ケダモノのように愛して

星野しずく

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ケダモノのように愛して.12

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 あまり大規模な祭りではないため午前中で大人神輿は終わり、午後からは子どもたちが花神輿を担ぐことになっている。

 写真部もそれに合わせて昼休憩を取った。



 大人神輿は迫力満点だが、子どもたちが担ぐ花神輿はその名のとおり華やかで、同じ神輿でもガラリと雰囲気が変わる。

 午後からは人も減り、場所も自由に確保できた。

 今度は神輿はもちろんのこと、子どもたちの表情が被写体としてはうってつけだ。

 花神輿が終わり全員が集合した。



「どうだみんな、うまく撮れたか?」

 そう言う先生の手にもしっかりと一眼レフのカメラが握られている。



「先生、早くプリントしたいです」

 ひなたはじれったそうに訴えた。



「まあまあ、消えてなくなるわけじゃないから。明日まで我慢してくれ」

「はぁ~い」



 分かってはいてもつい言いたくなる気持ちはみな同じだ。

 今はとりあえずカメラのモニターを見て満足するしかない。

 帰りの電車の中ではみんな必死になって自分のカメラのモニターを覗き込んでいた。

 駅に到着して、菊池先生から明日の予定の話を聞いたあと解散した。



 咲那は家に着くと早速カメラをパソコンのモニターに繋いだ。

 今日は天気も良くて法被の色や神輿の鮮やかな装飾が青空に映えて、いい写真がたくさん撮れていた。

 ただそれも実際にプリントしてみるまでは分からない。

 ひなただけでなく咲那も明日が待ち遠しかった。



 夕方五時。

 まりあはまだ帰って来てはいなかった。

 写真を撮るのはそれなりに楽しかった。

 しかし、父や母ほどは夢中になれない…。



「暇だな~」

 小さい頃からこんな具合で一人になることが多かった咲那は、実の親よりもいつも自宅で仕事をしている桔平のところに預けられて過ごすことの方が多かった。

 そんな習慣がついてしまっているせいで、高校生になった今でもつい桔平のところへ行きたくなってしまう。

 ただし、今はそれに恋愛感情が上乗せされているため、その誘惑はより強いものになっている。



 まりあの帰宅はきっと七時くらいだろう。

 まだ二時間もある…。

 桔平の家まで自転車で十分というのも、咲那が誘惑に負けてしまう要因でもある。



「七時までに帰ってこればいいよね…」

 誰もいないのに咲那はわざと声に出して言い訳めいたことを言っていた。

 それはやはり桔平に会いたいという本当の理由を自覚したくなかったからだ。

 咲那は家を飛び出すと、自転車を猛スピードで漕いだ。



 桔平はまだ作業中のようでアトリエに明かりが灯っている。

 一人で仕上げの作業をしてる場合もあるし、モデルの女性がまだいるかもしれない。

 咲那は立て付けの悪い窓の隙間から中の様子を伺った。

 桔平の後姿が見えた。

 そしてその向こう側には女性が裸のままソファに寝そべっていた…。
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