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1章
3話
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村のでこぼこ道を人形が月条に抱えられながら歩いていると村の娘らしき人物が月条に話しかけてきた。
「国近様!...ってうわっ!その人誰ですか!?ま、まさか恋仲の...!?」
やけにキンキンとした声の女だった
『喧しい娘だな。それはそうとこの男。月条 国近というのか。
随分とまた古臭い名前だな。』
人形は突っ込む所そこじゃないだろうというような所に目を付けていて恋仲、というのを聞いていなかった。
「ははは。千佳よ。これは人では無い。人形だ。」
月条はまた少し笑って娘に言った。
『ほほう、この娘は千佳というのか。可愛らしい名前だな。...私もなにか名前が欲しいな。なあ、君。私にも名前つけてくれよ。』
人形は月条の腕の中で娘を見つめた後に月条を見つめ直して言った。
「な、なーんだ!そうですよね!国近様みたいな顔だけ美しい方に恋人なんて出来るわけないですよね!」
娘はすごく失礼なことを言いながら不器用に笑った。
『す、凄い変わりようだな。この女子。』
人形はこの通り引いているが人間の女というのは複雑なのである。
「はっはっは。千佳も言うようになったではないか!ではまたな。俺はこの人形を家に置いてくる。」
そう言って月条は千佳の頭をポンポンと撫でるとまた人形を抱え直して帰路についた。
「...えへへ。また後で会いましょうね国近様。...あの人形...なぜかしら気に入らないわ」
月条の後ろ姿を見つめながら千佳はボソリと呟いた。
『あぁ。あの女子は月条のことが好きなのか。なあ、君聞こえてるかい。あの娘は君のことが好きらしいぞ。』
勿論月条に人形の声が聞こえるはずもないのだが人形がそう話しかけた途端月条は人形の方を向いてにこりと微笑んだのであった。
「まずは家に帰って、父様と母様に要件を話して、人形を侍女に渡して湯浴みをさせて、綺麗な着物を揃えてやって...。その後は...名でもつけてやるか。」
ボソボソと家に帰ってからの計画を立てていた月条であったがふと、ずっと人形と呼ぶのも不便だなと思い名前をつけてやることにした。
『な、名前!!名前付けてくれるのかい!?』
人形は喜びのあまり自分が人形なのも忘れ抱きつこうと思ったが一ミリも動けなかった。
「...そろそろだな。」
人形がチラリとそちらに目を向けるとそこには大きな屋敷があった。
『でかくないか?家でかくないか?』
そう、人形が驚くのも無理はない。知らない人が見たら
旅館かな?って思う程度にはでかいのである。
「父様ー。母様ー。ただいま帰ったぞー。」
そう言って玄関で草履を無造作に脱ぎ、父と母の部屋に向かっていく月条。
『あーあーあー。こんなに土や埃まみれの私をこんな豪邸に入れて大丈夫なのかぁ...?』
人形がそう思うのも無理もない。実際何年も蔵の中にいたせいで人形は今ぼろぼろだった。
さらに人形は普通の少女と同じくらいの大きさだったが身体は木なのでだいぶ軽いのが唯一の幸福というやつか...
身長百六十五
体重 二十一
のまるでキ〇ィちゃんみたいな重さ。
「母様、父様。見てくれ」
そう言って抱き抱えた人形をずいっと両親の前に差し出す。
人形はとっさに弾き飛ばされると思い衝撃に備えた...が一向に痛みが来ない。
何事かと思い、よく話を聞いてみると
「あらあら!可愛い人形ねぇ...。どこで買ってきたの?」
「...なかなか美人な人形じゃないか。...埃まみれだが。父さんはこんなもの買った覚えはないぞ...?」
父も母もどことなく抜けていた。
「国近様!...ってうわっ!その人誰ですか!?ま、まさか恋仲の...!?」
やけにキンキンとした声の女だった
『喧しい娘だな。それはそうとこの男。月条 国近というのか。
随分とまた古臭い名前だな。』
人形は突っ込む所そこじゃないだろうというような所に目を付けていて恋仲、というのを聞いていなかった。
「ははは。千佳よ。これは人では無い。人形だ。」
月条はまた少し笑って娘に言った。
『ほほう、この娘は千佳というのか。可愛らしい名前だな。...私もなにか名前が欲しいな。なあ、君。私にも名前つけてくれよ。』
人形は月条の腕の中で娘を見つめた後に月条を見つめ直して言った。
「な、なーんだ!そうですよね!国近様みたいな顔だけ美しい方に恋人なんて出来るわけないですよね!」
娘はすごく失礼なことを言いながら不器用に笑った。
『す、凄い変わりようだな。この女子。』
人形はこの通り引いているが人間の女というのは複雑なのである。
「はっはっは。千佳も言うようになったではないか!ではまたな。俺はこの人形を家に置いてくる。」
そう言って月条は千佳の頭をポンポンと撫でるとまた人形を抱え直して帰路についた。
「...えへへ。また後で会いましょうね国近様。...あの人形...なぜかしら気に入らないわ」
月条の後ろ姿を見つめながら千佳はボソリと呟いた。
『あぁ。あの女子は月条のことが好きなのか。なあ、君聞こえてるかい。あの娘は君のことが好きらしいぞ。』
勿論月条に人形の声が聞こえるはずもないのだが人形がそう話しかけた途端月条は人形の方を向いてにこりと微笑んだのであった。
「まずは家に帰って、父様と母様に要件を話して、人形を侍女に渡して湯浴みをさせて、綺麗な着物を揃えてやって...。その後は...名でもつけてやるか。」
ボソボソと家に帰ってからの計画を立てていた月条であったがふと、ずっと人形と呼ぶのも不便だなと思い名前をつけてやることにした。
『な、名前!!名前付けてくれるのかい!?』
人形は喜びのあまり自分が人形なのも忘れ抱きつこうと思ったが一ミリも動けなかった。
「...そろそろだな。」
人形がチラリとそちらに目を向けるとそこには大きな屋敷があった。
『でかくないか?家でかくないか?』
そう、人形が驚くのも無理はない。知らない人が見たら
旅館かな?って思う程度にはでかいのである。
「父様ー。母様ー。ただいま帰ったぞー。」
そう言って玄関で草履を無造作に脱ぎ、父と母の部屋に向かっていく月条。
『あーあーあー。こんなに土や埃まみれの私をこんな豪邸に入れて大丈夫なのかぁ...?』
人形がそう思うのも無理もない。実際何年も蔵の中にいたせいで人形は今ぼろぼろだった。
さらに人形は普通の少女と同じくらいの大きさだったが身体は木なのでだいぶ軽いのが唯一の幸福というやつか...
身長百六十五
体重 二十一
のまるでキ〇ィちゃんみたいな重さ。
「母様、父様。見てくれ」
そう言って抱き抱えた人形をずいっと両親の前に差し出す。
人形はとっさに弾き飛ばされると思い衝撃に備えた...が一向に痛みが来ない。
何事かと思い、よく話を聞いてみると
「あらあら!可愛い人形ねぇ...。どこで買ってきたの?」
「...なかなか美人な人形じゃないか。...埃まみれだが。父さんはこんなもの買った覚えはないぞ...?」
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