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御曹司のやんごとなき恋愛事情.01
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オフィスビルが立ち並ぶこの界隈も土曜日の今日はいつものような賑わいがない。
ビジネスマン向けの飲食店の中には、土日はファミリーやカップル向けにメニューを変えて営業しているところもあるが、休みのところがほとんどだ。
それでも、ヘアサロンやネイルサロンといったサロン系のお店や、コンビニなどがビルの1階にテナントとして入っているため、人通りがないわけではない。
そんな中、土日もかわらず営業している喫茶らんぷは貴重な存在だ。
老夫婦二人で営むその店は、昭和の頃から変わらぬ定番メニューが常連客から人気の小さな店だ。
もう半分趣味の域に達しているのか、ほぼ年中無休に近い。
喫茶らんぷの隣のビルに関東支部の事務所を構える桑原商事とは長いつきあいだ。
土日の朝はもちろんのこと、ランチも喫茶らんぷの出前を取ることは珍しくない。
そして、桑原商事の次期社長である桑原俊介も土日に事務所に詰めているとき、ランチといえばいつも喫茶らんぷのナポリタンと決めている。
土曜の午前十一時、俊介は広々とした応接室の大きなソファに沈み込んで眠りこけている。
残業時間の削減に積極的に取り組み、基本的に休日出勤は禁止という桑原商事のオフィスには当然社員は誰もいない。
「桑原取締役、起きてください。コーヒーをお持ちしました。それから、もうすぐ三浦運輸様との会食のお時間です」
喫茶らんぷのコーヒーを持って現れたのは、俊介の秘書である佐竹優子だ。
彼女は俊介が中学生の頃から俊介の世話係兼教育係で今は秘書として働いている。
元々外資系の商社で世界中を飛び回っていた彼女は若くして幹部候補に抜擢されたエリートだ。
取引先で働く彼女の才能に目を付けた俊介の父桑原行成が、息子の俊介を次期社長として立派に育てるための教育係にとヘッドハンティングしたのだった。
彼女が俊介の家に初めてやって来たのは、俊介が中学三年十五歳、優子が二十五歳の時だった。
つまり優子と俊介は十歳違いになる。
そんな優秀な彼女をどうやって口説き落としたのか、中学生の俊介は考えたことも無かった。
女性でありながらそれ程の地位を手に入れたにもかかわらず、それを捨ててまで桑原家に来たのはなぜなのかという疑問は今でも解消されないままだ。
今はまだ父が社長として現役で働いている。
俊介は社会勉強の一環と称して、平日はデザイン会社の営業マンとして働くことを許されている。
家業の仕事はといえば、土日に行われるゴルフや会食といった接待がほとんどだ。
「優子、キスして」
「会社では佐竹とお呼びくださいと何度も申し上げております」
「もー、呼び方なんてどうだっていいじゃん。二人しかいないんだからー。ほら、起きるからさ、キスして」
俊介は甘えた口調でキスをねだる。
「ここは職場です」
優子はソファに近づくと、俊介の耳を引っ張って起き上がらせた。
「い、いてててっ!な、なにするんだよー」
「ほら、ちゃんと仕事してください」
「ちぇ、わかったよ、起きればいいんだろう」
俊介は面倒くさそうに立ち上がると、優子の腰に手を回してグッと抱き寄せると自らから口づけ、舌をねじ込んだ。
体を離そうとする優子を更に強く抱きしめると、彼女の舌を求め口内を熱い舌でなぞる。
「・・・んんっ、ふっ・・・」
俊介の強引なキスに、優子の口からは抵抗するように息が漏れる。
しかし次の瞬間、優子は俊介の腕からするりと抜け出すと、何事も無かったように俊介の服装の乱れを直した。
ビジネスマン向けの飲食店の中には、土日はファミリーやカップル向けにメニューを変えて営業しているところもあるが、休みのところがほとんどだ。
それでも、ヘアサロンやネイルサロンといったサロン系のお店や、コンビニなどがビルの1階にテナントとして入っているため、人通りがないわけではない。
そんな中、土日もかわらず営業している喫茶らんぷは貴重な存在だ。
老夫婦二人で営むその店は、昭和の頃から変わらぬ定番メニューが常連客から人気の小さな店だ。
もう半分趣味の域に達しているのか、ほぼ年中無休に近い。
喫茶らんぷの隣のビルに関東支部の事務所を構える桑原商事とは長いつきあいだ。
土日の朝はもちろんのこと、ランチも喫茶らんぷの出前を取ることは珍しくない。
そして、桑原商事の次期社長である桑原俊介も土日に事務所に詰めているとき、ランチといえばいつも喫茶らんぷのナポリタンと決めている。
土曜の午前十一時、俊介は広々とした応接室の大きなソファに沈み込んで眠りこけている。
残業時間の削減に積極的に取り組み、基本的に休日出勤は禁止という桑原商事のオフィスには当然社員は誰もいない。
「桑原取締役、起きてください。コーヒーをお持ちしました。それから、もうすぐ三浦運輸様との会食のお時間です」
喫茶らんぷのコーヒーを持って現れたのは、俊介の秘書である佐竹優子だ。
彼女は俊介が中学生の頃から俊介の世話係兼教育係で今は秘書として働いている。
元々外資系の商社で世界中を飛び回っていた彼女は若くして幹部候補に抜擢されたエリートだ。
取引先で働く彼女の才能に目を付けた俊介の父桑原行成が、息子の俊介を次期社長として立派に育てるための教育係にとヘッドハンティングしたのだった。
彼女が俊介の家に初めてやって来たのは、俊介が中学三年十五歳、優子が二十五歳の時だった。
つまり優子と俊介は十歳違いになる。
そんな優秀な彼女をどうやって口説き落としたのか、中学生の俊介は考えたことも無かった。
女性でありながらそれ程の地位を手に入れたにもかかわらず、それを捨ててまで桑原家に来たのはなぜなのかという疑問は今でも解消されないままだ。
今はまだ父が社長として現役で働いている。
俊介は社会勉強の一環と称して、平日はデザイン会社の営業マンとして働くことを許されている。
家業の仕事はといえば、土日に行われるゴルフや会食といった接待がほとんどだ。
「優子、キスして」
「会社では佐竹とお呼びくださいと何度も申し上げております」
「もー、呼び方なんてどうだっていいじゃん。二人しかいないんだからー。ほら、起きるからさ、キスして」
俊介は甘えた口調でキスをねだる。
「ここは職場です」
優子はソファに近づくと、俊介の耳を引っ張って起き上がらせた。
「い、いてててっ!な、なにするんだよー」
「ほら、ちゃんと仕事してください」
「ちぇ、わかったよ、起きればいいんだろう」
俊介は面倒くさそうに立ち上がると、優子の腰に手を回してグッと抱き寄せると自らから口づけ、舌をねじ込んだ。
体を離そうとする優子を更に強く抱きしめると、彼女の舌を求め口内を熱い舌でなぞる。
「・・・んんっ、ふっ・・・」
俊介の強引なキスに、優子の口からは抵抗するように息が漏れる。
しかし次の瞬間、優子は俊介の腕からするりと抜け出すと、何事も無かったように俊介の服装の乱れを直した。
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