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御曹司のやんごとなき恋愛事情.57
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「まだそんなことをおっしゃって・・・。坊ちゃんは社長になるお方なんです。しっかり自覚を持ってください」
まだ涙も乾ききっていないのに、こんなことを言わなければならない自分の立場が辛い。
「まったく・・・お前は・・・、素直じゃない・・・」
俊介は繋いだ手をより強く握った。
パレードも終わり、集まっていた人々もぞろぞろと帰り始める。
「俺たちもそろそろ帰るか」
俊介は意地でも手を離したくないようで、出口の外でタクシーを待つ間もずっと優子の手を離すことはなかった。
坊ちゃん・・・。
そんなひとつひとつの些細なことが、優子の胸を切なく締め付ける。
「どうだった?楽しかったか」
「・・・」
こんな時、素直に楽しいと言えたらどんなにいいだろうか・・・。
だけど、優子は黙り込むことしかできない。
「なんだよ~、俺たちの初めてのデートなんだぜ。少しくらい喜んでくれたっていいだろ?」
「・・・デートではありませんから」
「まったく・・・頑固だな」
俊介は少し機嫌を損ねたのか、そのあとのタクシーの中は沈黙したままだった。
しかし、ホテルに到着しフロントでチェックインをしようとした時、俊介は沈黙を破ることになった。
「どういうことだ優子!」
「空き部屋が出来たと連絡がありましたので、今日は別のお部屋に移動いたします」
「な、なんでだよ。今日は最終日だぜ?分かってるのかその意味を・・・」
「もちろん分かっております。私の荷物はもう運んでありますので。おやすみなさいませ」
優子は自分の部屋のカードを受け取ると、さっさとその場を立ち去ろうとした。
「ちょっと待てよ・・・。本気か?」
昨日まで自分の腕の中でとろける様に抱かれていたくせに・・・。
今日を逃したら、次にこんなチャンスが訪れる保証はない。
優子はそれでもかまわないというのか・・・。
しかし、そんなことを今この場所で問い詰める訳にはいかない。
「大げさですね、むしろ別々の部屋なのが当たり前です。ちなみに私の部屋は社長夫人たちと一緒の本館ですので」
そう釘を刺し、優子は行ってしまった。
嘘だろう・・・。
今日は一番燃え上がるはずだったのに。
こんなことなら、夕べは寝かさないで朝まで抱けばよかった・・・。
クソッ!!
俊介はいつまでもロビーに立ち尽くしているわけにもいかず、渋々自分の部屋へと戻っていった。
不完全燃焼感がハンパない・・・。
俊介はほとんど眠れずに朝を迎えた。
そして、そのまま空港に向かったのだが、そこでも優子に一杯食わされることになる。
栗林に手配させておいた席はキャンセルされ、優子はちゃっかり別の席を取っていたのだ。
「おい、そんなに毛嫌いすることないだろう」
「別に毛嫌いなどしておりません。ただ、副社長もお疲れでしょうから、ゆっくりお休みになられたほうがよいと思いまして」
まだ涙も乾ききっていないのに、こんなことを言わなければならない自分の立場が辛い。
「まったく・・・お前は・・・、素直じゃない・・・」
俊介は繋いだ手をより強く握った。
パレードも終わり、集まっていた人々もぞろぞろと帰り始める。
「俺たちもそろそろ帰るか」
俊介は意地でも手を離したくないようで、出口の外でタクシーを待つ間もずっと優子の手を離すことはなかった。
坊ちゃん・・・。
そんなひとつひとつの些細なことが、優子の胸を切なく締め付ける。
「どうだった?楽しかったか」
「・・・」
こんな時、素直に楽しいと言えたらどんなにいいだろうか・・・。
だけど、優子は黙り込むことしかできない。
「なんだよ~、俺たちの初めてのデートなんだぜ。少しくらい喜んでくれたっていいだろ?」
「・・・デートではありませんから」
「まったく・・・頑固だな」
俊介は少し機嫌を損ねたのか、そのあとのタクシーの中は沈黙したままだった。
しかし、ホテルに到着しフロントでチェックインをしようとした時、俊介は沈黙を破ることになった。
「どういうことだ優子!」
「空き部屋が出来たと連絡がありましたので、今日は別のお部屋に移動いたします」
「な、なんでだよ。今日は最終日だぜ?分かってるのかその意味を・・・」
「もちろん分かっております。私の荷物はもう運んでありますので。おやすみなさいませ」
優子は自分の部屋のカードを受け取ると、さっさとその場を立ち去ろうとした。
「ちょっと待てよ・・・。本気か?」
昨日まで自分の腕の中でとろける様に抱かれていたくせに・・・。
今日を逃したら、次にこんなチャンスが訪れる保証はない。
優子はそれでもかまわないというのか・・・。
しかし、そんなことを今この場所で問い詰める訳にはいかない。
「大げさですね、むしろ別々の部屋なのが当たり前です。ちなみに私の部屋は社長夫人たちと一緒の本館ですので」
そう釘を刺し、優子は行ってしまった。
嘘だろう・・・。
今日は一番燃え上がるはずだったのに。
こんなことなら、夕べは寝かさないで朝まで抱けばよかった・・・。
クソッ!!
俊介はいつまでもロビーに立ち尽くしているわけにもいかず、渋々自分の部屋へと戻っていった。
不完全燃焼感がハンパない・・・。
俊介はほとんど眠れずに朝を迎えた。
そして、そのまま空港に向かったのだが、そこでも優子に一杯食わされることになる。
栗林に手配させておいた席はキャンセルされ、優子はちゃっかり別の席を取っていたのだ。
「おい、そんなに毛嫌いすることないだろう」
「別に毛嫌いなどしておりません。ただ、副社長もお疲れでしょうから、ゆっくりお休みになられたほうがよいと思いまして」
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