
盗まれたのか?
あるいは足が生えて逃げたのか?
部屋中を必死になって探したけど、隕石なんて最初っから存在していなかったみたいに、どこからも見つかることはなかった。
それが、3年前の俺が知っている――隕石に関した最後の記憶だった。
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