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兄と妹のイケナイ関係.25
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塾通いにも随分慣れ、成績も順調に上がってきた。
親に進路の変更を伝える前に、塾の担当の先生に相談してみると、今のままではちょっと厳しいが、頑張りしだいでは狙える範囲内にあるということだった。
みのりにやる気があるのであれば、担当の先生も一緒に説得してあげてもいいと言ってくれた。
いずれ言わなくてはならない事だからと、日にちを決めて母親に来てもらうことした。
しかし、それには一つ問題が残っていた。
それは何故志望校を今より難しいところに変えるのかという理由だ。
本当の事はいずればれてしまうだろうとしても、今この段階での理由としては、不純すぎてとても口にすることは出来ない。
みのりは考えあぐねた挙句、少々?いやかなりの作り話になってしまったが、一応の理由を作り上げた。
それは、こういうものだ。
『みのりは将来外資系の会社に入りたい。そして、今回変更する志望校には国際科という学科がある。それを志望校変更の理由として前面に押し出していく。』
将貴の大学の付属というのは、たまたまで、それで一緒に住めば生活費も抑えられるというのもアピールポイントになるのではないかと密かに期待している。
親に嘘をつくのは気がひけるが、いずれはちゃんと本当のことを言うつもりではいるし、より上の高校を目指すことに反対はしないだろう。
みのりはドキドキしながら、その日を迎えた。
塾の担当の先生に、今の成績についてとこれからのスケジュールなどの説明をしてもらう。
そして、いよいよ志望校のことに話は移る。
みのりの口から将来入りたい会社の為に志望校を変えたいという話を聞いて、いつもそういうことに余り熱心ではないみのりがそんな話をするのを驚いた様子で聞いていた母親も、娘も随分大人になったんだなと良い方に解釈してくれたらしく、やってみたいのならチャレンジしてみなさいと、許してくれた。
あとは、将兄にこのことを内緒にして欲しいというお願いをどうやってうまく伝えるかが問題だった。
「ねえ、お母さん。このこと、将兄には内緒にしておいて欲しいの。将兄のことだから、お前には無理だとか、やっぱり俺が勉強を見てやるだとか、色々面倒なこと言われそうで、勉強に集中出来なくなっちゃいそうで…。」
みのりがそう言うと、
「そうねぇ、将兄はみのりのこととなると、異常に口うるさくなるから、もう少し成績が落ち着いてからの方がいいかもね…。将貴には時期を見て話しましょうね。」
と母も賛成してくれた。
みのりは大きな仕事を一つ終え、少しホッとしていたが、頑張らなければならないのはこれからだと、気を引き締めるのだった。
塾は今までより回数も時間も増やして、通うことにした。
そんなある日、まずいことが起こった。
最初の頃は会わないように気を付けていたのに、慣れてくるにつれすっかり忘れていた黒木君と塾でばったり顔を合わせてしまったのだ。
将兄にすごまれて以来、黒木君は必要以上にみのりに近づく事はなくなった。
しかし、みのりへの気持ちは変わらず持ち続けている。
黒木君の気持ちには気づいていないが、黒木君と一緒の塾だということが将貴にバレることはみのりにとってまずいことだった。
「あれっ、篠田さん?君もこの塾に入ったの?」
「あっ、うん…。最近ね。ここ評判がよかったから…。」
「うん、それは正解だよ。僕もここでずっとやってるけど、ここの先生たちはみんなすばらしいからね。それにしても、篠田さんと学校だけじゃなくて塾でも会えるなんてうれしいな~!」
「ははっ、そうだねっ…。」
みのりは愛想笑いをすると、家の人が心配するからと言い残し、あわてて塾を後にした。
(まっ、まずい。会わないように気をつけていたのに。うっかりしてた~。将兄にバレたらまたやっかいなことになるよ~。)
勉強に集中したいのに、何でこう次々と障害がやってくるのかと、神様をうらみたくなってしまう。
そんな事があったものの、塾に行かない訳にはいかない。
ただ、個別指導ということもあって、その後は黒木君と顔を合わすことはほとんどなかった。
季節はもう秋から冬へと変わり、お互いの気持ちを確かめ合ってから初めて迎えるクリスマスがもうすぐそこにせまっていた。
そんなある日、塾が終わってバス停に向かっていると、後ろから声を掛けられた。
案の定、それは黒木君だった。
「最近は調子どう?順調?」
「うっ、うん。お蔭様で。」
みのりは、余り深い話にならないように言葉を選びながら、早くバスが来ないかとヤキモキしていた。
だが、そんな日に限ってバスはなかなか来ない。
「そう、じゃあ、クリスマスの日もし予定がなければ、僕に時間もらえないかな。1時間でいいんだ。まあ、自分から言うのもなんだけど、ファミレスでのお礼がわりってことで、付き合ってもらえるとうれしいんだけど。」
そう言われると、お世話になりっぱなしで、その上将兄のせいで勝手にやめることになってしまったのだ。
そんな立場上、無下に断るわけにもいかず、
「か、考えとくね。」
と思わず答えてしまった。
「ほんと!期待して待ってるよ!」
(しまった!!ちゃんと断らなきゃいけないのに。私のバカ、バカ。)
一度期待させておいて断るのは、とても気まずい。
そんなことなら最初からはっきり断ればよかったのに。後の祭りだ…。
親に進路の変更を伝える前に、塾の担当の先生に相談してみると、今のままではちょっと厳しいが、頑張りしだいでは狙える範囲内にあるということだった。
みのりにやる気があるのであれば、担当の先生も一緒に説得してあげてもいいと言ってくれた。
いずれ言わなくてはならない事だからと、日にちを決めて母親に来てもらうことした。
しかし、それには一つ問題が残っていた。
それは何故志望校を今より難しいところに変えるのかという理由だ。
本当の事はいずればれてしまうだろうとしても、今この段階での理由としては、不純すぎてとても口にすることは出来ない。
みのりは考えあぐねた挙句、少々?いやかなりの作り話になってしまったが、一応の理由を作り上げた。
それは、こういうものだ。
『みのりは将来外資系の会社に入りたい。そして、今回変更する志望校には国際科という学科がある。それを志望校変更の理由として前面に押し出していく。』
将貴の大学の付属というのは、たまたまで、それで一緒に住めば生活費も抑えられるというのもアピールポイントになるのではないかと密かに期待している。
親に嘘をつくのは気がひけるが、いずれはちゃんと本当のことを言うつもりではいるし、より上の高校を目指すことに反対はしないだろう。
みのりはドキドキしながら、その日を迎えた。
塾の担当の先生に、今の成績についてとこれからのスケジュールなどの説明をしてもらう。
そして、いよいよ志望校のことに話は移る。
みのりの口から将来入りたい会社の為に志望校を変えたいという話を聞いて、いつもそういうことに余り熱心ではないみのりがそんな話をするのを驚いた様子で聞いていた母親も、娘も随分大人になったんだなと良い方に解釈してくれたらしく、やってみたいのならチャレンジしてみなさいと、許してくれた。
あとは、将兄にこのことを内緒にして欲しいというお願いをどうやってうまく伝えるかが問題だった。
「ねえ、お母さん。このこと、将兄には内緒にしておいて欲しいの。将兄のことだから、お前には無理だとか、やっぱり俺が勉強を見てやるだとか、色々面倒なこと言われそうで、勉強に集中出来なくなっちゃいそうで…。」
みのりがそう言うと、
「そうねぇ、将兄はみのりのこととなると、異常に口うるさくなるから、もう少し成績が落ち着いてからの方がいいかもね…。将貴には時期を見て話しましょうね。」
と母も賛成してくれた。
みのりは大きな仕事を一つ終え、少しホッとしていたが、頑張らなければならないのはこれからだと、気を引き締めるのだった。
塾は今までより回数も時間も増やして、通うことにした。
そんなある日、まずいことが起こった。
最初の頃は会わないように気を付けていたのに、慣れてくるにつれすっかり忘れていた黒木君と塾でばったり顔を合わせてしまったのだ。
将兄にすごまれて以来、黒木君は必要以上にみのりに近づく事はなくなった。
しかし、みのりへの気持ちは変わらず持ち続けている。
黒木君の気持ちには気づいていないが、黒木君と一緒の塾だということが将貴にバレることはみのりにとってまずいことだった。
「あれっ、篠田さん?君もこの塾に入ったの?」
「あっ、うん…。最近ね。ここ評判がよかったから…。」
「うん、それは正解だよ。僕もここでずっとやってるけど、ここの先生たちはみんなすばらしいからね。それにしても、篠田さんと学校だけじゃなくて塾でも会えるなんてうれしいな~!」
「ははっ、そうだねっ…。」
みのりは愛想笑いをすると、家の人が心配するからと言い残し、あわてて塾を後にした。
(まっ、まずい。会わないように気をつけていたのに。うっかりしてた~。将兄にバレたらまたやっかいなことになるよ~。)
勉強に集中したいのに、何でこう次々と障害がやってくるのかと、神様をうらみたくなってしまう。
そんな事があったものの、塾に行かない訳にはいかない。
ただ、個別指導ということもあって、その後は黒木君と顔を合わすことはほとんどなかった。
季節はもう秋から冬へと変わり、お互いの気持ちを確かめ合ってから初めて迎えるクリスマスがもうすぐそこにせまっていた。
そんなある日、塾が終わってバス停に向かっていると、後ろから声を掛けられた。
案の定、それは黒木君だった。
「最近は調子どう?順調?」
「うっ、うん。お蔭様で。」
みのりは、余り深い話にならないように言葉を選びながら、早くバスが来ないかとヤキモキしていた。
だが、そんな日に限ってバスはなかなか来ない。
「そう、じゃあ、クリスマスの日もし予定がなければ、僕に時間もらえないかな。1時間でいいんだ。まあ、自分から言うのもなんだけど、ファミレスでのお礼がわりってことで、付き合ってもらえるとうれしいんだけど。」
そう言われると、お世話になりっぱなしで、その上将兄のせいで勝手にやめることになってしまったのだ。
そんな立場上、無下に断るわけにもいかず、
「か、考えとくね。」
と思わず答えてしまった。
「ほんと!期待して待ってるよ!」
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