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君に溺れてしまうのは僕だから.54
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「おはよう、よく眠れた?」
「おはよう。おかげさまで」
伊織は気だるそうに答えた。
少し寝ぐせのついた髪、くしゃっとなったTシャツ。
普段きちっとしているだけにそのギャップがたまらない。
ああ~、エロいぞ、村井。
マジで俺の理性が試されてるなこれは。
坂口は姉が一人いて若い女性がそばにいるのは慣れているはずだけれど、姉弟のそれとはやはり別物だ。
「もうだいたい荷物は用意できたからさ、朝飯も海の家で食べよう」
「わかった」
伊織はあくびをしながら洗面所へ向かった。
二人は水着に着替え、パーカーを羽織ると荷物を持って海岸へ向かった。
まだ朝の8時ということもあり、眺めのいい場所にパラソルを立てることが出来た。
海の家に隣接しているカフェで朝食をとった。
互いにサンオイルを塗りあうと、シュノーケルをつけて海に潜った。
二人とも運動神経はいいので、マリンスポーツも存分に楽しめる。
「ここ、パルボートができるんだけど、やってみる?」
パルボートとはボートの上に立ってパドルをこいで進むという新しいマリンスポーツだ。
「うん、面白そうだね」
「よし、じゃあやってみよう」
そんなに難しくなく、海風を感じられるのがパルボートのよいところだ。
二人は説明を受けながらパドルボートを楽しんだ。
午後からはシーカヤックを予約し、二人は昼食をとることにした。
「どう?楽しい」
「うん、すごく」
伊織の顔は昨日とは打って変わってキラキラと輝いている。
言葉は少ないが、伊織は心から楽しんでくれているようだ。
よかった~、自分の欲望に従わなくて。
坂口は自分の選択が間違っていなかったことに安堵する。
午後からのシーカヤックでも伊織は終始笑顔で時にはきゃあきゃあと声をあげていた。
普段のクールな彼女も好きだが、自分だけがこういう表情を見ていると思うと、もっともっと喜ばせたいと思ってしまう。
楽しい一日はあっという間に過ぎていった。
「もうそろそろ別荘に戻ろうか」
「うん」
二人はパラソルをたたむと荷物を持って別荘へ向かった。
丸一日夏の海の強い日差しを浴びて、二人の肌はさらに小麦色の濃さが増した。
「先にシャワー浴びてきなよ」
「いいの?」
「うん、俺、外でシュノーケルとか洗ってくるから」
「そう、じゃあ、お言葉に甘えて」
伊織はそう言うとシャワールームに向かった。
汗と海水でべたつく肌を洗い流しながら、伊織は今日あったことを思い出していた。
武彦の家に引き取られて以来、伊織は寂しいと感じたことはなかった。
でも、自分の家は他の家とは違うのだということはずっと感じて生きてきた。
「おはよう。おかげさまで」
伊織は気だるそうに答えた。
少し寝ぐせのついた髪、くしゃっとなったTシャツ。
普段きちっとしているだけにそのギャップがたまらない。
ああ~、エロいぞ、村井。
マジで俺の理性が試されてるなこれは。
坂口は姉が一人いて若い女性がそばにいるのは慣れているはずだけれど、姉弟のそれとはやはり別物だ。
「もうだいたい荷物は用意できたからさ、朝飯も海の家で食べよう」
「わかった」
伊織はあくびをしながら洗面所へ向かった。
二人は水着に着替え、パーカーを羽織ると荷物を持って海岸へ向かった。
まだ朝の8時ということもあり、眺めのいい場所にパラソルを立てることが出来た。
海の家に隣接しているカフェで朝食をとった。
互いにサンオイルを塗りあうと、シュノーケルをつけて海に潜った。
二人とも運動神経はいいので、マリンスポーツも存分に楽しめる。
「ここ、パルボートができるんだけど、やってみる?」
パルボートとはボートの上に立ってパドルをこいで進むという新しいマリンスポーツだ。
「うん、面白そうだね」
「よし、じゃあやってみよう」
そんなに難しくなく、海風を感じられるのがパルボートのよいところだ。
二人は説明を受けながらパドルボートを楽しんだ。
午後からはシーカヤックを予約し、二人は昼食をとることにした。
「どう?楽しい」
「うん、すごく」
伊織の顔は昨日とは打って変わってキラキラと輝いている。
言葉は少ないが、伊織は心から楽しんでくれているようだ。
よかった~、自分の欲望に従わなくて。
坂口は自分の選択が間違っていなかったことに安堵する。
午後からのシーカヤックでも伊織は終始笑顔で時にはきゃあきゃあと声をあげていた。
普段のクールな彼女も好きだが、自分だけがこういう表情を見ていると思うと、もっともっと喜ばせたいと思ってしまう。
楽しい一日はあっという間に過ぎていった。
「もうそろそろ別荘に戻ろうか」
「うん」
二人はパラソルをたたむと荷物を持って別荘へ向かった。
丸一日夏の海の強い日差しを浴びて、二人の肌はさらに小麦色の濃さが増した。
「先にシャワー浴びてきなよ」
「いいの?」
「うん、俺、外でシュノーケルとか洗ってくるから」
「そう、じゃあ、お言葉に甘えて」
伊織はそう言うとシャワールームに向かった。
汗と海水でべたつく肌を洗い流しながら、伊織は今日あったことを思い出していた。
武彦の家に引き取られて以来、伊織は寂しいと感じたことはなかった。
でも、自分の家は他の家とは違うのだということはずっと感じて生きてきた。
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