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ホストと女医は診察室で.60
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「あいつは君じゃなくて、君に会っている俺に会いたかったんだろう」
多分、聖夜の言う通りなのだろう…。
ただ、今は聖夜のことが心配だ…。
だけど、このおかしな関係はいつか終わらせなければならない。
「今開けます」
慶子は勇気を出してそう答えた。
慶子と聖夜は一階のクリニックに下りていった。
鍵を開け自動ドアを手で開いた。
待ち構えていたとばかりに、和希がクリニックの中に飛び込んできた。
「ハハッ、やっぱり兄さんか…。よくこうして会ってるんだ…。SNSで兄さんが乗ってる車の画像あげてたからもしかしてと思って来てみたら、あるんだもんな兄さんの車が」
「ち、違うの…、今日は聖夜さん…三上さんから書類の確認を頼まれて…」
「もういいよ、そんな嘘は!結局二人はデキてたってことだろ?それで僕のことをあざ笑ってたんだろ?僕だけが慶子さんに夢中になってるのを眺めて楽しんでたんだ…、ハハッ、ほんとバカだよな…それに気づきもしないで…」
和希は大声で勝手に喋りつづけた。
「違うわ!そんなことしてない。和希さん、信じて…」
「じゃあ、慶子さんは兄さんのことが好きじゃないの?兄さんは、どう?慶子さんのこと好きなんだろ」
今の和希にはどう答えるのが正解なのだろう。
違うと言っても信じてもらえない。
だからと言って、和希の言葉を肯定すれば火に油を注ぐようなものだ。
「和希…、お前どうしちゃったんだよ…」
聖夜自身、和希のこんな姿を見るのは初めてだった。
自分を失った様に喋り続け、しかもその内容は勝手な妄想で、他人の話をまともに聞こうともしない。
明らかに様子がおかしい…。
「和希、いい加減にしないか!」
クリニックの外から聖夜には聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「すみません、勝手にお邪魔させてもらいますよ」
そう言って入ってきたのは聖夜と和希の父親である文則だった。
「と、父さん!!」
聖夜と和希は同時に叫んだ。
クリニックにピリリとした空気が流れる。
「町田さん、先だってはお世話になりました。このところ、うちのバカ息子の様子がおかしかったので、社員を一人見張りにつけていました。まあ、こいつのことですから十中八九、町田さんとのことが尾を引いてるんだと当たりはつけてましたので、クリニックの駐車場に入ったところで私に連絡が入りました」
「は、はあ…」
慶子は相変わらず和希は甘やかされてるなと思わないではなかったが、お父様にも愛されているのだと思った。
「和希、お前は一体どうしたいんだ?」
「ぼ、僕は…、何をしても兄さんに敵わない…。一生そんな人生なのかと思ったら、悔しくて…悲しくて…情けなくて…。父さんたちにも申し訳ないし。きっと、父さんは今でも僕なんかより兄さんと仕事したいと思ってるんだろうって思ったら、僕のいる意味って何なんだろうって…。その上、好きになった女性も簡単に兄さんに取られちゃうなんて…、もう…本当に…みじめで…」
和希は崩れ落ちるように座り込むとボロボロと涙をこぼした。
「本当にバカな奴だ。私は孝輔じゃなくて和希、お前を後継者に選んだんだ。確かに孝輔は経営者としての能力はお前より優れているかもしれない。だから、以前新規事業を考えていた時は孝輔が戻ってくれることを望んでいた。だけど、その話はもうなくなっただろう?だから、今は他の会社をサポートするのがうちがすべき仕事だ。そんなうちの会社には孝輔より和希、お前の方が適任だと私は思っている。人の気持ちを勝手に決めつけるんじゃない!」
多分、聖夜の言う通りなのだろう…。
ただ、今は聖夜のことが心配だ…。
だけど、このおかしな関係はいつか終わらせなければならない。
「今開けます」
慶子は勇気を出してそう答えた。
慶子と聖夜は一階のクリニックに下りていった。
鍵を開け自動ドアを手で開いた。
待ち構えていたとばかりに、和希がクリニックの中に飛び込んできた。
「ハハッ、やっぱり兄さんか…。よくこうして会ってるんだ…。SNSで兄さんが乗ってる車の画像あげてたからもしかしてと思って来てみたら、あるんだもんな兄さんの車が」
「ち、違うの…、今日は聖夜さん…三上さんから書類の確認を頼まれて…」
「もういいよ、そんな嘘は!結局二人はデキてたってことだろ?それで僕のことをあざ笑ってたんだろ?僕だけが慶子さんに夢中になってるのを眺めて楽しんでたんだ…、ハハッ、ほんとバカだよな…それに気づきもしないで…」
和希は大声で勝手に喋りつづけた。
「違うわ!そんなことしてない。和希さん、信じて…」
「じゃあ、慶子さんは兄さんのことが好きじゃないの?兄さんは、どう?慶子さんのこと好きなんだろ」
今の和希にはどう答えるのが正解なのだろう。
違うと言っても信じてもらえない。
だからと言って、和希の言葉を肯定すれば火に油を注ぐようなものだ。
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自分を失った様に喋り続け、しかもその内容は勝手な妄想で、他人の話をまともに聞こうともしない。
明らかに様子がおかしい…。
「和希、いい加減にしないか!」
クリニックの外から聖夜には聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「すみません、勝手にお邪魔させてもらいますよ」
そう言って入ってきたのは聖夜と和希の父親である文則だった。
「と、父さん!!」
聖夜と和希は同時に叫んだ。
クリニックにピリリとした空気が流れる。
「町田さん、先だってはお世話になりました。このところ、うちのバカ息子の様子がおかしかったので、社員を一人見張りにつけていました。まあ、こいつのことですから十中八九、町田さんとのことが尾を引いてるんだと当たりはつけてましたので、クリニックの駐車場に入ったところで私に連絡が入りました」
「は、はあ…」
慶子は相変わらず和希は甘やかされてるなと思わないではなかったが、お父様にも愛されているのだと思った。
「和希、お前は一体どうしたいんだ?」
「ぼ、僕は…、何をしても兄さんに敵わない…。一生そんな人生なのかと思ったら、悔しくて…悲しくて…情けなくて…。父さんたちにも申し訳ないし。きっと、父さんは今でも僕なんかより兄さんと仕事したいと思ってるんだろうって思ったら、僕のいる意味って何なんだろうって…。その上、好きになった女性も簡単に兄さんに取られちゃうなんて…、もう…本当に…みじめで…」
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