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兄と妹のイケナイ関係.16
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今日は、町の神社で夏祭りが開催される。
毎日将兄と一緒に過ごせて、これ以上の贅沢を言ってはいけないとは分っていても、気持ちを確かめ合った今、デートみたいなこともしてみたいという気持ちが無いと言ったら嘘になる。
しかし、受験生で更にこの年齢になって兄と妹で夏祭りに出かけると言うのは親には言い出しにくい。
その前に、将貴にさえも言い出すのがはばかられる。
モヤモヤした気持ちのまま朝食を食べていると、将貴が眠そうな顔をして二階から下りてくる。
「おはよう。」
「おはよう。将兄。」
みのりは落ち込んでいるのを悟られない様、いつもの笑顔で答える。
「んっ、どうした?何かあったのか?」
やっぱり、いつも一緒にいる将兄には何も隠し事は出来ないようだ。
「なっ、何でもないよっ。」
「それが、なんでもないっていう顔か?お前はほんとに嘘がつけないんだな。」
「ううっ…。」
みのりは悔しいけれど、その点は認めざるを得ない。
「何でもちゃんと言えよ。どうせ、後でバレんだから。」
確かに将兄の言うとおりだ。
みのりは観念して思っている事を伝えた。
「あのね、お母さんたちには絶対許してもらえないだろうし、何て言っていいかわかんないから言えなかったんだけど、今日ね、夏祭りなんだ…。それで…、」
「よし、行こう。」
「えっ、ええっー!」
まだ途中までしか話していないのに、将貴は即答した。
「だだっ、だって、どうやってお母さんたちに言うの?それに、クラスの誰かに会ったらまずいし…。」
オロオロするみのりに、
「何言ってんだよ、俺達の成績、夏休み前より随分上がったじゃん。ご褒美に少しくらい羽伸ばしたって文句は言わせねーよ。俺に任せとけって。」
将貴はなぜだか自信満々だった。
「クラスの誰かに会ったら何て言うのよ~。」
「ばーか、俺達の関係知ってるの俺達だけだろ。別に兄貴と一緒だって何もまずいことなんかないよ。お前の考え過ぎ。」
そうまで言われるとそんな気になってくるから不思議だ。
「そうだね、ダメもとでお母さんに聞いてみる。」
そう言うと、みのりはスマホでメッセージを送る。
しばらくして返事が返ってきた。
「がんばったご褒美に行っておいでだって!やったー、将兄ー。だ~い好き。」
みのりは将兄に抱きついて大喜びだ。
「こら、はしゃぎ過ぎ。」
そう言って将兄は、みのりの唇に軽くキスをすると、今日はやけにあっさり自分の部屋に引き上げて行ってしまう。
一人ポツンとリビングに取り残されたみのりは、喜んだのもつかの間、そんな将貴の態度を何だかとても寂しく感じた。
(私ばっかり喜んだり、悲しんだりしてバカみたい。将兄は大人ぶってクールにしてて、悔しい!)
しかし、今夜は二人で夏祭りに行ける。その事実は、みのりの不機嫌な気持ちを払拭するのには十分過ぎるご褒美だ。
だから、つまらない事は気にしないで今夜を楽しみに、勉強に励もうと気分を切り替えたみのりだった。
お昼は二人でいつものように冷蔵庫にあるもので軽く済ませる。
「早く夜にならないかな~。」
みのりがつぶやく。
「そんなに楽しみか?」
将貴には女性の気持ちがイマイチ理解できないようだ。
「えぇ~、将兄は楽しみじゃないの~?」
「俺か?俺は人ごみはあんまり好きじゃないからな~。それに俺はみのりがいればどこでもいいから。」
なんて、これまたクサイ台詞をさらっと言われて、みのりは真っ赤になるしかなかった。
彼とデートとなれば、勢い着ていくものにもこだわりたくなるのが女心だ。
みのりは持っている服をずらりと並べると、どれにしようか鏡の前で当てがって、あれこれ悩んでいた。
男の将貴にしてみたらみのりならどんな格好をしていたってかわいいのに、と思うのだが…。
予定より随分待たされて、ようやく部屋から出てきたみのりの装いを見て、将貴は急に不機嫌になる。
みのりが選んだ服は、色はオフホワイト、スカートがのシフォン素材でフワフワしているのがお気に入りのノースリーブ、ミニ丈のワンピースだった。
みのりにしてみれば、精一杯オシャレしたんだから、何か言ってほしいところなのだが…。
着替えに手間取って待たせてしまったせいだろうか。
不機嫌そうな将貴にみのりは遅くなったことをあやまる。
「将兄、遅くなっちゃってごめんね。将兄と一緒に歩くかと思ったら、どんな格好をしたらいいか迷っちゃって…。」
みのりは正直な気持ちを伝える。
「あぁ、そうか。だけど、気に入らないな。その格好は。」
めずらしく将兄がみのりの服装に文句をつける。
(何だその露出の多い格好は。人ごみでそんな格好してたら、触ってくださいって言ってるようなもんだろうが。)
「そっ、そう?じゃあ、着替えてくる。」
そう言って、部屋に戻ろうとするみのりに、
「どんな服を着るつもりだ。」
「えっ、えっと~、どうしようかな。」
「同じような、格好じゃもう一度着替えることになるだけだ。俺が決めてやる。」
そう言うと、将貴はみのりについて部屋に入ってきた。
「そうだな、これと、これかな。」
そう言いながら将貴が選んだのは、丸えりにパフスリーブのロングワンピースだった。
確かにかわいいのだが、どちらかと言えば美術館みたいなお堅いところにお出かけする様な服装だ。
「えぇ~っ、これ~?」
みのりは明らかに気が進まない様子でそのワンピースを見つめる。
「どうしてこれなの?」
みのりは恐る恐る尋ねる。
「あんな格好して、お前は襲われたいのか?」
「え~っ、だって、夏祭りだよ。夏っぽい格好したいじゃん。」
「だったら行かない。」
「そんな~。」
「お前は、俺と夏祭りに行きたいんだろう?他の男にお前の肌を見せにるために行くのか?お前の肌を見ていいのは、俺だけだ。」
「…っ!」
(ううっ…。そんな風に言われたら、拒めないじゃん。)
みのりは、しぶしぶ将貴の忠告に従い、そのおしとやかなワンピースを着て出かけることにした。
人には色々言うくせに、自分はちゃっかりアロハシャツに白いデニムのハーフパンツ、足元はデッキシューズなんか履いちゃって。
ただでさえイケメンで、背も高くて目立つのに。
(私だって、こんなかっこいい将兄を誰にも見せたくないよ。私だけが見ていたいのに~!)
よほど物欲しそうな顔をして見とれていたのだろうか、将貴は笑いながら、みのりの肩を抱いて耳もとでささやく。
「やっぱり、行くのやめて、するか?」
「ばっ、ばかっ、行くよ、行くにきまってるじゃん。」
みのりはそう言うと、将兄の背中を押して家を出る。
毎日将兄と一緒に過ごせて、これ以上の贅沢を言ってはいけないとは分っていても、気持ちを確かめ合った今、デートみたいなこともしてみたいという気持ちが無いと言ったら嘘になる。
しかし、受験生で更にこの年齢になって兄と妹で夏祭りに出かけると言うのは親には言い出しにくい。
その前に、将貴にさえも言い出すのがはばかられる。
モヤモヤした気持ちのまま朝食を食べていると、将貴が眠そうな顔をして二階から下りてくる。
「おはよう。」
「おはよう。将兄。」
みのりは落ち込んでいるのを悟られない様、いつもの笑顔で答える。
「んっ、どうした?何かあったのか?」
やっぱり、いつも一緒にいる将兄には何も隠し事は出来ないようだ。
「なっ、何でもないよっ。」
「それが、なんでもないっていう顔か?お前はほんとに嘘がつけないんだな。」
「ううっ…。」
みのりは悔しいけれど、その点は認めざるを得ない。
「何でもちゃんと言えよ。どうせ、後でバレんだから。」
確かに将兄の言うとおりだ。
みのりは観念して思っている事を伝えた。
「あのね、お母さんたちには絶対許してもらえないだろうし、何て言っていいかわかんないから言えなかったんだけど、今日ね、夏祭りなんだ…。それで…、」
「よし、行こう。」
「えっ、ええっー!」
まだ途中までしか話していないのに、将貴は即答した。
「だだっ、だって、どうやってお母さんたちに言うの?それに、クラスの誰かに会ったらまずいし…。」
オロオロするみのりに、
「何言ってんだよ、俺達の成績、夏休み前より随分上がったじゃん。ご褒美に少しくらい羽伸ばしたって文句は言わせねーよ。俺に任せとけって。」
将貴はなぜだか自信満々だった。
「クラスの誰かに会ったら何て言うのよ~。」
「ばーか、俺達の関係知ってるの俺達だけだろ。別に兄貴と一緒だって何もまずいことなんかないよ。お前の考え過ぎ。」
そうまで言われるとそんな気になってくるから不思議だ。
「そうだね、ダメもとでお母さんに聞いてみる。」
そう言うと、みのりはスマホでメッセージを送る。
しばらくして返事が返ってきた。
「がんばったご褒美に行っておいでだって!やったー、将兄ー。だ~い好き。」
みのりは将兄に抱きついて大喜びだ。
「こら、はしゃぎ過ぎ。」
そう言って将兄は、みのりの唇に軽くキスをすると、今日はやけにあっさり自分の部屋に引き上げて行ってしまう。
一人ポツンとリビングに取り残されたみのりは、喜んだのもつかの間、そんな将貴の態度を何だかとても寂しく感じた。
(私ばっかり喜んだり、悲しんだりしてバカみたい。将兄は大人ぶってクールにしてて、悔しい!)
しかし、今夜は二人で夏祭りに行ける。その事実は、みのりの不機嫌な気持ちを払拭するのには十分過ぎるご褒美だ。
だから、つまらない事は気にしないで今夜を楽しみに、勉強に励もうと気分を切り替えたみのりだった。
お昼は二人でいつものように冷蔵庫にあるもので軽く済ませる。
「早く夜にならないかな~。」
みのりがつぶやく。
「そんなに楽しみか?」
将貴には女性の気持ちがイマイチ理解できないようだ。
「えぇ~、将兄は楽しみじゃないの~?」
「俺か?俺は人ごみはあんまり好きじゃないからな~。それに俺はみのりがいればどこでもいいから。」
なんて、これまたクサイ台詞をさらっと言われて、みのりは真っ赤になるしかなかった。
彼とデートとなれば、勢い着ていくものにもこだわりたくなるのが女心だ。
みのりは持っている服をずらりと並べると、どれにしようか鏡の前で当てがって、あれこれ悩んでいた。
男の将貴にしてみたらみのりならどんな格好をしていたってかわいいのに、と思うのだが…。
予定より随分待たされて、ようやく部屋から出てきたみのりの装いを見て、将貴は急に不機嫌になる。
みのりが選んだ服は、色はオフホワイト、スカートがのシフォン素材でフワフワしているのがお気に入りのノースリーブ、ミニ丈のワンピースだった。
みのりにしてみれば、精一杯オシャレしたんだから、何か言ってほしいところなのだが…。
着替えに手間取って待たせてしまったせいだろうか。
不機嫌そうな将貴にみのりは遅くなったことをあやまる。
「将兄、遅くなっちゃってごめんね。将兄と一緒に歩くかと思ったら、どんな格好をしたらいいか迷っちゃって…。」
みのりは正直な気持ちを伝える。
「あぁ、そうか。だけど、気に入らないな。その格好は。」
めずらしく将兄がみのりの服装に文句をつける。
(何だその露出の多い格好は。人ごみでそんな格好してたら、触ってくださいって言ってるようなもんだろうが。)
「そっ、そう?じゃあ、着替えてくる。」
そう言って、部屋に戻ろうとするみのりに、
「どんな服を着るつもりだ。」
「えっ、えっと~、どうしようかな。」
「同じような、格好じゃもう一度着替えることになるだけだ。俺が決めてやる。」
そう言うと、将貴はみのりについて部屋に入ってきた。
「そうだな、これと、これかな。」
そう言いながら将貴が選んだのは、丸えりにパフスリーブのロングワンピースだった。
確かにかわいいのだが、どちらかと言えば美術館みたいなお堅いところにお出かけする様な服装だ。
「えぇ~っ、これ~?」
みのりは明らかに気が進まない様子でそのワンピースを見つめる。
「どうしてこれなの?」
みのりは恐る恐る尋ねる。
「あんな格好して、お前は襲われたいのか?」
「え~っ、だって、夏祭りだよ。夏っぽい格好したいじゃん。」
「だったら行かない。」
「そんな~。」
「お前は、俺と夏祭りに行きたいんだろう?他の男にお前の肌を見せにるために行くのか?お前の肌を見ていいのは、俺だけだ。」
「…っ!」
(ううっ…。そんな風に言われたら、拒めないじゃん。)
みのりは、しぶしぶ将貴の忠告に従い、そのおしとやかなワンピースを着て出かけることにした。
人には色々言うくせに、自分はちゃっかりアロハシャツに白いデニムのハーフパンツ、足元はデッキシューズなんか履いちゃって。
ただでさえイケメンで、背も高くて目立つのに。
(私だって、こんなかっこいい将兄を誰にも見せたくないよ。私だけが見ていたいのに~!)
よほど物欲しそうな顔をして見とれていたのだろうか、将貴は笑いながら、みのりの肩を抱いて耳もとでささやく。
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