日替わりでイケメン達に迫られてます

誰かイケメン達を止めてくれませんか！！.13

　ゆ、優くんが歌ってくれて、髪を撫でてくれて…。

　ぎゃあ～っ！！

　みゆうはクッションに顔を埋めて大声で叫んだ。

　そんなもんじゃ、この興奮は収まりそうにないけれど。

　みゆうは本棚から優くんの特集が載っている声優雑誌を取り出した。

　震える手で優くんのページを開くと、優くんの顔をそっと撫でてみた。

　本当に優くんだったよね。

　本物だったよね。

　顔だって、声だって、本人そのものだった。

　実感すればするほど、その興奮を持て余してしまう。

　みゆうはわけもなく飛んだり跳ねたりした。

　そうでもしなければ、気が変になりそうだったから。

「優くん。カッコよかった。綺麗な声だった。ああ～、大好き。大好きだよ～！！」

　でも、もう優くんはここにはいない。

　嬉しさと悲しさが一気に押し寄せてきて、みゆうはもうパニックに陥る。

「ああ、もうなんなのこれは～っ！！」

　みゆうは優くんの雑誌をギュッと抱きしめて叫んだ。

　一旦覚醒した脳はそう簡単には沈静しない。

　明日はまた寝不足のまま学校に行くことになりそうだ。



　昨日、優くんはアフレコ中だと言っていた。
　
　さすがにそんなことがネットニュースになるとは思えない。

　みゆうは優くんのツイッターをチェックしてみた。
　
　すると、やはり仕事を抜け出して大目玉を食らったというツイートがあった。

　やっぱりホントだったんだよね。

　毎回のことだが、確認のしようがない。

　頼れるのは自分の記憶と、こういうネットなどの情報だけだ。

　しかし、どれも確証が得られるわけではない。

　眠いのだけは確かだが。

　みゆうはお味噌汁でご飯を流し込むと家を出た。