29 / 55
エロ.29
しおりを挟む美世の店は三日まで正月休みだと元貴が言っていた。
その間は元貴の勉強相手も休みだ。
つまり、美世に会えない。
自分一人で勉強する気にもなれず、かといって出かける気にもならない。
とんでもなく暇でつまらない正月を過ごすことになりそうだ。
うんざりした気分のまま風呂に入ろうとした時、スマホにメッセージが届いた。
美世からだった。
『明日の夜一緒に初詣行かない?OKならいつもの時間にアパートに来て』とあった。
『分かった。行きます』と返した。
美世から誘ってくれるなんて・・・。
本当はすごく嬉しい。
だけど、服部とのことがはっきりしない今、手放しでは喜べない。
色々考えていたせいで、眠りについたのは朝方で、起きたら夕方近くになっていた。
夜までなんとか時間をつぶし、美世のアパートに向かった。
「こんばんは」
「いらっしゃい」
いつもは自分が先に美世の部屋に入りこんでいて、美世を出迎えていたせいで、今日みたいに迎えられるのが気恥しい。
美世は晴れ着を着ていた。
綺麗だねと素直に言いたかったけれど、恥ずかしくて言えない。
「少し遠いけどいいかな?車でいくらか」
「うん」
二人でいるところを知り合いに見られる訳にはいかない。
だから、隣町のこじんまりとした神社に行くことになった。
初詣に誘ってもらったことはもちろん嬉しいけれど、こうしてアパートで会うのは久しぶりで、本当は出かけるよりも肌を合わせたい欲求の方が強かった。
だけど、そんな風にすれば性欲の塊だと思われそうで嫌だった。
服部に勝てないとしても、とりあえずはこうして会ってくれるのなら、嫌われてはいないはずだから。
「久しぶりだね」
「そうね」
美世の口からも、自分と同じような渇望が感じられればいくらか気持ちが楽になったのだろうけど、そういうものは感じられなかった。
「元貴につきあってくれるのは本当に感謝してるけど、高広君も受験生なんだから、これからは体調管理もしてね」
「うん、わかってる」
それは、夜訪ねるのをやめろっていう事?
「元貴にも合格して欲しいけど、元貴につき合わせたせいで高広君に何かあったら申し訳が立たないわ」
「俺は大丈夫だよ」
そんな上っ面の言葉が聞きたいんじゃない。
もう俺に会いたくないから、そんなこと言ってるんじゃないの?
「これから、もっと寒くなるんだから」
「大丈夫だって言ってるだろ!」
つい声を荒げてしまった。
「ごめん」
「ううん、私こそ、自分から頼んでおいて勝手よね」
神社に着くまで車内は沈黙に包まれた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる