ケダモノのように愛して

星野しずく

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ケダモノのように愛して.44

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 朝は苦手な桔平が咲那の通学の時間に合わせて待機していると連絡が入った。



「じゃあお母さん、行ってきます」

「行ってらっしゃい。本当に気をつけてね」

 まりあは一生懸命に手を合わせて何かを拝んでいる。



 いつもの通学路をいつもの様に歩いた。

 十五分程で学校に無事到着する。

 まりあに到着した連絡と、桔平にお礼の連絡を入れると校舎に入っていった。



 こんなこと友達や先生に話すこともできない。

 その日一日、咲那は授業中も休み時間も心ここにあらずだった。

 とても部活に出る気分になれなかったので、用事があると言って休んだ。

 あらかじめ授業が終わる時間を桔平に伝えておいたけれど、一応学校を出る前に連絡を入れるとすでに待機してるとの返事が帰ってきた。



 咲那はそのまま家に帰り、まりあに無事家に着いたことを連絡した。

 少し遅れて桔平も咲那の家の近くに到着し、水谷が見張っているのを警戒してバイクは離れたところに停めて家の裏口から入ってきた。



「やっぱり明るいうちは来なかったな」

「うん、でもありがとう…。桔平がいてくれるかと思うと心強かった」

「当たり前だろ?俺様を誰だと思ってるんだ」

 どっかで聞いたことのあるセリフだけどあえてスルーした。



「咲那、俺が絶対守るからな」

 桔平が急に近づいてきて、咲那のことをギュッと抱きしめた。

 そしてそのままキスをされた。



 キスは…もちろん嬉しいけど…、あんまり気軽にしないでほしい…。

 咲那の体はあっという間にそっちの気分になってしまうのだから。

 最近はこの二つがセットの様に行われて困る。



「わ、わかってるから…。は、離して…。銀次さん待ってるんでしょ」

「あ、そうだった」

 もう、どこまでが本気でどこからが冗談なのか分からない。



「じゃあ、ここからが勝負だからな」

「お前が一人でいるところを狙ってくるはずだから、俺はさっきより離れてお前の後ろをバイクでついてくから。俺の家についたらそのまま二階に上がるつもりで行ってくれ」

「わかった…」

「大丈夫か?怖くないか?」

「そ、それは…、少しは怖いよ」

「ごめんな、お前をこんな目に合わせて。でも、俺が絶対守るって約束するから」



 真剣な眼差しで見つめられると、普段がちゃらんぽらんなだけに、そのギャップで胸がキュンとしてしまう。

 普通でも恰好いいんだから、カッコイイこととか言うのやめてほしい。



「わかった、信じてるから、ちゃんと守ってね」

「やっぱ、お前、可愛い…」



 桔平はいったん離した体をまた自分の胸の中に抱きしめては、その唇にチュッ、チュッ、とキスをした。

 ああっ、もう、だから、ダメだって…。

 キスだけでも体がとろけそうになっちゃうんだから。



「桔平!」

 咲那は両手で桔平のほっぺをパチンと挟んだ。
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