兄と妹のイケナイ関係

星野しずく

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兄と妹のイケナイ関係.26

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 憂鬱な気持ちのまま家に帰ると、リビングではめずらしく両親と将兄がそろって何やらわいわい盛り上がっている。

 みのりが何事かと尋ねる。

「ああ、みのり、すごいのよ~。お母さんこの間、スーパーで申し込んだ高級ホテル1泊&クリスマスディナーにご招待っていうのに当たっちゃって、お父さんと行くことになったのよ~。お父さんいっつも忙しくしてて、今までクリスマスらしいことしてやれなかったから、一緒に行ってくれるって。」

 父は、物静かで余り派手な事は好きではない性格だ。

 母とのデートも結婚してからは、殆ど出かけたことがなかった。

 しかし、子どもたちも大きくなって母親をねぎらう気持ちが生まれたのかもしれない。  

 いや、捨てられないようにしなければいけないと思ったというのが正解かもしれないが…。

 そうなってくると、家には私と将兄二人きりということに自然となってくる。

 うっかりすると、すぐに変な想像が湧いてきてしまいそうなので、あわてて理性で現実に引き戻す。

「よかったね、お母さん。楽しんできて。」

 そう言うみのりに、

「ごめんね、みのりも将貴も大変な時に、私達だけ楽しんできちゃって。」

 母は、少し申し訳なさそうだ。

「何言ってんの、お父さんとお母さんが元気でいてくれるから、私達も勉強に打ち込めるんだから、たまにはゆっくり羽を伸ばしてきてよ。」

「そう?何だかみのりも大人になったわね~。」

 お母さんはしみじみそう言うと、うれしそうにソファに腰かけ、おいしそうにお茶を飲んだ。

(こんな夢見たいな事ってあるんだ~。将兄と二人で過ごすクリスマスか~。)

 妄想にひたっているみのりの頭を黒木君の言葉がよぎる。 

「クリスマスの日もし予定がなければ、僕に時間もらえないかな。」

 予定は…、今のところは無い。でも…、クリスマスは将兄と過ごしたい。

 お父さんじゃないけど、男性にとってクリスマスなんて多分どうでもいいイベントなんだろう。

 でも女の子にとっては、一年で一番のイベントと言ってもいいくらい重要なものだ。

(将兄はどう思ってるのかな~?聞いてみたいけど、無理に付き合わせるのも申し訳ないし…。だけど、このままだと、黒木君と会わなければいけなくなっちゃう。)

 万一バレた時のことを考えると、正直に将兄に言った方がいいんだけど…。

 クリスマスまであと3週間あるのだ。

 将兄が何か言ってくれるまでもう少し待ってみよう。

 このところ毎日遅くまで塾通いで、休みの日ももちろん朝から夜までみっちり塾でお勉強。頑張ると決めたみのりも正直かなり将兄禁断症状?が出てきていた。

 家で将兄に会うのは夜寝る前と朝食の時間くらいだったけど、夜は眠いのもあるし、将兄の勉強の邪魔になったらいけないと自制しているから、ゆっくり将兄の顔を見れるのはやっぱり朝食の時だけだ。

 今朝は起きて部屋から出るとばったりと将兄が出てくるのに出くわした。

「おはよう、みのり。」

「お、おはよう、将兄…。」

 未だに恥ずかしがってどうする!と自分に突っ込んでしまうほど慣れない。

 そんなみのりをからかうように、将貴は、

「何、おはようのキスしたい?」

 そう言うと、本当に軽く口づける。

「なっ、まだお母さんたちいるんだからっ!」

 そう言いながらも、みのりの顔はみるみる真っ赤になり、心臓は早鐘のように鳴り始めていた。

 今がチャンスだ!そう思ったみのりは、恐る恐る聞いてみる。

「将兄、あのね…、クリスマスなんだけど…、何か予定あるかな?」

「ん?クリスマス?特に予定は無いけど…。何、どこか行きたいの?」

「えっと、どこかっていうか、将兄と一緒にいられたらな~って。」

「家で二人でゆっくり過ごせばいいんじゃない?」

「そっ、そうだよね。家でクリスマスパーティーでいいよね。」

 将貴は、女心がイマイチ分らないのか、やはりクリスマスを大して重要に考えていないようだった。

 みのりは、まあ予定といえば予定だけど、黒木君に予定があるっていうには弱いな~と、困ってしまったのだった。

 翌日の塾の帰り、運悪く黒木君につかまってしまった。

「やあ、今帰り?」

「うっ、うん。」

 みのりはなるべく近づかないように適当な距離を取る。

「この間の話、考えてくれたかな?」

(うわ~、やっぱりそうなるよね~。どうしよう、どうやって断ろう。)

「えっと、あの、それは…。」

 真面目なみのりは将兄との予定では予定と呼べるほどのものではなくて、黒木君の誘いを断るには十分な理由にならないのではないかと、思いあぐねている。

 そんなみのりの様子を見て脈があると感じたのか、黒木君は強く出る。

「特に予定がないなら、少しだけ僕に時間をくれない?」

「えっと、え~っと…。」

(あ~っ、断らなくちゃいけないのに、どうしよう。こまった~。)

「みのりに何か用かな?」

 ふいに、背後から聞き覚えのある声が聞こえる。

「しょ、しょうにい!」

(どうして、将兄がここに?)

「こんばんは。お兄さん。」

 敵対心丸出しの将貴に対して黒木君はいたって冷静だ。

「用が無いなら、みのりはもう帰らせますから。」

 将貴はみのりの腕をつかんで帰ろうとする。

「お兄さん、あわてないでくださいよ。僕はまだ彼女と話があるんですから。」

「そうなのか?みのり。」

 将貴の鋭い眼差しに見つめられ、みのりは半泣きになりながらボソッとつぶやく。

「えっと、黒木君にクリスマスのお誘いを…。」

 それを聞いた将貴は、黒木君を睨みながら言い放つ。

「クリスマスは、みのりは予定がある。だから誘っても無駄だ。。」

 しかし、今日の黒木くんはそれでもひるむことはなかった。

「僕はみのりさんに聞いてるんですよ。お兄さんは少し黙っててもらえませんか?」

 将兄はキッと黒木君を睨みつけたが、一応みのりの答えを待つ。

 二人のやりとりをオロオロしながら見ていたみのりは急に自分がどうするかを決めなければならなくなってしまって、つい将兄に助けてと目で訴えるのだけど、今度ばかりは自分ではっきり言うしかない雰囲気になってしまった。

「クリスマスは…、予定は…、なっ…。」

「ある!俺とこいつはクリスマスに一緒に出かける予定がある。みのりには言ってなかっただけだ。」

 将貴はそう言うと、まだ何か叫んでいる黒木の言うことは無視してみのりの腕をつかみ、家へと連れて帰った。
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