社長の奴隷

星野しずく

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社長の奴隷.40

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「す、すまない、取り乱した」

 ダメじゃないか、これじゃあ嫉妬してることがバレバレだ。



「それは、もう強姦だ。それで、信楽はどうしたんだ」

「は、はい・・・。入れようとした時に、さすがにまずいと思って、思いきり張り倒しました」

「・・・っ!」

 こういう時は褒めるべきなのだろうか・・・。

 遭遇したことのない場面に、さすがの寛成も言葉が出ない。



「こんなことしたら、もう一緒に仕事できないよ!って言ったら、信楽君、真顔になって・・・、そこからはひたすら謝ってました」

「そうか・・・」

「それで、明日退職願を持ってくるって言ってました」

「そうか・・・」

 美緒はしっかり自分の操は守ったようだ。

 寛成は一安心した。



「あ、あの、社長・・・、ちょっといいですか・・・?」

「なんだ?」

 寛成は興奮のあまり、さっき自分が口にしてしまった心の声のことをすっかり失念していた。



「さっき、俺もまだしたことないのにとか、まだ触ってないのにとか、入れてないのにとかって、あれはどういう意味ですか?」

 寛成はさっき口走ったことを思い出し、とたんに汗が噴き出してきた。 



 しまった・・・、うっかり声に出してしまった。

 しかし、もう誤魔化しきれない・・・。



「その通りの・・・、意味だ・・・」

 しかし、ハッキリ言わないと分からない美緒は、まだ事情が呑み込めない様で、ポカンとした顔をして寛成のことを見つめている。



「だから、僕も、君にキスしたり、胸に触ったり、その・・・入れたりしたいってことだ」

「え、えええっ!社長が・・・私に??まさか・・・そんなはずないですよ。冗談ですよね」

 美緒は全く信じていない様だ。



「クソッ、それが冗談じゃないから困ってるんだ・・・」

「困ってる?」



 やっぱり意味が分からない。

 こういう時に美緒は厄介だ。

 いちいち言いたくない自分の内面の話をしなければ、理解してくれないだろうから。



「最初はそんなつもりはなかったんだ。だけど、いつの間にか、君のことが好きになってしまった」

「ええっ!」

 嬉しいけれど、まだ美緒は寛成の言葉が信じられない。



「気を悪くしないで聞いて欲しい。僕も自分の気持ちを中々受け入れることが出来なかった。だから、君を諦めるために、信楽を入社させて、君たちをくっつけようとした。そうすれば諦められると思ってね」

「えっ、そうだったんですか・・・」

「ああ、だけど、逆効果だったよ。死ぬほど嫉妬して、余計に苦しくなっただけで、自分の気持ちを思い知らされるだけだったよ」

「・・・」

 美緒は夢を見ているのではないかと思い始めていた。



「好きだ、好きなんだよ、藤巻君、君のことが」

 寛成はそう言うと、美緒のことを抱きしめた。



 嘘っ・・・、社長が、私を・・・抱きしめて・・・。

 美緒は余りの衝撃に意識を手放した。



「藤巻君、藤巻君、大丈夫か・・・?ああ、よかった。目が覚めたかい」

 美緒はソファに寝かされていた。

「突然気を失うからびっくりしたよ」

 いやいや、その前に私の方が死ぬほどびっくりしたんですよ社長。
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