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君に溺れてしまうのは僕だから.53
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「私って、何か面白味のない生き方してるのかなって。坂口君みたいに自由奔放なのもありなのかなって思ったんだ」
「へ、へえ。そんな風に言われたの初めてだよ」
「だから、お任せで」
「は、はいっ」
ええ~、俺の好きなようでいいの?ホントにホント?
そんなこと言われたら、もうやりたいことなんて一つしかないんだけど。
坂口はこんなチャンスはもう最後かもしれないという思いと、伊織とはこれからも同じ高校で顔を合わせていかなければならないということを冷静に考える必要があった。
どうも自分はここに来てから我を忘れているようだ。
伊織と楽しく過ごそうと思って来たはずなのに、結局考えているのはセックスのことばかりだ。
これは人としていかがなもなか?
伊織は坂口のお任せでいいと言うが、それはある意味自分という人間が試されているとも言えるのだ。
今日は散々自分の欲求を満たしてしまった。
だから、明日は伊織の言っていた面白味があって自由奔放な時間の過ごし方をするべきだ。
そういうのを義務的にやるというのも変な話だが、伊織は恐らく厳格に育てられたのだろう。
あの父親の発言はどうかと思うが、家の雰囲気からして今時珍しく厳しそうだった。
伊織から見た自分は恐らく自由で楽しそうに見えるのだろう。
自分のことは自分では分かりにくいものだ。
坂口は明日は本来の目的通り、純粋に海水浴を楽しむことに決めた。
「明日はさ、朝一で場所取りしてさ、泳ごうよ」
「うん」
やっとのことで煩悩を振り切って決めた予定にも伊織の反応は薄い。
それは仕方ないことだ。
何しろ、こうして二人きりで泊まりなどという状況であっても、坂口が一方的に伊織のことを好きなだけという事実は変わらない。
「さあ、じゃあ明日に備えて今日は早く寝よう」
「うん…」
てっきり身体を求めてくるとばかり思っていた伊織は、少し拍子抜けしたと同時に、やはりホッとしているというのが本当のところだった。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
二人は互いのベッドルームへと入っていった。
伊織はベッドに入ると程なく睡魔が襲ってきて、深い眠りに落ちていった。
しかし、坂口の方は案の定悶々としていた。
カッコつけてあんなことを言ってしまったが、正直体はまだまだ熱を帯びている。
何しろひとつ屋根の下で自分と伊織しかいないのだ。
もっともっと伊織の身体に触れていたい。
これが今の坂口の本音だった。
しかし、もう決めたのだ。
坂口は明日は少しでも伊織の喜ぶ顔が見えるはずだと、それだけを心の支えにして無理やり瞼を閉じた。
翌日も晴天に恵まれ、別荘の南向きの窓に朝日が照り付けている。
「こりゃ、相当気温が上がりそうだな」
坂口は冷蔵庫から冷えた水を取り出し、乾いた喉を潤した。
坂口はさっそく出かける準備に取り掛かった。
坂口が立てた音で目覚めたのか、伊織も部屋から出てきた。
「へ、へえ。そんな風に言われたの初めてだよ」
「だから、お任せで」
「は、はいっ」
ええ~、俺の好きなようでいいの?ホントにホント?
そんなこと言われたら、もうやりたいことなんて一つしかないんだけど。
坂口はこんなチャンスはもう最後かもしれないという思いと、伊織とはこれからも同じ高校で顔を合わせていかなければならないということを冷静に考える必要があった。
どうも自分はここに来てから我を忘れているようだ。
伊織と楽しく過ごそうと思って来たはずなのに、結局考えているのはセックスのことばかりだ。
これは人としていかがなもなか?
伊織は坂口のお任せでいいと言うが、それはある意味自分という人間が試されているとも言えるのだ。
今日は散々自分の欲求を満たしてしまった。
だから、明日は伊織の言っていた面白味があって自由奔放な時間の過ごし方をするべきだ。
そういうのを義務的にやるというのも変な話だが、伊織は恐らく厳格に育てられたのだろう。
あの父親の発言はどうかと思うが、家の雰囲気からして今時珍しく厳しそうだった。
伊織から見た自分は恐らく自由で楽しそうに見えるのだろう。
自分のことは自分では分かりにくいものだ。
坂口は明日は本来の目的通り、純粋に海水浴を楽しむことに決めた。
「明日はさ、朝一で場所取りしてさ、泳ごうよ」
「うん」
やっとのことで煩悩を振り切って決めた予定にも伊織の反応は薄い。
それは仕方ないことだ。
何しろ、こうして二人きりで泊まりなどという状況であっても、坂口が一方的に伊織のことを好きなだけという事実は変わらない。
「さあ、じゃあ明日に備えて今日は早く寝よう」
「うん…」
てっきり身体を求めてくるとばかり思っていた伊織は、少し拍子抜けしたと同時に、やはりホッとしているというのが本当のところだった。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
二人は互いのベッドルームへと入っていった。
伊織はベッドに入ると程なく睡魔が襲ってきて、深い眠りに落ちていった。
しかし、坂口の方は案の定悶々としていた。
カッコつけてあんなことを言ってしまったが、正直体はまだまだ熱を帯びている。
何しろひとつ屋根の下で自分と伊織しかいないのだ。
もっともっと伊織の身体に触れていたい。
これが今の坂口の本音だった。
しかし、もう決めたのだ。
坂口は明日は少しでも伊織の喜ぶ顔が見えるはずだと、それだけを心の支えにして無理やり瞼を閉じた。
翌日も晴天に恵まれ、別荘の南向きの窓に朝日が照り付けている。
「こりゃ、相当気温が上がりそうだな」
坂口は冷蔵庫から冷えた水を取り出し、乾いた喉を潤した。
坂口はさっそく出かける準備に取り掛かった。
坂口が立てた音で目覚めたのか、伊織も部屋から出てきた。
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