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「元気をありがとうございます!」
「朝から癒されました!」
「一日頑張れそうな気がします」
「本当に人が歌ってる?美しすぎない?」
「さっそくファンになりました」
「この美声にまさかのCM曲!」
動画のコメントの数が尋常ではない、とてもじゃないが読み切れない。そのどれもがハナちゃんを賛美する内容だった。
ハナちゃんがムニャムニャと起き出した頃、私とナツは上機嫌で朝ごはんとハナちゃんの昼ごはんを作っていた。ハナちゃんには動画について話しても、いまいちピンと来ないだろうし、変にプレッシャーになるのも良くないので黙っておいた。
「ハナちゃんおはよう、朝ごはん出来たから食べよう」
「ん…おふぁようございます」
まったく寝ぼすけなハナちゃん、でもそこがまた可愛いんだな。寝相が悪くてはだけたパジャマもまたエッチで朝から眼福眼福。朝食時は私もナツもちょっと浮かれ気味で、話し声も1オクターブ高い。いつもと違う朝にハナちゃんもちょっと戸惑っていた。
「そだ!ハナちゃん、今日は大学昼からだから、また歌を何曲か撮ってもいいかなぁ?」
「はい、いいですよ」
ハナちゃんの曲が増えるのは嬉しいが、あまり負担にならない様にしてもらいたいものだ。ましてやハナちゃんでお金儲けを狙っている、なんて考えなら妹でも容赦はしない。っと言いたい所だが、ウチはハッキリ言って貧乏なので、ありがたいのも事実なんだな。でも姉として妹に釘は刺しとかないと…。
そんな事を考えながら職場まで、ハナちゃんの歌を何度もリピートしながら車を走らせる。短い曲なのに何度でも聴きたくなる中毒性がある、更に美しい歌声に癒される、そりゃ人気も出るはずだ。すると早速ハナちゃんの新曲が3本動画にUPされた。
どれも聞き覚えのある曲だが、美しくうっとりしてしまう。会社に到着しても、車内から出ないでギリギリまでハナちゃんの曲を聞いていた。
「おーい川島、ちょっと来て」
課長がお呼びだ。後輩の田坂くんが作った企画書が不備だらけだったので、いつの間にか教育係になっていた私が怒られる。せっかく朝からいい気分だったのに、まったく嫌になる。今日は昼からの田坂くんと外回り、田坂くんを育てる為にも率先して動いてもらう予定だが、正直空回りするのが目に見えてて気が重い。
「すいません…先輩だけ怒られるだなんて、僕が悪いのに」
「いいの、ちゃんと事前にチェックし忘れてた私も悪いんだし、それに課長の口撃には慣れてるから」
「今日の外回りで挽回します!よろしくお願いします」
「まぁこれから色々と学んでいけば良いんだし、気楽にね」
っと先輩風を吹かして余裕を見せるが、まったく気楽に何て出来ない。失敗すればまた課長からのお呼び待った無し、気分は最悪だ。早くハナちゃんをキュッと抱きしめてお布団に入りたい…。
「よっ!今日は朝から顔色悪いねぇ、とりあえずチョコあげる」
「ありがとうございます…」
「昼から田坂と外回りでしょ?んなもん結果みえてんじゃん、死刑宣告だよね」
「ですよね…」
「私が外回り代わろうか?」
加藤先輩は美人だし要領も良いし、課長に気に入られている。例え田坂くんが失敗しても、課長から多少小言を言われる程度で済むだろう。すぐにでも飛びつきたいありがたい提案だが、それでは何か戦わずして負けた気がして納得がいかない。
「いえ、任されたのは私なので」
「さすが!負けず嫌い。でもね、たまには頼ってくれたら嬉しいな、私は川島の先輩なんだから」
はぁ…女通しでもいいから抱いてほしい。いつか頼るのでそれまで頑張りますと先輩に伝えて、昼過ぎに私は田坂くんと外回りに向かう。
得意先までの道のり、社用車の中でガチガチに緊張する田坂くん、どうしたもんかと考えていると、ふとハナちゃんの曲をかけてみた。車の中に美しい歌声が響き渡る。
「すごくキレイな声で良いですね、何か緊張がほぐれて来ました」
「でしょ?最近私がお気に入りのアーティストさん」
ガチガチだった田坂くんの表情が少し和らいだ気がする、本当ハナちゃんの歌の力は凄いな。だからって全てが上手く行くとは思わない、少しでも田坂くんが成長してくれれば私は良いと思う。
まだまだ曲数の少ないハナちゃんの歌を、何度もリピートしながら私は車を走らせる。
「朝から癒されました!」
「一日頑張れそうな気がします」
「本当に人が歌ってる?美しすぎない?」
「さっそくファンになりました」
「この美声にまさかのCM曲!」
動画のコメントの数が尋常ではない、とてもじゃないが読み切れない。そのどれもがハナちゃんを賛美する内容だった。
ハナちゃんがムニャムニャと起き出した頃、私とナツは上機嫌で朝ごはんとハナちゃんの昼ごはんを作っていた。ハナちゃんには動画について話しても、いまいちピンと来ないだろうし、変にプレッシャーになるのも良くないので黙っておいた。
「ハナちゃんおはよう、朝ごはん出来たから食べよう」
「ん…おふぁようございます」
まったく寝ぼすけなハナちゃん、でもそこがまた可愛いんだな。寝相が悪くてはだけたパジャマもまたエッチで朝から眼福眼福。朝食時は私もナツもちょっと浮かれ気味で、話し声も1オクターブ高い。いつもと違う朝にハナちゃんもちょっと戸惑っていた。
「そだ!ハナちゃん、今日は大学昼からだから、また歌を何曲か撮ってもいいかなぁ?」
「はい、いいですよ」
ハナちゃんの曲が増えるのは嬉しいが、あまり負担にならない様にしてもらいたいものだ。ましてやハナちゃんでお金儲けを狙っている、なんて考えなら妹でも容赦はしない。っと言いたい所だが、ウチはハッキリ言って貧乏なので、ありがたいのも事実なんだな。でも姉として妹に釘は刺しとかないと…。
そんな事を考えながら職場まで、ハナちゃんの歌を何度もリピートしながら車を走らせる。短い曲なのに何度でも聴きたくなる中毒性がある、更に美しい歌声に癒される、そりゃ人気も出るはずだ。すると早速ハナちゃんの新曲が3本動画にUPされた。
どれも聞き覚えのある曲だが、美しくうっとりしてしまう。会社に到着しても、車内から出ないでギリギリまでハナちゃんの曲を聞いていた。
「おーい川島、ちょっと来て」
課長がお呼びだ。後輩の田坂くんが作った企画書が不備だらけだったので、いつの間にか教育係になっていた私が怒られる。せっかく朝からいい気分だったのに、まったく嫌になる。今日は昼からの田坂くんと外回り、田坂くんを育てる為にも率先して動いてもらう予定だが、正直空回りするのが目に見えてて気が重い。
「すいません…先輩だけ怒られるだなんて、僕が悪いのに」
「いいの、ちゃんと事前にチェックし忘れてた私も悪いんだし、それに課長の口撃には慣れてるから」
「今日の外回りで挽回します!よろしくお願いします」
「まぁこれから色々と学んでいけば良いんだし、気楽にね」
っと先輩風を吹かして余裕を見せるが、まったく気楽に何て出来ない。失敗すればまた課長からのお呼び待った無し、気分は最悪だ。早くハナちゃんをキュッと抱きしめてお布団に入りたい…。
「よっ!今日は朝から顔色悪いねぇ、とりあえずチョコあげる」
「ありがとうございます…」
「昼から田坂と外回りでしょ?んなもん結果みえてんじゃん、死刑宣告だよね」
「ですよね…」
「私が外回り代わろうか?」
加藤先輩は美人だし要領も良いし、課長に気に入られている。例え田坂くんが失敗しても、課長から多少小言を言われる程度で済むだろう。すぐにでも飛びつきたいありがたい提案だが、それでは何か戦わずして負けた気がして納得がいかない。
「いえ、任されたのは私なので」
「さすが!負けず嫌い。でもね、たまには頼ってくれたら嬉しいな、私は川島の先輩なんだから」
はぁ…女通しでもいいから抱いてほしい。いつか頼るのでそれまで頑張りますと先輩に伝えて、昼過ぎに私は田坂くんと外回りに向かう。
得意先までの道のり、社用車の中でガチガチに緊張する田坂くん、どうしたもんかと考えていると、ふとハナちゃんの曲をかけてみた。車の中に美しい歌声が響き渡る。
「すごくキレイな声で良いですね、何か緊張がほぐれて来ました」
「でしょ?最近私がお気に入りのアーティストさん」
ガチガチだった田坂くんの表情が少し和らいだ気がする、本当ハナちゃんの歌の力は凄いな。だからって全てが上手く行くとは思わない、少しでも田坂くんが成長してくれれば私は良いと思う。
まだまだ曲数の少ないハナちゃんの歌を、何度もリピートしながら私は車を走らせる。
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