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1章
4話
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『私は二度と湯浴みはしない。そもそも物を風呂に入れてどうする』
なぜ人形がこんなに愚痴を吐いているのかと言うと侍女に風呂に入れられた時、余りにも細部まで作り込まれているので1時間くらいじっくり見られたせいである。
「国近様ー。人形の手入れが済みましてございますー。」
月条家の侍女は皆一人一人の得意分野がある。例えば、今人形を風呂に入れた侍女は物の手入れ、人形などの手直しがとても得意だ。
「あぁ。有難う。そこに置いておいてくれ。」
月条がそう言うと侍女は「はーい」という気の抜けた声をして部屋を出ていった。
「さて...なんという名をつけようか...。」
月条は早速人形に名前をつけるらしい。どんな名前になるのか...。
『名前...。一体どんな名前になるのか...』
人形も嬉しがっていて見ていて微笑ましい。
「決めたぞ。ポチだな。」
『...は?』
何を言っているんだこの男は。この私にポチだと?ふざけているのか、畜生の名前じゃないかそれ。くそ、ポルターガイストとやらを起こして抗議してやる。
ガタガタガタガタ
「ん...?」
突如へやが揺れ始めた。そこで人形はやめにしようとしたのだが...
箪笥がバランスを崩して月条の上に倒れかかってきた。
『し、しまった!!』
月条は潰れてしまったかと思った人形だったが...
「いやはや、危ないな。」
手をパンパンと叩きながら月条が箪笥とは逆の方向から出てきた。
潰されたかと思った月条だったが無駄に身体能力が高く普通に回避していた。
『吃驚した...。生きてて良かった。』
人形はほっと息をついた。まあ、つく息はないのだが...。
「さて、名前付けの続きをしようか...。ポチでは駄目なのよな?」
勿論だとでも言うように人形は月条を見つめた。すると、月条はじっと人形の左手を見つめた
「...お主、薬指の爪に菊の花が咲いておるな。」
そう言った月条の視線の先には黄色い菊の花が描いてあった。とても繊細で美しい花だった。
「よし、決めたぞ。お主の名前は今日から菊だ」
ついに名前が決まったようだ。これからは人形ではなく、菊としてこの月条家に置かれることになる。
『菊...。しかも黄色い...』
何故か嬉しくなさそうな顔をしている菊。一体どうしたのだろうか。
『黄色い菊の花言葉は破れた恋。...父上。貴方は...。』
なぜ人形がこんなに愚痴を吐いているのかと言うと侍女に風呂に入れられた時、余りにも細部まで作り込まれているので1時間くらいじっくり見られたせいである。
「国近様ー。人形の手入れが済みましてございますー。」
月条家の侍女は皆一人一人の得意分野がある。例えば、今人形を風呂に入れた侍女は物の手入れ、人形などの手直しがとても得意だ。
「あぁ。有難う。そこに置いておいてくれ。」
月条がそう言うと侍女は「はーい」という気の抜けた声をして部屋を出ていった。
「さて...なんという名をつけようか...。」
月条は早速人形に名前をつけるらしい。どんな名前になるのか...。
『名前...。一体どんな名前になるのか...』
人形も嬉しがっていて見ていて微笑ましい。
「決めたぞ。ポチだな。」
『...は?』
何を言っているんだこの男は。この私にポチだと?ふざけているのか、畜生の名前じゃないかそれ。くそ、ポルターガイストとやらを起こして抗議してやる。
ガタガタガタガタ
「ん...?」
突如へやが揺れ始めた。そこで人形はやめにしようとしたのだが...
箪笥がバランスを崩して月条の上に倒れかかってきた。
『し、しまった!!』
月条は潰れてしまったかと思った人形だったが...
「いやはや、危ないな。」
手をパンパンと叩きながら月条が箪笥とは逆の方向から出てきた。
潰されたかと思った月条だったが無駄に身体能力が高く普通に回避していた。
『吃驚した...。生きてて良かった。』
人形はほっと息をついた。まあ、つく息はないのだが...。
「さて、名前付けの続きをしようか...。ポチでは駄目なのよな?」
勿論だとでも言うように人形は月条を見つめた。すると、月条はじっと人形の左手を見つめた
「...お主、薬指の爪に菊の花が咲いておるな。」
そう言った月条の視線の先には黄色い菊の花が描いてあった。とても繊細で美しい花だった。
「よし、決めたぞ。お主の名前は今日から菊だ」
ついに名前が決まったようだ。これからは人形ではなく、菊としてこの月条家に置かれることになる。
『菊...。しかも黄色い...』
何故か嬉しくなさそうな顔をしている菊。一体どうしたのだろうか。
『黄色い菊の花言葉は破れた恋。...父上。貴方は...。』
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