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ホストと女医は診察室で.35
「ちょっと、お互いに褒め合うのとか止めませんか?気持ち悪いです」
「でも、本当にそう思うんだから仕方ないですよ」
「それは、私もそうだけど…」
「じゃあ、好きな人は?」
「う~ん、今はいないです」
そう答えたものの、頭の中では聖夜の顔がチラつく。
目の前にはその聖夜と同じ顔をした和希がいるというのに…。
「僕もですよ」
そう言ったものの、本当は実は慶子のことが気になり始めている…。
友達という隠れ蓑を使って、慶子と会っていることに少しだけ罪悪感を感じてまう。
「こんなこと男の人と話したの初めて…。なんか変な感じ」
「僕もです。男同士だってあまりこんな話しないですから」
そんなちょっとおかしな空気感のせいで慶子のグラスは知らないうちに空っぽになっていた。
「おしゃべりすると喉が渇きますね。飲み物たのんでいいですか」
「もちろん」
和希はボーイを呼ぶとまた同じお酒をたのんでくれた。
そこから、二人の会話の内容は仕事へとシフトしていった。
お互いに雑談よりも熱が入り、いきおい飲み物を注文する頻度も高くなっていった。
そして、慶子はまたしてもやってはいけないミスを犯してしまったのだった。
「慶子さん、慶子さん、大丈夫ですか」
「ん?あれ、聖夜さん…、どうして」
あ、私またベッドの上にいる。
まさか…、またやってしまった?
「え、今、聖夜って言いました?」
違う、聖夜さんじゃない、和希さんだ!
「あっ…、ううん、何でもないです」
慶子は出来ることならばなんとか誤魔化したい。
「ちょっと待って、聖夜って…、いや、まさか、でも…」
和希は和希で、自分の兄がホストで、聖夜と名乗っていると自分から言うのは墓穴を掘る可能性がある。
二人の間に沈黙が流れる。
しかし、それはつまりお互いに言えない秘密があると言っているようなものだった。
口火を切ったのは和希だった。
「実は僕の兄は、その…、ホストをしてるんです。で、その源氏名が聖夜って言うんですよ。でも、まさか出来すぎですよね、慶子さんが兄さんと知り合いとか。ねえ、そんなわけないですよね?」
慶子は和希にそう言われてもまだ迷っていた。
だけど、さっきはっきりと聖夜と言ってしまったのだ。
変に誤魔化すより、言える範囲のところまで言うのが最善だろう。
「実はうちのクリニックに聖夜さんが患者さんとして何度か来たんです。それで、まあ結構強引に店に来てくれって誘われて、二回お店に行ったことがあるんです。それだけです」
「じゃあ、僕が孝輔兄さんの弟だって知ってたんですか」
「まあ、たぶんそうかなって。だって、余りに顔が似てるから」
慶子は聖夜に写真を見せてまで確認したことは言わなかった。
自分と聖夜が見合いの話を打ち明けるほど親密であることはできれば言いたくなかったから。
「ふうん。何か僕の人生はいつも兄さんのお下がりばかりみたいだな。父の仕事を継いだのだって、兄さんの代わりみたいなもんだし。父はきっと今でも本当は兄さんに帰って来て欲しいって思ってるんですよ」
和希はひどく淋しそうな表情になった。
慶子はかける言葉がなかった。
「だけど、なんだか腹が立ってきたよ」
「えっ?」
「でも、本当にそう思うんだから仕方ないですよ」
「それは、私もそうだけど…」
「じゃあ、好きな人は?」
「う~ん、今はいないです」
そう答えたものの、頭の中では聖夜の顔がチラつく。
目の前にはその聖夜と同じ顔をした和希がいるというのに…。
「僕もですよ」
そう言ったものの、本当は実は慶子のことが気になり始めている…。
友達という隠れ蓑を使って、慶子と会っていることに少しだけ罪悪感を感じてまう。
「こんなこと男の人と話したの初めて…。なんか変な感じ」
「僕もです。男同士だってあまりこんな話しないですから」
そんなちょっとおかしな空気感のせいで慶子のグラスは知らないうちに空っぽになっていた。
「おしゃべりすると喉が渇きますね。飲み物たのんでいいですか」
「もちろん」
和希はボーイを呼ぶとまた同じお酒をたのんでくれた。
そこから、二人の会話の内容は仕事へとシフトしていった。
お互いに雑談よりも熱が入り、いきおい飲み物を注文する頻度も高くなっていった。
そして、慶子はまたしてもやってはいけないミスを犯してしまったのだった。
「慶子さん、慶子さん、大丈夫ですか」
「ん?あれ、聖夜さん…、どうして」
あ、私またベッドの上にいる。
まさか…、またやってしまった?
「え、今、聖夜って言いました?」
違う、聖夜さんじゃない、和希さんだ!
「あっ…、ううん、何でもないです」
慶子は出来ることならばなんとか誤魔化したい。
「ちょっと待って、聖夜って…、いや、まさか、でも…」
和希は和希で、自分の兄がホストで、聖夜と名乗っていると自分から言うのは墓穴を掘る可能性がある。
二人の間に沈黙が流れる。
しかし、それはつまりお互いに言えない秘密があると言っているようなものだった。
口火を切ったのは和希だった。
「実は僕の兄は、その…、ホストをしてるんです。で、その源氏名が聖夜って言うんですよ。でも、まさか出来すぎですよね、慶子さんが兄さんと知り合いとか。ねえ、そんなわけないですよね?」
慶子は和希にそう言われてもまだ迷っていた。
だけど、さっきはっきりと聖夜と言ってしまったのだ。
変に誤魔化すより、言える範囲のところまで言うのが最善だろう。
「実はうちのクリニックに聖夜さんが患者さんとして何度か来たんです。それで、まあ結構強引に店に来てくれって誘われて、二回お店に行ったことがあるんです。それだけです」
「じゃあ、僕が孝輔兄さんの弟だって知ってたんですか」
「まあ、たぶんそうかなって。だって、余りに顔が似てるから」
慶子は聖夜に写真を見せてまで確認したことは言わなかった。
自分と聖夜が見合いの話を打ち明けるほど親密であることはできれば言いたくなかったから。
「ふうん。何か僕の人生はいつも兄さんのお下がりばかりみたいだな。父の仕事を継いだのだって、兄さんの代わりみたいなもんだし。父はきっと今でも本当は兄さんに帰って来て欲しいって思ってるんですよ」
和希はひどく淋しそうな表情になった。
慶子はかける言葉がなかった。
「だけど、なんだか腹が立ってきたよ」
「えっ?」
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